『TRITON』は、コストパフォーマンスに優れた高性能のハードウェアとチューニング済みのOSにソフトウェアPLC【CODESYS】をパッケージしたオールインワンのPLCです。
評価を完了したお客様にて、実際の装置での稼働が広がっています。
過去のLINX Expressでの『TRITON』活用事例紹介号はこちら
① 自動包装機のインテリジェント化への『TRITON』の活用(不双産業株式会社様事例)
② 半導体モールディング装置のダウンサイジングへの『TRITON』の活用(TOWA株式会社様事例)
今回は、装置の20年振りの刷新に伴い、専用組込みコントローラからの置き換え、かつ、様々な要求仕様を満たすために『TRITON』を活用したお客様事例について紹介します。
TRITON活用事例 ③:菊水製作所 様
- ■ 菊水製作所株式会社(本社:京都府)
- ■ 事業領域:主に医薬品向け打錠機の開発・設計・製造および販売 など
菊水製作所様は、打錠機を研究所などで 使用される小量生産機から、医薬品生産現場 に使用される大量生産機まで製造しており、国内でトップシェアを誇っています。
1910年に京都で創業し、長い歴史の中で医薬品と向き合ってきた菊水製作所様は、日本で初めて回転式打錠機を製造したメーカでもあります。
打錠機の付帯設備として、錠剤測定装置も開発されています。
その装置では、打錠機にて打錠した錠剤の質量・厚み・硬度・錠径を測定します。
従来の測定装置開発から20年以上経過し、医薬品業界向けの要求仕様を満たさない場合が出てきてしまっていました。
■ 新型錠剤測定装置開発の目的
1.ALCOA+原則に基づくデータインテグリティへの対応
2.新たな錠剤搬送方法の開発
3.物性測定の高速化
4.錠剤測定データ収集システムの構築
5.NIRによる成分測定
これらに取組み、新規技術を開発することで医薬品製造の安全性向上および測定装置への高付加価値に貢献したいという思いから、新装置の開発に着手されました。
そして、第26回 インターフェックス ジャパン(2024年6月26日~28日 東京ビッグサイト)にて、初展示されました。
新型錠剤測定装置 TM-PLUS
この錠剤測定の新装置に、『TRITON』を導入いただきました。
【CODESYS】採用の背景:組込みソフトウェアのブラックボックスからの脱却
まず、PLCの国際標準規格IEC61131-3に対応しているソフトウェアPLCに着目しました。
従来の測定装置は組込ソフトウェアで制御されており、開発自体は外部に委託していたため、菊水製作所様ではプログラムの確認が困難な状況にありました。
そこで、国際標準規格IEC61131-3に準拠したソフトウェアPLCである【CODESYS】を使用することにより、汎用デバイスへのプログラムでも確認することが可能になると考えました。
お客様コメント
- 「プログラム作成は外部に委託しましたが、こちらでもプログラムの確認が行えるようになりました」
- 「プログラミング言語は主にLD言語を使用しましたが、演算部はST言語、そのほかにもSFC言語といった使い分けができました」
- 「ソフトウェア資産の流用が可能となりました」
『TRITON』採用の背景:優れたコストパフォーマンス
装置における様々な制御および通信を担うコントローラが必要となります。
【CODESYS】への適切なチューニングを施された『TRITON』であれば、非常にコンパクトでありながら、高性能かつコストパフォーマンスに優れたPLCであり、装置の要求仕様を満たすと考えました。
新型測定装置の開発としては、2023年8月にプロジェクトが発足され、『TRITON』での開発は2024年1月にスタートしました。そして、上述の通り、2024年6月の展示会にて初展示することができました。
■TRITONにて実装した機能
①TRITON 1つでモータを最大7軸制御(EtherCAT)
②マニホールド電磁弁(EtherCAT)
③リニアゲージを制御(EtherCAT)
④ロードセルアンプを制御(EtherCAT)
⑤天秤2つを制御(EtherNet/IP)
⑥zenon(SCADA)と通信(OPC UA)
新型錠剤測定装置 TM-PLUS の 制御系
お客様コメント
- 「コンパクトでありながら、シリアル通信、EtherNet/IP、EtherCATのポートを有しており、ステッピングモータのドライバ等とEthernet接続するといった、様々な市販品電装品と高速通信が可能でした」
- 「価格が抑えられていながらも産業用としての保護機能も有していて安心」
- 「OPC UAサーバ標準搭載といった部分がメリット」
- 「Ethernetだけでなく、RS232Cも標準搭載されており、既存器から新規測定装置への置き換えが可能となった」
TRITONでの開発にあたって
2024年1月の『TRITON』での開発スタートから6月の展示会での展示までの5か月間、使いやすかったこと、苦労したことがありました。
苦労したところ
- 一般的なPLCと比べるとタイマやシフト命令などの専用命令が少なく、ライブラリを使用する必要があった
- 一般的なPLCに慣れているため、使い初めは癖があるように感じて、慣れるのに苦労した
- ユーザーズマニュアルに記載のないことをCODESYSのオンラインヘルプで調べたが、英語だけなので苦労した
- サンプルが少ないと感じた
使いやすかったところ
- OPC UAが標準装備されているため、上位システム等に対してコマンド作成が必要なく、また、変数を追加してもワンクリックでサーバが再構築してくれる部分が非常に使いやすい
- TRITONはすでにCODESYS用にチューニングされているため、一般的なPLCの感覚ですぐに使用することが可能な部分が良かった
- オンラインヘルプが英語である、サンプルが見つからないといった場合、リンクスにサポートしていただけた部分が非常に良かった
- 困ったときにはリンクスにサポートしていただけた部分が非常に良かった
TRITON採用のメリット
新型錠剤測定装置 TM-PLUSへの『TRITON』採用のメリットとして、以下の2点が挙げられます。
1. 医薬品業界向けの要求仕様を安く早く実現できたこと
2. 専用の組込みシステムだったものを汎用化できたため、他の装置においても流用できるようになったこと
菊水製作所様は、お客様のニーズに寄り添って装置製造されるため、機能変更や追加機能が発生したとしても、【CODESYS】でソフト的に変更・対応することができます。
お客様コメント
- 「産業用としての保護機能が標準で搭載されているところが安心できる」
- 「非常にコンパクトなので、PLC部分のスペースダウンが実現できた」
- 「装置のOPC対応(EtherNet/IP、EtherCATも)を容易に実現できた」
- 「ソフトウェア資産の流用ができ、また、開発の外注業者様とソフトウェア資産の共有が可能となった」
- 「現在、打錠機PLCではLD言語のみで設計しているが、今後はST言語等を使用する際の指標ができた」
専用の組込みシステムからの汎用化には『TRITON』を
IIoT化、見える化、工場の隅々までオートメーションフィールドバス対応、OPC UA対応など、装置に求められる機能、装置メーカ様に求められることは増加の一途です。それぞれの対応のために異なるソフトウェアを使いこなす、あるいは、再利用性が低いためにその都度開発を行う、ということをいつまでも継続することはできません。
なぜなら、不採算だからです。
高機能を低価格で実現した『TRITON』を活用すれば、世界で最も使われている制御ソフトの標準プラットフォームである【CODESYS】により、要求機能に応じてソフトウェアで自由に組み合わせ・選択が可能です。
装置のダウンサイジング、装置のインテリジェント化には、『TRITON』が最適です。
専用の組込みシステムからの汎用化には、『TRITON』をご活用ください。
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