2023年1月17日(火)に、リンクスのオリジナル製品である『TRITON』をリリースしました。
多くのお問い合わせをいただいており、即決で評価購入していただいたお客様もいらっしゃいます。
『TRITON』は、コストパフォーマンスに優れた高性能のハードウェアとチューニング済みのOSにソフトウェアPLC CODESYSをパッケージしたオールインワンのPLCです。強力なパフォーマンスに加えて、長期供給保証と産業用途として充分な保護機能を備えています。
前号(① TRITONの概要と活用例)では、『TRITON』の開発背景から製品特徴、そして活用例をご紹介しました。
◎ LINX Express Vol.441
新製品産業用コントローラ『TRITON』リリース!!
① TRITONの概要と活用例
本号では、『TRITON』の技術仕様やその性能についてご紹介します。
PLCの再発明
産業用としても十分な性能を持つようになった Raspberry Pi(ラズパイ)
そして、産業コントローラに求められるインテリジェンスをすべて兼ね備えたCODESYS
この2つを組み合わせ、PLCを再発明した製品が『TRITON』です。
『TRITON』のハードウェア仕様とソフトウェア仕様をそれぞれご紹介します。
『TRITON』のハードウェア仕様
『TRITON』には、Raspberry Pi Compute Module 4 が搭載されており、極めて高速なCPU、充分な容量のメモリ、高速WiFiとBluetooth、4Kビデオ出力などを備え、そして低消費電力を実現しています。
『TRITON』に搭載されているBCM2711プロセッサ、クアッドコアCortex-A72 64ビットSoCは想像以上の処理性能を発揮します。LINPACK ベンチマークに基づいた前モデルとの比較では、なんと4倍もの高速化を実現しています。
次に、EtherCATでのモーション制御における能力評価を実施しました。一般的には、制御周期として 1/1000秒(1ミリ秒)前後が制御サイクルとして求められます。制御する軸数が “なし” の状態から1軸、2軸・・・と増やしていったときに、どのくらいの演算時間がかかったかを計測しました。
1軸制御で「150マイクロ秒」未満、7軸同時制御でも「200マイクロ秒」未満となり、1ミリ秒の制御周期に対して80%以上の演算余力を残し、余裕のEtherCAT制御能力を示しています。
『TRITON』のハードウェア仕様詳細
『TRITON』のハードウェア仕様詳細は以下のようになっています。
プロセッサー | |
---|---|
CPU | Broadcom BCM2711, Arm® Cortex®-A72 @1.5 GHz x4, H.265 (HEVC) 最大4Kp60までのデコード, H.264 最大1080pまでのデコード, 1080p30のエンコード Open GL ES 3.0 |
メモリー | |
LPDDR4-RAM | 1GB / 2GB/ 4GB / 8GB 標準(2GB) |
eMMC | 8GB / 16GB / 32GB 標準(16GB) |
SD-Card | microSD Card スロット x1 |
FRAM | 32kbit |
通信ポート | |
Ethernet | 1Gbit/s x1, 10/100Mbit/s x1 |
USB | 2.0Host x2, 2.0OTG x1 |
Serial | RS232 x1, RS485 x1 |
CAN | CAN2.0 FD x1 |
DIO | DIO (24V/ 最大800mAまで) x4 |
WLAN/Bluetooth | 2.4GHz / 5GHz Dual-band WiFi, Bluetooth5.0 BLE (オプション) |
ディスプレー、タッチパネル、カメラインターフェース | |
LCD インターフェース | 2-lane DSIディスプレイインターフェース x1 (最大1Gbit/s per laneまで), DSI 1, HDMI2.0 (最大4Kp60までをサポート) x1 |
タッチパネルインターフェース | I2C x1, USB x1 |
カメラ インターフェース | 2-lane MIPI CSI カメラインターフェース x1 |
電源、環境、規格対応、その他 | |
電源 | 24V DC ±20 % |
フォームファクタ | ステンレス製筐体 111 x 25 x 76 mm (取り付け部:35 mm DINレール EN 60715準拠) |
温度 | 0°C to +55°C |
保護クラス | IP20 |
認証 | CE |
『TRITON』のハードウェアオプション
ハードウェアオプションとして、Modbus接続(RS-485)の入力8点、出力8点(DC24V)のリモートDIOユニットがあります。このユニットを複数ディジーチェーン接続することでDIOを増設することができるため、最小の配線でセンサやアクチュエータの近くに自在に配置することが可能となります。
『TRITON』のOS仕様
