画像処理技術の中でも頻繁に活用される「パターンマッチング」。HALCONが提供する様々なマッチング手法の中でも、特に注目される「形状ベースマッチング」の特長と活用事例をご紹介します。さらに、HALCONの最新バージョンで利用可能な便利機能についてもお伝えします。 | ![]() |
生産現場におけるパターンマッチングの活用
パターンマッチングとは、あらかじめ登録したモデル(パターン)と、検査対象の画像との類似性を評価し、モデルが画像内のどこに、どのような向きで存在するかを検出する画像処理技術です。
この技術は、製造業における様々な工程で不可欠な役割を果たします。主な用途は以下の通りです。
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HALCONのパターンマッチング手法
HALCONは、用途に応じて様々なパターンマッチング手法を提供しています。対象物の特性(3次元、変形、質感など)や、対象物に生じうる変化(回転、スケール、歪み)に応じて、最適な手法を選択できます。これにより、様々なアプリケーションで高精度かつロバストな検出を実現します。
形状ベースマッチングの特長
ここからは、中でも頻繁に活用されることの多い、「形状ベースマッチング」に着目してご紹介します。その主な特長は以下の通りです。
- エッジベース: 画像の輝度情報(色の濃淡)ではなく、対象物の「幾何学的な形状(エッジ情報)」のみを解析します。これにより、照明条件が変化したり、対象物の色が異なったりしても、安定してパターンを検出できます。
- 高速性: 独自のアルゴリズムにより、複雑なパターンでも高速に検索を実行します。これにより、生産ラインのタクトタイム短縮に貢献します。
- 高精度: 回転やスケールの変化、一部が隠れている場合でも、高い精度でモデルを検出します。これにより、光学系の分解能が不十分な環境での運用も可能になります。
- ロバスト性: 背景のノイズや部分的な欠損、照明のムラなど、現実の製造現場で起こりうる様々な変動に強い頑健性(ロバスト性)を持っています。
以下の動画は、形状ベースマッチングの活用例です。回転するターンテーブル上のパッケージをHALCONで高速かつロバストに検出する様子を実演しています。位置や向きの変化、一部の重なり、照明の反射といった厳しい環境下でも、正確なパターン認識とカウントが可能です。
形状ベースマッチングの進化
HALCONの形状ベースマッチングは、常に進化を続けています。HALCONバージョン21.05 Progress以降では、汎用的なモデル形式であるgeneric形式が登場しました。これにより、用途に応じて個別に分かれていた関数を、統一することができます。
従来のベースマッチング機能が1種類のオペレーターに統合
さらに、generic形式のモデルでは、サンプル画像群を用意すれば、形状ベースマッチングのパラメータを自動調整してくれる、「拡張パラメータ推定」が搭載されました。使用方法としては、マッチング用のモデル画像に加えて、パラメータ推定用に数枚の画像サンプルを準備するのみです。
サンプル画像をもとに、マッチングスコアのしきい値等が自動で適切な値に調整されます。拡張パラメータ推定の活用により、以下のような効果が手軽に得られます。
- マッチング対象が見つからない状況の改善
- パターンマッチングの処理速度の向上
HALCONで最先端のパターンマッチング技術を
HALCONの形状ベースマッチングは、照明の変化や部分的な隠れといった課題を解決し、生産現場における自動化と品質向上に大きく貢献します。HALCONでは、確立された機能でありながらも、パターンマッチングがより使いやすくなるよう、機能改善を継続して行われています。パターンマッチングを活用した画像処理にご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問合せください。