「見えない品質」を製造工程で検査する|3次元インライン粗さ測定

目には見えない表面の微細な凹凸(表面粗さ)は、従来、接触式粗さ計や顕微鏡を用いたオフラインでの抜き取り検査が一般的で、生産ラインでの全数検査は困難でした。
近年は3Dセンシング技術の進化により、製造工程内で表面粗さを高速かつ非接触で測定する「インライン粗さ測定」が実現しつつあります。
本記事では、表面粗さが製品品質に与える影響や評価方法、従来手法の課題、そしてインライン粗さ測定を可能にする最新の3Dセンサーについてご紹介します。

1.製品性能そのものに影響する「表面粗さ」

表面粗さは単なる見た目ではなく、表面機能を左右する重要な要素です。例えば、以下のようなアプリケーションでは表面粗さの違いが製品性能に影響します。

・接着・コーティング品質
表面粗さは、接着剤や塗装コーティングの密着性に影響します。剥がれなど接着不良の原因が、微細な表面状態だったというケースも少なくありません。

・摩擦・摩耗
例として、シリンダライナーやベアリングなどの駆動部品では、表面テクスチャが潤滑性能や耐摩耗性を左右します。

・濡れ性・撥水性
微細な表面構造によって、撥水・防汚などの性能が変化します。

・触感
家電、自動車内装、金属装飾部品などでは、触り心地そのものが製品価値になります。

外観検査では異常が見られなくても、詳しく解析すると、「良品と不良品で表面粗さが違う」というケースがあります。粗さを測定し、検査項目として管理することで、見た目では判断できない製品性能を数値で把握できるようになります。

2.粗さ測定で利用される「表面パラメータ」

粗さ測定では、単純に「凸凹している/していない」を見るわけではありません。表面形状を3Dデータとして取得し、各種の表面パラメータへ変換して評価します。

代表的なものに、
 • Sa(算術平均高さ)表面全体の平均的な粗さ
 • Sq(二乗平均平方根高さ)大きな凹凸をSaより強調して評価
 • Sz(最大高さ)表面の最大高さ差
 • Ssk(スキューネス)表面高さ分布の偏り
 • Sku(クルトシス)表面高さ分布の尖り具合
などがあります。

粗さ検査では、「良品と不良品で、どの表面パラメータが違うのか」を分析します。
「目視では見えない品質差」を、表面パラメータとして数値化することで、定量的な自動検査も可能となります。多数あるパラメータから、良品と不良品で傾向が大きく異なるパラメータを検査項目として採用します。

ここで重要な考え方として、インライン検査では、「接触式粗さ計と完全に同じ値を出す」ことが必須とは限りません。むしろ重視するのは、「不良と相関する表面特徴を安定して検出できること」です。
例えば、接着不良が発生する製品群と良品群 を比較した結果、特定のSパラメータと高い相関があるのであれば、それを検査項目として利用できます。
つまり、表面機能と相関する特徴量を見つけることが重要になります。

3.従来の測定機では不可能だった「インライン粗さ測定」

製造工程における外観検査では、傷や汚れ、異物などの一般的に「見える欠陥」が対象で、カメラと画像処理によって長年自動化されてきました。近年では3Dセンサーを活用した外観検査も増えています。
しかし粗さは、
 • 人の目では見えない
 • 2Dカメラでは見えない
 • ナノメートルレベルの凹凸
そのため、「粗さを数値化してインライン検査に使う」という発想そのものが、製造工程ではまだ一般的ではありません。

従来の粗さ測定は、主にラボ環境で行われてきました。使用される代表的な装置は、接触式の粗さ計や非接触3次元顕微鏡などです。これらは非常に高精度ですが、インライン検査に導入するには大きな課題がありました。

接触式粗さ計の課題

接触式は高精度ですが、
 • 製品へ触れる必要がある
 • 測定に時間がかかる
 • 摩耗や破損リスクがある
ため、生産ラインへの適用は困難です。

非接触顕微鏡の課題

白色干渉顕微鏡や共焦点顕微鏡は非接触で高精度ですが、
 • 数十秒単位の測定時間
 • 振動に弱い
 • 狭い領域しか測れない
という問題があります。
そのため現在でも、多くはオフラインの抜き取り検査用途に限られています。

4.インライン粗さ測定を実現する『heliInspect』『Gocator 4000/5000』

こうした課題に対して、新しい可能性をもたらす3Dセンサーが開発されています。
非接触方式で最も精度の高い計測原理である白色干渉法を用いた3次元エリアセンサーカメラ『heliInspect』、従来はポイント測定に限定されていた共焦点法での高速ラインスキャンを実現した『Gocator 4000/5000』です。

ナノメートルレベルの高さ測定が可能な3Dエリアセンサー『heliInspect』

heliInspectは、高速白色干渉技術を利用した3Dセンサーです。従来の白色干渉計とは異なり、ワンショット数100msの高速スキャンで3次元高さ画像を撮像します。ナノメートルレベルの高さ分解能で粗さ測定にも活用できます。

・超高精度高さ測定
ナノメートルレベルの粗さ測定な機種も用意されており、目には見えない微細な凹凸を捉えます。

・高速測定
ワンショット数100msで測定できるため、従来では難しかった高速ラインへの適用も可能です。条件によっては、全数検査も視野に入ります。

・振動環境に強い
製造ラインでは、ロボットや搬送装置などによる振動があります。高速撮影が可能なheliInspectではこれらの振動の影響はほとんど受けません。

・高解像度エリアスキャン
1メガピクセル解像度により、高精度かつ広範囲を一度に取得可能です。点ではなく「面」で表面状態を評価できます。

・粗さ解析ライブラリ heliAlgo
heliInspectでは、粗さ解析用ライブラリ「heliAlgo」も提供されており、各種Sパラメータを利用した粗さ解析に対応しています。

高速ラインスキャンが可能な共焦点3Dセンサー『Gocator 4000/5000』シリーズ

Gocator 4000/5000 シリーズはサブミクロンレベルの高精度高さ測定が可能なクロマティックコンフォーカル(色収差を利用した共焦点方式)をラインスキャンで実現した3Dセンサーです。10kHzを超える高速スキャンでインライン粗さ測定検査を実現します。

・サブミクロン高さ測定をラインスキャンで
共焦点法は、従来はシングルポイント方式のためインライン検査への適用が困難でした。Gocatorはラインスキャン方式で、一度に1,920ポイントの高さを同時に測定します。

・10kHzを超える超高速測定
最大で10kHzを超える超高速ラインスキャンで高さデータを取得します。ロールtoロールで製造されるフィルムなど、これまで不可能とされてきた高速製造のインライン粗さ検査を可能にします。

・光沢表面や透明体も撮影可能
ウェハなどの光沢表面や透明接着剤やガラスも測定可能です。

・測定ツールを内蔵したスマートセンサー
粗さ測定の他、各種寸法測定や画像処理を可能とする測定ツールを搭載しており、マウス操作で簡単に検査処理を構築できます。

「外観検査」から「表面機能検査」へ

これまでのインライン検査は、「見える欠陥を検出する」外観検査が中心でした。しかし今後は、接着性や摩擦特性といった、「見えない品質」も製造工程で自動検査できる可能性があります。
「インライン粗さ測定」は、不良を早期発見し、安定した品質をもたらす新しい品質管理手法です。
LINXでは、heliInspect や Gocator 4000/5000 を活用したインライン粗さ測定ソリューションをご提案しています。

白色干渉法 超高精度3Dエリアセンサー heliInspect

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共焦点 ライン3Dセンサー Gocator 4000/5000 シリーズ

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