今回は、リンクスのエンベデッドビジョンソリューションの1つである【多カメラ・長距離伝送】の技術を活用した装置内監視システムの事例を紹介します。
エンベデッドビジョン事例 ③
【お客様】
大型製造装置を開発されているお客様
【アプリケーション】
製造装置内の状態を監視し、異常検知時には直前3分間を録画し出力
【実現したこと】
搭載カメラ台数を40台まで増やし、かつ、長距離伝送により装置の隅々まで配置し、SoCによるシステム構造改革を実現
現行の装置システム概要
製造装置内の監視
・16台カメラ接続
・H264グラバー(NTSC)による録画・動画圧縮
・簡単な画像処理(非常時画像処理)
現行の装置システムの課題に対するチャレンジ
課題
・マシンビジョンシステムとする
今回取り組んだ技術的チャレンジ
・カメラ台数を40台に増加
・解像度アップ
・画質アップ
・取込速度アップ
・サイズダウン
・常時画像処理追加
従来の延長で、PCベースで実現しようとすると、カメラ台数を16台から40台へと増やす分、PCが何台も必要となります。カメラ40台に対して、動画圧縮ボードが必要となります。サイズ、システムコストの点で要求を満たせないことは明白です。
カメラのコストが下がってきたこと、そして、これまで専用ボードが別途必要であったハードウエアエンコーディング(H.265)がSoCに標準搭載されたことをきっかけとして、PCベースをSoCベース(エンベデッドビジョンシステム)に置き換えるという装置システムの構造改革に着手されました。
リンクスのエンベデッドビジョンソリューション
多カメラ・長距離伝送の技術
エンベデッドビジョンにおけるカメラのI/FとしてはMIPIが最適です。MIPIカメラはSoCと直結することができ、CPUを使用することなく画像取得が可能(ハードウエアで処理される)であるため、高速・高解像度カメラの複数台接続が必要となるシステムにおいては特に適しています。ただし、エンベデッドビジョンシステムを構築する上で考慮しなければいけない課題が2点あります。
伝送距離の課題
MIPI CSI-2のケーブル長の仕様は<30cmとなります。小型装置やカメラモジュールといった場合であればカメラとSoCを近くに設置できるので問題はありませんが、今回のお客様のように大型装置や複数台のカメラを様々な箇所に離れて設置するといった場合は問題となります。
カメラ接続ポート数の課題
SoCは低コスト・高性能・多機能であるものの、搭載されているカメラ接続ポート数には限りがあります。多くのカメラを使用するシステムにおいては、SoCのカメラ接続ポート数がボトルネックとなり、システム仕様がSoC仕様に合わなくなり、結果としてSoCが複数個必要となり、コストメリットが出せなくなってしまいます。
お客様の要求仕様を満たすためには、この2つの課題をクリアする必要があり、リンクスの多カメラ・長距離伝送ソリューションを適用しました。このソリューションでは、SerDes(シリアライザ/デシリアライザ)とバーチャルチャネルという2つの技術を融合させることで実現します。
これにより、40台のカメラを大型装置の様々な場所に配置することが可能となり、カメラ接続ポート数がボトルネックとなることはなく、処理仕様に応じて必要最低数のSoCによってエンベデッドビジョンシステムを構築することができました。
多カメラ・長距離伝送ソリューション(SerDes と バーチャルチャネル)
・伝送距離の課題: クリア
・カメラ接続ポート数の課題: クリア
一般公開用にリンクスにて作成した多カメラ・長距離伝送デモ機
※クリックで拡大
SoCによるシステム構造改革を実現
リンクスのSerDes と バーチャルチャネルを駆使した多カメラ・長距離伝送ソリューションにより、コスト、サイズ、演算速度に対する要求仕様をすべて満たすことができました。
エンベデッドビジョンのことならリンクスへ
今回紹介したエンベデッドビジョン事例では、SoCベースの分散画像処理システムが装置に新たな付加価値を生み出すことをご紹介しました。
我々リンクスは、マシンビジョンに関する豊富なノウハウと、鍛え抜かれた組込機器開発技術を融合し、これからの時代に最適なエンベデッドビジョンソリューションを提供します。
エンベデッドビジョンについては、リンクスにご相談ください。