HALCONには、マッチングや計測といった従来の画像処理に加え、OCR、3D、ディープラーニング、さらにはアプリケーションとのシームレスな連携など、さまざまな機能が用意されています。では、これらの機能は実際の現場でどのように活用されているのでしょうか。
今回は、「HDevEngine」「マッチング・OCR・3D」「ディープラーニング」という異なる技術を活用した3つの導入事例をご紹介します。それぞれの事例を通して、HALCONがさまざまな課題に合わせて柔軟に活用されている様子をご覧ください。
三谷商事株式会社 ー顕微鏡画像解析ソフト「WinROOF」にHALCONを活用ー
【HDevEngine】 再コンパイル不要の超高速開発へ
三谷商事株式会社は、顕微鏡画像解析ソフトウェア「WinROOF」などを開発・提供しています。WinROOFでは、半導体、自動車、化学、バイオ・医療、金属など、さまざまな分野の画像解析にHALCONが活用されています。

◆課題
しかし、多種多様なユーザーの要望に合わせてアルゴリズムを修正するたびに、ソースコード(C#/C++)の書き換えと再コンパイルが必要です。試行錯誤を繰り返すこの開発フローには、多大な工数がかかっており、ユーザーごとのカスタマイズや納入後の仕様変更に柔軟かつスピーディーに対応できる仕組みが不可欠でした。

◆活用した技術
そこで活用したのが、HDevEngineです。HDevEngineを利用することで、HDevelopで作成した画像処理プログラムを、WinROOFから直接実行できるようにしました。

◆解決
これにより、画像処理アルゴリズムをアプリケーション本体から切り離し、HDevelop上で直接開発できる体制を構築することができました。.hdevファイルを変更するだけで処理内容が即座に反映されるため、アルゴリズムの試行錯誤やユーザーごとのカスタマイズが極めてスピーディーに行えます。

▼三谷商事株式会社様の事例はこちら
https://linx.jp/casestudy/microscopy/?utm_source=chatgpt.com
タカヤ株式会社 ーFlying Probe Testerに多彩な画像処理技術を活用ー
【マッチング・OCR・3D】 多彩な技術の融合で、検査精度と装置の安全性を両立
タカヤ株式会社は、プリント基板の検査装置「Flying Probe Tester」などを開発・製造しています。 Flying Probe Testerでは、プローブを基板上の検査ポイントに接触させて電気的な検査を行います。 その際の位置検出や文字認識などで、HALCONが活用されています。

◆課題
プリント基板の検査では、部品の位置検出や文字認識だけでなく、部品の高さなど、さまざまな情報を正確に取得する必要があります。また、従来の画像処理ライブラリでは、モデル登録時の前処理や生成機能に制約があり、検査対象を十分に捉えられないケースもありました。例えばコンデンサでは、電極部分しかモデルとして登録できず、セラミック部分の有無を見逃す可能性がありました。
◆活用した技術
1.マッチング
HALCONでは、前処理フィルタやコントラストのしきい値などを柔軟に調整できます。これにより、部品全体のエッジを適切に選択してモデルを作成し、セラミック部分の有無まで検出できるようになりました。

2.Deep OCR
基板上に印字された文字の読み取りには、Deep OCRを活用しています。従来のライブラリでは読み取りが困難だった画像に対しても、ディープラーニングを活用した文字認識によって、高い精度で安定した読み取りを実現しています。

3.3Dリアルマップ
さらに、タカヤでは基板とプローブを仮想3D空間上に表示する「3Dリアルマップ機能」を開発しています。HALCONの合焦点法を利用して部品の高さを自動計測し、その結果を3Dマップに反映することで、これまで目視で行っていた部品高さの確認を自動化しました。正確な高さ情報を反映することで、手入力ミスによるプローブと基板の干渉を防ぎ、装置の安全性向上も同時に実現しています。


◆解決
このように、マッチング、Deep OCR、3D画像処理を用途に応じて組み合わせることで、位置検出、文字認識、部品の高さ計測など、Flying Probe Testerに必要なさまざまな処理を実現しています。
▼タカヤ株式会社様の事例はこちら
https://linx.jp/casestudy/flying-probe/?utm_source=chatgpt.com
新光電気工業株式会社 ー半導体外観検査のベリファイ工程にHALCONを活用ー
【ディープラーニング】 AIとルールベースの融合で自動化率100%へ
新光電気工業株式会社は、半導体パッケージなどの開発・製造を手掛けるメーカーです。製造工程の外観検査にも画像処理を活用しており、HALCONは長年にわたって検査装置に採用されています。

◆課題
外観検査では、不良の流出を防ぐために厳しい判定基準を設定しています。一方で、良品まで「仮不良」と判定されるケースがあり、その場合は検査員が画像を確認するベリファイ作業が必要となります。この方法によって不良の流出を防ぐ一方、検査員が一つひとつ画像を確認する必要があるため、検査量が増えるほどベリファイ作業の負担も大きくなるという課題がありました。

◆活用した技術
そこで、ベリファイの自動化には、HALCONのディープラーニングによる画像分類を活用しています。ただし、AIに画像を学習させるだけではありません。
学習に必要な画像が不足する場合には、画像処理によって画像を加工して学習データを増やす「N増し」を行い、AIの判定結果については信頼度やヒートマップを確認することで、AIがどのように判定したのかを検証できるようにしています。さらに、学習時には存在しなかった未知の不良モードを検出するため、OOD(Out of Distribution Detection)も活用しています。


◆解決
こうした複数の技術を組み合わせることで、AIによるベリファイの自動化を段階的に進めています。AI自動化率は30%程度からスタートしましたが、検証と改善を重ね、現在では品種によって100%の自動化を実現しています。

また、AIと検査員の判定結果を比較するクロスチェックの仕組みなども構築し、AIの判定精度を確認しながら適用範囲を広げています。単にAIに判定を任せるのではなく、従来の画像処理とディープラーニングを組み合わせ、AIの判定を検証・改善しながら現場への適用を進めていることが、この事例の大きなポイントです。
▼新光電気工業株式会社様の事例はこちら
https://linx.jp/casestudy/ai-inspection/?utm_source=chatgpt.com
現場の課題に合わせて、さまざまな技術を組み合わせる
今回ご紹介した3社では、それぞれ異なるHALCONの技術が活用されています。HDevEngineを用いたアプリケーション連携、マッチング・OCR・3D、そしてディープラーニング。一見すると異なる用途に見えますが、共通しているのは、現場の課題に合わせて必要な技術を選び、組み合わせていることです。
一つの技術ですべてを解決するのではなく、それぞれの技術の強みを活かして組み合わせる。「この課題には、どの技術を使うか。」その選択肢の広さと柔軟性こそが、HALCONの大きな特長の一つです。
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