『TRITON』には、OSとして、リンクスが独自にチューニングしたRaspberry Pi OS Real-time kernel version を搭載しています。産業用途で安定した制御を行うためには、プロセッサの性能だけでなく、OSのチューニングが肝となります。『TRITON』のハードウェアとソフトウェア(CODESYS)の性能を充分引き出すために、ソリューション事業の経験からLinuxに精通したリンクスが、『TRITON』用に特別にチューニングを行いました。
『TRITON』のソフトウェア仕様
『TRITON』には、国際標準規格IEC 61131-3 に準拠したソフトウェアPLCであるCODESYSが搭載されています。
CODESYSは、日本を含め全世界で400社以上がOEM採用し、年間100万本以上のライセンスが発行される世界で最も使われているソフトウェアPLCです。
CODESYS統合開発環境
PLC、モーション、 HMI、 フィールドバスなどのプログラミング設定を1つのツリーとして一括管理することで、全ての開発をシームレスに行うことを可能とした開発環境を標準提供します。
IEC61131-3準拠のPLC
ST、ラダー、FBD、SFC、IL、CFCの6言語、および、IEC61131-3 第3版のオブジェクト指向プログラミングにも対応しています。
HMI構築/HMI制御
HMI機能を搭載しています。作成したHMI画面は、TargetVisu機能による表示、WebVisu機能によるインターネットを介したタブレット端末等のWebブラウザへの表示など様々な形で表示ができます。また、マルチタッチ対応により、直感的なHMI操作が可能です。
種類豊富なフィールドバススタック
多数のフィールドバスのソフトウェアスタックを提供しています。スレーブI/O、モーションドライブなどを豊富な選択肢から自由に構築可能です。
OPC UA
OPC UAサーバー機能により、PLC上の変数を外部から読み書きすることが可能です。既存のSCADAシステムや外部機器とのデータ交換を簡単に実現できます。
『TRITON』のソフトウェアオプション
ソフトウェアオプションとして、PLCopenに準拠したソフトモーション機能も使用することが可能です。単軸から多軸まで、IEC 61131-3 プログラミング環境でロジックアプリケーションと一緒に直接開発できます。TRITONとの組合せで、余裕のモーション制御能力を発揮します。
『TRITON』のソフトウェア仕様詳細
『TRITON』のソフトウェア仕様詳細は以下のようになっています。
搭載OS、ソフトウェア | |
---|---|
OS | Raspberry Pi OS Real-time kernel version |
ソフトウェアPLC | CODESYS |
ファンクション | |
マルチコアのサポートを含む拡張バージョン | |
個々の IEC アプリケーションを異なるCPUコアにバインドするための開発システムの拡張 | |
マルチコアアプリケーションのデバッグ | |
インターフェース | |
CODESYS OPC UA Server (Full version) | |
CANopen via EL6751 Gateway | |
Raspberry Pi Camera | |
I²C interface, with SenseHat, SRF02, Adafruit PWM, MPU6050 Gyro, MPU9150 Gyro, AK8975 Compass | |
SPI interface, with MCP3008, MCP23S17, PiFace Digital, PiFace Control Display | |
One-wire interface, with DS20B18 | |
Serial | |
GPIO | |
ビジュアライゼーション | |
CODESYS Web Visu (Full version) | |
フィールドバスサポート | |
CODESYS CANopen Manager / Device | |
CODESYS EtherCAT Master | |
CODESYS EtherNet/IP Scanner / Adapter | |
CODESYS J1939 | |
CODESYS Modbus TCP Master / Slave | |
CODESYS Modbus Serial Master / Slave | |
CODESYS PROFINET Controller / Device | |
オプション | |
CODESYS SoftMotion SL |
『TRITON』であらゆる制御を簡単に実現、工場の隅々までIIoT化
『TRITON』のハードウェア・ソフトウェアの機能や性能についてご紹介しました。
IIoT対応、フィールドバス対応、世界標準対応/標準化対応には膨大なソフトウェア開発を伴います。しかし、CODESYSを搭載した産業用コントローラ『TRITON』を使えば、簡単かつ短時間で、実現可能です。
是非、皆様の装置に『TRITON』をお役立てください。
ご意見・ご感想募集
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皆様のご投稿お待ちしております。本年も変わらぬご愛顧の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
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