はじめに

LINX Express Vol.582にて、産業用ドライブレコーダー「LINX Vision Station」をご紹介しました。品質トレーサビリティや装置トラブル時の原因解析を目的として、装置内部やオペレーション状況を記録するために開発された産業装置向けの監視ソリューションです。 本製品は「産業用途で安心して使える監視システムが意外と少ない」というお客様の声を元に開発されました。
今号では、そのようなお客様の課題を振り返りながら、LINX Vision Stationが備える代表的な機能をご紹介します。
なぜ専用の産業用ドライブレコーダーが必要なのか?
装置内部の監視や映像記録を行いたいという目的に対して、現在は主に2つのアプローチが採用されています。
① 民生向けIPカメラシステムの活用
最も手軽な方法は、一般的なネットワーク監視カメラを導入することです。
しかし、IPカメラを用いて装置内監視を実現しているお客様から多く聞こえてきたのが、「製品ライフサイクルの短さ」に関する課題でした。
産業装置は5年~10年以上にわたって販売や保守が継続されることも珍しくありません。一方で民生向け監視カメラは世代交代が早く、突然の生産終了によって同一構成での継続調達が難しくなるケースがあります。
実際に、装置のライフ期間中に監視カメラだけが先にEOLになり、そのたびに置き換え評価や再検証が必要になってしまうお悩みも多く聞かれました。
また、長期間の連続稼働や長期供給を前提とした製品ではないことも多く、品質保証やトレーサビリティが求められる産業用途では「信頼性の観点で採用しづらい」という課題もあります。
② 産業用カメラを使った自前構築システム
もう一つは、産業用マシンビジョンカメラとPCを組み合わせ、お客様自身で録画監視システムを構築する方法です。
このアプローチは長期供給性や信頼性の面では安心できますが、
一方で、「録画監視用途としてはコストパフォーマンスが悪い」という問題があります。
産業用カメラは本来、外観検査・計測・位置決めなどを目的に設計されているため、
装置監視用途では使わない機能や性能も多く、録画のためだけに導入するにはオーバースペックになるケースも少なくありません。
さらに、一般的な産業用カメラは画像処理を行うためRAW画像での出力となりますが、高解像度カメラを複数台用いて長期間の録画を行うためには映像圧縮処理が必要となります。この圧縮・記録処理をPC側でリアルタイムに実行しようとすると、高性能CPUや大容量ストレージが必要になり、システムコストが大きく増加します。
特に装置メーカー様にとって、本来投資したいのはワークの検査性能や計測性能であり、装置監視システムではありません。監視のためだけに高価なPCを準備したり、工数を掛けて専用のソフトウェアを開発することに課題を感じているお客様は少なくありませんでした。
LINX Vision Stationがその課題を解決します
LINX Vision Stationは、
- 産業用途に求められる品質と長期供給性
- 装置内監視に特化した超小型カメラ
- 録画処理専用のハードウェア
- すぐに使える専用ソフトウェア
をワンパッケージで提供する産業用ドライブレコーダーソリューションです。
お客様によるアプリケーション開発や録画システム構築は不要で、購入後すぐに装置内の録画監視システムとして運用開始できることが大きな特長です。有事の際に備えて平常運転時から常時映像を連続記録する、まさに車のドライブレコーダーと同じ感覚で装置内の録画監視が可能となります。
それでは実際にどのような機能を備えているのかをご紹介します。
主な機能
1. ライブストリームビュー
今装置の中で何が起きているのかを確認したい。そんな場面で活躍するのがライブストリームビューです。接続された複数台のカメラ映像をリアルタイムで表示できるため、
- 装置立上げ時の確認
- メンテナンス作業時の監視
- 生産状況の確認
などに活用できます。
録画を継続しながらライブモニタリングを行えるため、常時記録と現在状態監視を同時に実現することができます。
現在の全カメラの映像をストリーミング再生
2. プレイバックビューワー
トラブルの原因解析において最も重要なのが、「問題発生時の映像を後から確認できること」です。
プレイバックビューワーでは常時記録された録画映像から、任意の時間の映像を高画質で再生できます。カレンダービューから再生したい日付を選択し、直感的なUIで再生時刻や再生対象のカメラを選択できます。
