オールインワンの画像処理ソフトウェア「MERLIC」の最新バージョン5.8が、本日10月16日にリリースされました。
前回のMERLIC 5.7のアップデートに引き続き、プロセス安定性の向上やレシピ管理画面の拡充など、現場適用時の安定性や利便性を高める機能が追加されています。また、文字認識やコード読み取り機能の拡充や、GUI表示の画像への重ね合わせ機能の追加など、画像処理ソフトウェアとしての使いやすさがますます拡大しています。
MERLIC 5.8は「MERLIC 5」のライセンス所有者であれば、追加費用なしでご利用いただけますので、ぜひダウンロードしてお試しください。
現場への適用機能の拡充
MERLICを現場のインライン検査に適用するにあたり、アプリケーション全体の安定性や内容管理のための機能が追加されました。これらは画像処理機能とは異なりますが、現場適用を進める上で重要な機能です。画像処理の機能としては網羅性が高まってきた中、現場適用時やその後のメンテナンスにつながる機能を追加しています。
プロセス安定性の向上
現場で画像検査アプリケーションを導入する上では、画像検査の性能はもちろんですが、カメラからの画像を漏れなく取得できているかのモニタリングも重要です。
今回のアップデートで、MERLICでフレームIDを取得し取得画像に取りこぼしがないか監視したり、撮像前の処理開始信号待ちの状態でカメラとの接続を監視したりする機能が加わりました。
さらに、トリガーの取りこぼし検出機能も追加されたため、トリガーを受けたにもかかわらず画像取得ができなかった場合のアラートも出力できます。
レシピ管理画面の拡充
画像処理アプリケーションとしての中心的な機能は、”画像処理機能”ですが、MERLICは通信設定機能も搭載しており、アプリケーション全体で見たときには、この通信関係も含めた管理が必要になります。
新しいレシピ管理画面では、設定された画像処理プロジェクト(MVApp)のファイル名だけでなく、画像処理ロジックの概要、使用するカメラの設定情報、通信設定の入出力情報なども確認できるようになります。
今後は、レシピ設定画面が「アプリケーション全体」を管理する機能を担うことになります。
文字読み取りやコード読み取り機能がアップデート
ディープラーニングベースの文字読み取り機能(Deep OCR)やバーコード・2次元コード読み取り機能は、外観検査に比べシンプルなロジックで構築しやすく、MERLICでアプリケーションを構築するのに相性が良い機能です。
これらMERLICの強みである画像処理機能もアップデートを続けています。
Deep OCR機能で認識文字の信頼度が出力可能に
Deep OCR機能では、画像中の文字領域の抽出と文字認識の機能を1つのツールで行います。文字認識時は、内部的に各文字ごとに信頼度が計算されており、今回からこの信頼度が出力できるようになりました。
MERLICが搭載しているDeep OCRは、開発元のMVTec社にて製造業で使用される様々な文字を事前に学習しており、フォントや文字形態によらず安定した検出が可能な優れた機能です。人が画像中で文字として認識できる対象領域はDeep OCR機能でもかなりの精度で読めるようになっていますが、人でも誤認識しやすい文字に対しても何かしら認識した文字をアウトプットします。今後、信頼度が出力できることで、例えば信頼度に閾値を設定し、スコアの低い文字はアラートを出すような運用にすれば、より精度を重視した文字読み取り機能も実装できるようになります。
HALCON 25.05搭載の2次元コード読み取り機能の改善がMERLICにも適応
MERLICでは、内部的に画像処理ライブラリHALCONが動作しています。HALCONは半年ごとに最新版をリリースしていますが、MERLICにも一部機能がすぐに実装されています。
コード読み取り機能はMERLIC 5.7以前のバージョンにも搭載していますが、曲面上のQRコード読み取り性能の向上や、データマトリックスのクロックパターン欠陥を許容するパラメータが追加されました。
GUI表示の拡張性が増加!
MERLICにはGUIの開発と表示機能が含まれており、柔軟なアプリケーションGUIがノーコードで開発できる点も多くのユーザーに喜ばれています。今回、画像処理の開発画面[Creator]のツールに、GUI表示用の画像を編集できる関数が追加されました。
これまでも、GUI作成画面の]Desinger]で欠陥の領域や輪郭の表示設定は行えましたが、このツールを使用することで、枠線の幅や色の調整が直感的に行いやすくなり、利便性が向上します。また、画像に検出文字やテキストを重ね合わせ表示することができるようにもなりますので、現場の方が認識しやすいGUI開発がますます可能になります。
その他のアップデート
その他にもMERLIC 5.8には次のアップデートが含まれています。
- Siemens IE Data Busに対応した通信プラグイン
- レシピ切り替え時間の高速化
- AIアクセラレータ機能としてIntel NPUに対応
- 「式を判定」ツール用のサンプルプログラム追加
- MERLIC Frontendへのリモート接続時のポップアップに接続候補先が表示
- 画像取得シーケンス機能のマニュアルがヘルプに追加
MERLIC 5.8にも45日間無償トライアルが用意されています。MERLIC 5シリーズを初めて試す方は下記よりディープラーニングを含めたフル機能をお試しいただけます。
アップデートされたMERLIC 5.8で、ぜひ現場への画像検査アプリケーションの適用を加速してください。
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