『TRITON』は、コストパフォーマンスに優れた高性能のハードウェアとチューニング済みのOSにソフトウェアPLC【CODESYS】をパッケージしたオールインワンのPLCです。
2023年1月の販売開始から約1年半が経過し、評価を完了したお客様にて、実際の装置での稼働が広がっています。
過去のLINX Expressでの『TRITON』活用事例紹介号はこちら
① 自動包装機のインテリジェント化への『TRITON』の活用(不双産業株式会社様事例)
② 半導体モールディング装置のダウンサイジングへの『TRITON』の活用(TOWA株式会社様事例)
シンプルイズベスト!! 単機能にこそ『TRITON』を活用
シンプルイズベスト!!シリーズでは、シンプルな機能を実現するために、
PLCやIoT エッジ ゲートウェイを使うにはコストが…
それぞれのハードで開発環境がバラバラで、開発するには工数が…
といったときにこそ『TRITON』を使っていただきたい、ということで、『TRITON』の単機能を紹介しています。
TRITONには、PLC機能をコアとして、様々な機能を活用することができます。
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過去のLINX Expressでの『TRITON』の単機能紹介号はこちら
▶ シンプルイズベスト!!単機能にこそ『TRITON』を活用(Motion制御編)
▶ シンプルイズベスト!!単機能にこそ『TRITON』を活用(IO制御編)
▶ シンプルイズベスト!!単機能にこそ『TRITON』を活用(通信編)
▶ シンプルイズベスト!!単機能にこそ『TRITON』を活用(HMI編)
今回は、コア機能である“PLC” についてご紹介します。
単機能にこそ『TRITON』を活用:PLC
■ PLC |
CODESYSは国際標準規格IEC61131-3に準拠
【CODESYS】は、PLC用のプログラミング言語の国際標準規格であるIEC61131-3に準拠しています。用途に合わせて、あるいは、社内の資産や開発者の経験に基づいて、適切な言語を選択して使用していただけます。
PLCプログラミング言語の世界標準規格:IEC61131-3
■ IEC61131-3
プログラミング言語仕様を定義したものであり、PLCの基本的なソフトウェア・アーキテクチャとそこで利用できる以下の5種類のプログラム言語を定義したもの
● グラフィック形式
・ラダー・ダイアグラム(LD言語)
・シーケンシャル・ファンクション・チャート(SFC言語)
・ファンクション・ブロック・ダイアグラム(FBD言語)
● テキスト形式
・ストラクチャード・テキスト(ST言語)
・インストラクション・リスト(IL言語)
プログラミング言語の得意・不得意
(出典:JEMA「PLCアプリケーションの開発効率化指針」)
IEC61131 5言語の特長と選択指針
(出典:JEMA「PLCアプリケーションの開発効率化指針」)
使いやすくなったLD言語(ラダー・ロジック)
New Ladder Editor(CODESYS Ladder)
ラダー文化の根強い日本においてラダー編集機能の使いづらさは許されません。リンクスはOEM顧客数社から強い改善要望を受けました。そして、2024年2月にリリースされた『CODESYS Ladder』により、CODESYSでのLD言語はより使いやすくなりました。
・Ladder Editorをフルスクラッチで新開発
-プログラミング、編集プロセスを見直し、編集・作業性を抜本的に改善
-要素再配置時の自動配線、並列回路編集、デバッグ時モニタリング、その他
CODESYSのV3.5 SP20から『CODESYS Ladder』は標準でインストールされるようになっています。
操作性の向上
エディタ上で、部品配置時、既存部品のドラッグ&ドロップ時のガイドが既存のものと比べ、増えました。これにより、より直観的に部品を配置することが可能です。
エディタ上の要素配置のガイドが増え、回路作成がより直観的に行えるようになった
■ 既存 |
■ 新 |
並列回路構成時の機能向上
並列回路構成時の機能、操作性が向上しました。
まず、既存のエディタと比べ、並列回路を含むコピー&ペーストが正確になりました。
既存のエディタでは、画像のように並列回路の後ろに並列回路をコピー&ペーストしようとしても、前にペーストされてしまいます。
新エディタではガイドの通り正確にコピー&ペーストすることが可能です。
複数の並列回路を含むコピー&ペーストが正確になった
■ 既存 |
■ 新 |
そして、回路の途中から簡単に並列回路の作成が可能となりました。
既存のエディタでは、右クリックメニューからでなければ、追加の並列回路が作成できません
新しいエディタでは、ガイドに対しツールボックスから部品をドラッグ&ドロップすることで、追加の並列回路が作成可能です。
回路の途中から▽を押すことで簡単に並列回路を作成することが可能に
■ 既存:右クリックメニューから出ないと並列回路が作成できない
■ 新:要素の△・▽部分に並列したい要素をドラッグ&ドロップで作成可能
さらに、ワイヤ(配線)を回路途中から簡単に接続、解除することができるようになりました。
既存のエディタではこうしたワイヤの操作は出来ません。
新しいエディタでは、ワイヤの終端を接続したいガイド部分にドラッグ&ドロップすることで、配線の接続、解除が可能です。
ワイヤー(配線)を回路途中から簡単に接続、解除することが出来るようになった並列回路が直感的に操作作成可能
■ 既存:不可能
■ 新 |
オンラインデバッグ時の作業性向上
オンラインデバッグ時の作業性が向上しました。
既存のエディタでは個々のブレークポイントの種類が右クリックメニューのブレークポイントの編集からでないと、分かりません。