例えば、
- ワーク不良が発見された
- 装置が停止した
- 作業ミスが疑われる
- 出荷後の製品に対して顧客からクレームがついた
といった場合でも、その時に何が起きていたのかを映像で確認することができます。
再生時の拡大表示や、再生速度の変更にも対応していますので、装置内部で起きていた事を詳細に確認することが可能です。
録画した映像を高画質でストリーミング再生
3. スナップショット・エクスポート機能
トラブル内容の解析結果を社内外の関係者へ報告したい場合には、映像を切り出してレポート作成、共有したいケースがあります。 LINX Vision Stationでは、
- 任意のフレームを静止画として保存するスナップショット機能
- 必要区間だけを動画ファイルとして切り出すエクスポート機能
を搭載しています。保存した静止画ファイルや映像ファイルは、PCの一般的な画像ビューワーやメディアプレイヤーで再生ができます。品質報告書や解析資料への添付も容易です。
映像中の任意のフレームを静止画として保存
録画映像の一部を切り出して動画ファイルとしてダウンロード4. カメラ設定UI
LINX Vision Stationの専用カメラモジュールは、基本はフルオートで動作し、露光調整やホワイトバランスの設定をしなくても環境に合わせて適切な映像を記録できますが、必要に応じて露光時間やゲインなどを手動調整することもできます。
例えば、
- 高速搬送されるワークを鮮明に記録したい
- 特定エリアの明るさを優先して記録したい
といった用途にも対応可能です。
また、液体レンズ対応モデルではリモートフォーカス機能を利用でき、PC上からカメラのフォーカス位置を調整できます。装置内部へ設置した後でもピント調整を行えるため、設置やメンテナンスの負担を軽減できます。また、奥行きのあるシーンに対してフォーカス位置を切り替えながら監視を行うこともでき、多様な装置監視ニーズに対応可能です。
露光時間やゲインのマニュアル設定も可能
遠隔でピント位置の調整が可能5. システムモニター
トラブル発生時の証拠保全の役割を担う監視システムは、安定して稼働し続けることが重要です。
LINX Vision Stationでは、専用アプリケーション上から録画ユニット本体や接続されたカメラモジュールの状態をリモートで確認できる「システムモニター」機能によって、
- LINX Vision Station本体の動作状態
- カメラの接続状態
- 各デバイスの動作温度情報
- ストレージ残容量
- ストレージ稼働時間(アワーメーター)
などを一元的に確認することができます。
例えば、制御PCとLINX Vision Stationが離れた距離で設置されている場合でも、録画システムやカメラの状態をリモートで確認できるため、運用中のヘルスチェックに活用いただけます。
さらに、万が一LINX Vision Station自体に何らかのシステム異常が発生した際には、
- DIOを利用したアラーム信号出力
- 専用アプリケーション上でのエラー通知
によって早期に状況を把握できるため、監視システムの停止リスク低減に貢献します。
録画ユニットやカメラの動作状態をリモートで監視
これら各機能の詳細は下記動画にてご確認いただけます。
まとめ
監視システムは、トラブル発生時の原因解析や品質トレーサビリティを実現するための重要な要素です。しかし、多くの装置メーカー様にとって、監視システムそのものは競争力の源泉ではありません。
本来注力すべきは、ワークの検査や計測精度改善、生産性の向上であり、録画システムの開発や運用に多くの工数やコストをかけたくないというのが現場の本音ではないでしょうか。
LINX Vision Stationは、産業用途で求められる長期供給性と信頼性を備えながら、録画ユニット・専用カメラ・アプリケーションをワンパッケージで提供することで、購入後すぐに装置内監視システムとして運用を開始できます。
単に映像を記録するだけでなく、品質トレーサビリティの強化、装置トラブルの原因解析、運用中のヘルスチェックまでを想定した、産業用途の監視ソリューションとして開発しました。装置内監視や製造現場の可視化をご検討の際は、ぜひLINX Vision Stationをご検討ください。
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