進化を遂げた良品学習機能「グローバルアノマリー検出」
ファクトリーオートメーション業界は日々生産工程の改善に力を注いでおり、不良品の製造工場ではないという理由から、十分なトレーニングデータの収集が難しい場合が多々あります。本問題に対応すべく、『HALCON』では良品画像のみで学習可能なアノマリー検出を更に発展させ、ピクセル単位で判断できる局所的な欠陥だけでなく、位置ずれや有り無しなど周囲との相対的な関係性を考慮した検知を実現しています。 本稿では、進化を遂げた良品学習機能「グローバルアノマリー検出」について内部ロジックを交えながら紹介します。
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キーは『寄り』『引き』の概念である
一目で判断可能なキズなどの不良や、周囲の情報を加味しながら判断しなければならない不良など、不良と一口に言っても様々な種類があります。また、サイズも様々です。これらの不良を人間の感覚と同様に検査しなければなりません。そこで、『寄り』『引き』の概念が重要になります。我々人間も、小さく見辛い欠陥は寄り、つまり近くで見て判断しており、周囲の情報を考慮して判断する場合は引きで見ています。この『寄り』『引き』の概念を取り入れたのがグローバルアノマリー検出です。
■ グローバルアノマリー検出の内部ロジック:欠陥の定義とアプローチ方法
上述の通り、欠陥にも様々なタイプが存在します。一目で判断できるキズと周囲の情報から総合的に判断する位置ずれ・モノの有無ではアプローチが異なります。そこで、キズのような欠陥を「ローカル欠陥」、位置ずれのような欠陥を「グローバル欠陥」と定義しました。
内部処理は下図のようになっています。我々人間は数十年の人生の中で膨大な学習を行っており、寄り・引きを1つの脳みそで使い分けることができます。しかしながら、マシンビジョンは画像が無いため人間と同等の学習はできません。そこで、各々の欠陥を検出することに長けているネットワークを準備し、内部的に組み合わせることで高いレベルの検査を実現しています。
一見、複雑な処理に見えますが、ユーザ側は特別な準備をする必要はありません。既存アノマリー検出と同様、良品画像を準備していくつかのパラメータを設定するだけでトレーニングが完了します。大幅な性能アップを遂げたグローバルアノマリー検出をぜひご活用ください。
■ 適用事例:基板外観検査
1つの例として、基板上の欠陥に対するグローバルアノマリー検出結果を示します。ローカル欠陥であるキズ、グローバル欠陥である印字無しとコンデンサの欠落にグローバルアノマリー検出を適用させました。
本例のローカル欠陥は、ローカルネットワーク、グローバルネットワークいずれも検出可能です。一方、グローバル欠陥に着目すると、ローカルネットワークではほとんど反応できていないのに対し、グローバルネットワークは適切に反応できていることが確認できるかと思います。様々な部品がある基板の検査であっても良品学習のみで対応可能になりますので、ぜひご評価ください。
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