産業用画像処理のスタンダードとして世界中で利用されているHALCON。その中核を担う開発環境「HDevelop」が、20年以上の歴史を経て劇的な進化を遂げようとしています。本号では、2026年11月の正式リリースに向け、現在プレビュー版が公開されている次世代の開発環境「HDevelopEVO」の全貌をご紹介します。

画像処理開発を再定義する、次世代の統合開発環境
画像処理アプリケーションがより複雑化・大規模化し、一方で深刻なエンジニア不足が課題となっている近年の開発現場。こうした背景を受け、MVTec社が満を持して投入するのが、従来のHDevelopに代わる次世代開発環境「HDevelopEVO」です。
HDevelopEVOは、長年培われた直感的なデバッグ機能や高度な可視化技術を継承しつつ、現代的なソフトウェア開発に最適化された「プロジェクトベース」の管理体系へと生まれ変わりました。
大規模開発を支えるモダンなエディタ機能
HDevelopEVOは、現代のソフトウェア開発エディタのようなUIを採用しているため、使い慣れたユーザーはスムーズに移行できます。これに合わせて、開発作業をより効率化するためのさまざまな機能改善が実施されます。その一例として、以下のような点が挙げられます。
- タブ形式のエディタ: 複数のプロシージャやスクリプトをタブで切り替えながら編集でき、ファイル間の移動がスムーズになります。

- インライン・プロシージャ管理: プロシージャの宣言と定義をメインスクリプト内に記述するスタイルを採用。折り畳み表示(Folding)機能により、大規模なコードでも全体像を容易に把握できます。

- インラインホバードキュメント: オペレーターにマウスを合わせるだけで、引数の詳細や解説がその場で表示され、開発の手を止める必要がありません。

- Git連携の標準サポート: 外部ツールを使わずともIDE上から直接バージョン管理が可能になり、チーム開発における変更履歴の追跡が格段に容易になりました。

「HALCON Script Engine」によるシームレスな運用
開発した画像処理アルゴリズムは、実運用では通常、表示画面やボタン付きのGUIアプリケーションを別途開発し、その中の一機能として組み込んで利用します。HDevelopEVOで作成したスクリプトは、「HALCON Script Engine」(従来のHDevEngineをさらに進化させたもの)を通じて、C#やC++で作成されたアプリケーションから直接呼び出して実行できます。

アルゴリズムの修正が必要になった際も、アプリケーション側は再コンパイルをすることなく、スクリプトファイルを差し替えるだけで変更を反映できるため、メンテナンス性が飛躍的に向上します。
AIアシスタントの統合により開発効率がさらに加速
HDevelopEVOの象徴的な機能の一つが、生成AI(LLM)との統合です。
AIアシスタントは、開発者の「この画像に写っている黒い穴を見つけて」といった自然言語の指示(マルチモーダル入力)を理解し、最適なオペレーターの提案やサンプルプログラムの自動生成を行います。

OpenAI、Gemini、GitHub Copilotといった外部LLM APIサービスとの連携に加え、セキュリティを重視する現場向けにローカルLLMの利用も選択可能です。これにより、マニュアルを読み込む時間を大幅に削減し、思考のスピードでアルゴリズムを構築することが可能になります。
2026年11月、製品版リリース予定
HDevelopEVOは、HALCONのSteady Edition(バージョン24.11のみ)またはProgress Editionをご契約のユーザー様であれば、インストーラーから今すぐ無料で導入いただけます。
現在公開されているHDevelopEVOは機能限定のプレビュー版となっており、従来のHDevelopで使用可能な機能のうち一部がまだ実装されていません。

製品版としての正式リリースは、2026年11月予定の「HALCON 26.11」からとなります。従来の.hdevファイルから.hscriptに変換するツールも提供されるため、これまでの資産を活かしつつ、スムーズに次世代環境へ移行することが可能です。
画像処理開発の新たなスタンダードとなる「HDevelopEVO」を、ぜひ一足先にご体感ください。










