鉄鋼生産・加工業界には数多くの複雑なプロセスがあり、工場の物流と輸送のほとんどは、未だに手作業で行われています。しかし、市場の需要が変化するにつれて、加工された鉄鋼製品に対する消費者の需要はますます高まっています。企業はコスト管理と生産管理を徹底するため、インテリジェントでスマートな製造改革が急務となっています。
iRAYPLEは鉄鋼業界の大手企業と提携し、鉄鋼業界向けのAMRを用いたスマートな物流ソリューションを共同で開発することで、工場のデジタル変革の実現と、急速に変化する市場での競争力強化を支援しています。本号では、中国でのiRAYPLEの事例をご紹介します。日本国内では取り扱っていない機種などもありますので、あらかじめご了承ください。
プロジェクト概要
このプロジェクトでは、100台以上の潜り込み式AMR、フォークリフト型AGF・ピッキング型AGFを導入しました。さまざまなタイプのロボットを一括管理・制御することで、現場における多様な接続方式と、様々な規格の材料の搬送ニーズに応えることが可能になりました。
システムレベルでは、機械のMES、上位のWMS、機器のPLCなどのシステムに接続することで、自動的な資材要求と搬送を可能にし、サプライチェーン全体の情報管理を実現しました。
iRAYPLEが独自に開発したRCSシステムにより、工場内の多様なAMRを効率的に管理・制御し、生産ラインを効率化します。
今回のプロジェクトでは、線材などの原材料の出庫、工場内の生産物の搬送、完成品の入出庫など、すべての工程の自動化を実現し、より効率的でスマートな生産ができるようになりました。
線材の入出庫工程
MESシステムから搬送指示が出され、AMRは指定された作業位置へ移動し、線材を自動で倉庫の入庫場所または生産ライン接続位置まで搬送します。
ラインサイド配送工程
自動作業場では、ICSがコンベアラインと上位システムと連携し、自動的に資材の補充要求を行います。そしてRCSがAMRを制御し、空のキャリアと一杯になったキャリアを交換します。
作業員が手作業で行う工程に対しては、ライン作業者がPDAを使用してラインサイドの補充要求を行い、MESシステムがその要求をICSシステムへ送信し、RCSプラットフォームがタスクと棚の種類に応じて適切なタイプのAMRを割り当て、搬送を行います。
製品出庫工程
上位のWMSシステムが在庫を割り当て、出庫タスクをRCSに送信することで、プラットフォームからフォークリフト型AMRへ指定の出庫位置へ移動するよう指示をし、製品の受け渡しを行います。
本プロジェクトにおけるハイライト
二次精密位置決め
3Dレーザーと産業用カメラを使用して、フォークリフト型AMRから潜り込み式AMRへ製品の受け渡し時に、リアルタイムでの二次精密位置決めによって高難易度で高精度な接続を行います。累積誤差をリアルタイムで解消することで、現場作業での接続の精度と信頼性を実現します。
ライントレースによる高精度接続補助
フォークリフト型AMRは経路補正機能を使用して、ワイヤーの一時保管エリアで精密な位置合わせと安定した操作を行います。
情報管理
生産物流の全工程を管理し、ジャストインタイムで高精度な資材の自動搬送を実現することで、作業員への負担や人的依存を低減します。
まとめ
AMRを使用したスマート物流ソリューションの導入により、鉄鋼業界企業の生産システムの包括的な技術革新とスマート化が向上し、高度で柔軟な製造環境の構築に成功しました。これにより、企業はリソースの最適配分を実現し、生産効率と製品品質を向上させることができ、めまぐるしく変化する市場環境の中で、市場ニーズに迅速に対応することが可能となりました。
日本は労働人口の減少により、鉄鋼業界だけでなく、さまざまな業界で人手不足が問題となっています。業務を効率化し事業を継続していくためにも、AIやロボットとうまく協業し、倉庫や工場の自動化を目指していきましょう。
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