新しいエディタでは、要素ごとに上側にブレークポイントが種類として表示され、どのような条件で行われているかが分かりやすくなっています。
既存のLDエディタは、ブレークポイント(BP)を設置時、ブレークポイントの設置場所、種類が把握困難
■ 既存 |
■ 新:新しいLDエディタは、BPの種類がアイコン(〇)が設置場所ごとに表示され現在どのような種類のブレークポイントが貼ってあるのかが把握しやすくなった
キーボードのみの操作が可能に
新エディタではキーボードのみでの編集操作が可能となっています。
■ 既存:今までは接点種類の変更、移動しかショートカットはなかった
■ 新:キーボードのショートカットにより
・移動
・新要素作成
・要素の移動
・要素の種類変更
等、マウスなしの操作が可能になった
SP20より前のCODESYSバージョンのユーザ様へ
SP17以降のバージョンであれば、『CODESYS Ladder』を使用することができます。
そのためには、CODESYS統合開発環境と一緒にインストールされる”CODESYS Installer”を使ってインストールする必要があります。
① CODESYS Ladder のインストール
インストールするバージョンを選択後、ブラウズに”Ladder”と入力し、出てきた『CODESYS
Ladder』をインストールします。
② CODESYS Ladder の基本的な使い方
まず、CODESYS開発環境でプロジェクトを作成する際、又はPOU(Program Organization Unit)を作成する際に、ラダー ダイアグラム(LD2)を選択します。
既存のLD Editorと同じく、ツールボックスから命令部にドラッグアンドドロップを行い、要素を配置します。
変数宣言部で変数宣言を行い、各要素に割り付けます。
各要素の詳細については以下を参照ください。
https://content.helpme-codesys.com/ja/CODESYS%20Ladder/_ld_overview.html
ST言語(ストラクチャード・テキスト)はC ++言語ライクな構造化プログラミングが可能
ST言語の特長として、数式演算処理や複雑な情報処理が【◎】です。
どういうことなのか、具体的な例を使ってご紹介します。
数式演算処理
ST言語を使用する場合、数式演算はシンプルに記述することができます。四則演算について乗算・除算が交じる計算になると明確です。
例えば、(10 + 20)×(60 - 15)という演算処理の結果を返すことを表現した場合、下図において、左がLDによる記述、右がSTにより記述です。
条件分岐
ST 言語を使用する場合、複雑な条件分岐をわかりやすく記述することができます。
上位機器での TCP 通信プログラムとして使用される言語 と ST 言語は親和性が高く、複雑な条件分岐を想定した処理を記述しやすいです。
LD 言語でも起動条件の記述はできますが、各行で記述する必要があり、状態が複雑であるほど条件の確認が困難になりやすいです。
また複数の受信待ちファンクションブロックを実行するためには複数行同じ内容を記述する必要があり、かつそれぞれに条件文を記述する必要があります。
下図は、TCP サーバープログラムの接続待ちを LD 言語で記述したものです。サーバー待機状態を同時に 2 つ用意するために、同じ内容を 2 回、記述しています。
繰り返しについて、LD 言語ではジャンプラベルとインクリメントを組み合わせたループにより複数回の呼び出しも可能ですが、ジャンプの多用は可読性を悪くしてしまいます。
一方でジャンプを用いずに記述する場合は同一の内容を何度も記述することになり、プログラミング効率が悪化してしまいます。
例えば、2 つの接続先からのメッセージを受信・文字列処理・エラー処理をループなしで記述した場合、LD 言語では以下のようになります。
同じことをST言語で記述すると以下のようになります。
条件の追加や条件分岐後の処理の拡張、他プログラムへの再利用などが簡単であり、上位機器とTCP通信を行うような場合には、ST言語がお勧めです。
皆様の開発をサポートするTRITONマニュアルとFAQ
TRITONをご購入いただいたお客様にはマニュアルを完備しています。
また、よくあるご質問に関しては、FAQサイトにて公開していますので参照ください。
★TRITON/CODESYS よくあるお問い合わせはこちら★
https://linx-jp.my.site.com/kb/s/topic/0TO7F000000OH6xWAG/triton
シンプルイズベスト!! 単機能にこそ『TRITON』を活用
IIoT化、見える化、工場の隅々までオートメーションフィールドバス対応、OPC UA対応など、装置に求められる機能、装置メーカ様に求められることは増加の一途です。それぞれの対応のために異なるソフトウェアを使いこなす、あるいは、再利用性が低いためにその都度開発を行う、ということをいつまでも継続することはできません。
なぜなら、不採算だからです。
高機能を低価格で実現した『TRITON』を活用すれば、世界で最も使われている制御ソフトの標準プラットフォームである【CODESYS】により、要求機能に応じてソフトウェアで自由に組み合わせ・選択が可能です。
装置のダウンサイジング、装置のインテリジェント化には、『TRITON』が最適です。
そして、単機能にこそ『TRITON』を活用してください。単機能のために、いろいろなソフトウェアやハードウェアを使い分けることはありません。【CODESYS】という1つの統合プラットフォーム上で、用途に応じて、様々な機能を短時間に実現することができます。
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