ものづくりの現場では製品の性能向上や小型化に伴い、品質管理への要求がますます高まっており、レーザー顕微鏡/白色干渉顕微鏡(以降では3D顕微鏡と呼ぶ)で1つ1つ時間と労力をかけて微細な計測を行うような運用を余儀なくされているケースが多くみられます。こうした中、白色干渉法による高速・高精度な計測を実現した「heliInspect」が注目を集め、各検査工程で導入が進んでいます。
人が介在する3D顕微鏡測定からの脱却
heliInspectでは要求の自動化レベルに合わせて3つのシナリオが提供できます。
自動化レベル 1. 顕微鏡の代替
現状の人手による3D顕微鏡での抜き取り検査と運用は変わりませんが、通常の3D顕微鏡を使用するのに比べて、位置合わせやピント合わせなどの操作も含めた計測にかける時間を大幅に短縮できます。また耐震用の定盤も不要で、そもそもの導入コストの削減に大きなメリットがあります。
自動化レベル 2. 抜き取り検査の自動化
現状の人手による3D顕微鏡測定から脱却して、人の作業はトレイなどに並べた対象物を置くだけで、あとは装置が自動で計測・検査を行うような運用が可能です。生産ラインから測定室までの移動や一つずつ測る手間がなくなり、抜き取り検査にかける工数が削減できます。また、より多くのサンプルを検査できるため、品質保証レベルも向上します。
自動化レベル 3. インラインでの全数自動化
検査仕様がheliInspect の視野/タクトに収まれば、3D顕微鏡レベルの計測/検査の全数自動化も可能です。インラインでの全数自動検査により、製品品質の完全保証と人員削減の両方を実現します。
本号では、各シナリオにおける heliInspect のメリットを 3D顕微鏡と比較しながら紹介します。
3D顕微鏡に対する heliInspect の特長
3D顕微鏡との比較という観点でheliInspect の特長は大きく4つ上げられます。この4つの特長がそれぞれのシナリオに対してどのようなメリットをもたらすかを1つ1つ解説していきます。
3D顕微鏡と比較したheliInspectの4つの特長
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超高速な面計測
共焦点法や白色干渉法を測定原理とした3D顕微鏡は、高精度な高さ計測が可能ですが、1つの視野を計測するのに数十秒の時間を要するため、主に研究用途に限られています。そのため「高精度=遅い」というイメージが広まりつつあり、高精度顕微鏡の最大の弱点は「計測速度」と言っても過言ではありません。
heliInspectでは特殊なCMOSエリアセンサー技術を採用し、ワンショットあたり数100ミリ秒でナノオーダーの面計測を実現します。これにより従来の顕微鏡や接触式測定器と同等の精度をもちながら、インライン検査に活用することが可能です。
用途①:顕微鏡の代替
課題:一般的な白色干渉計は1視野の計測に膨大な時間を要する
メリット:煩わしい計測時間なく瞬時に計測可能
用途②:インラインでの全数自動化
課題:膨大な計測時間がかかるため、導入の余地なし
メリット:インラインで導入可能
リアルタイムで撮影画像の確認が可能
従来の3D顕微鏡では、ワークをセットして2Dカメラでピント合わせをした後、撮影からデータ表示までに数秒〜数十秒の時間を要します。位置がずれていた場合は、撮り直しに同じ作業を繰り返す必要があり、これが調整作業のストレスになっていました。
heliInspectは独自のCMOSセンサー技術により、わずか数100ミリ秒で計測が完了します。そのため、リアルタイムで高さ画像とモノクロ画像を確認しながらXYZ軸の位置調整ができます。また、専用のビューアーソフトウェア『heliViewer』を使用して、カメラ設定や撮影画像の確認がスムーズに行えるため、顕微鏡に代わる卓上検査機としても活躍します。
用途:顕微鏡の代替
課題:ワークセットの位置調整に時間がかかる
メリット:リアルタイムで撮影位置の調整が可能
振動対策が不要
計測時間が長い白色干渉法では、振動の影響を避けるための特殊な定盤が必要です。このため、顕微鏡用途では設備が高価で重くなり、導入の大きな障壁となっています。
heliInspectは高速計測が可能なため、特別な振動対策は不要です。従来の共焦点顕微鏡や白色干渉顕微鏡と比べて、コストも重量も大幅に削減でき、手軽に導入可能です。
また、抜き取り検査の自動化やインラインでの全数検査では、そもそも十分な耐震対策を施すことが難しく、従来の白色干渉計は検討の余地がありませんでした。heliInspectなら一般的なビジョンセンサーと同等の対応で十分であり、特別な対策は必要ありません。
用途①:顕微鏡の代替
課題:振動対策が必要となり高価になりがち
メリット:特別な振動対策は不要で安価に導入可能
用途②:抜き取り検査の自動化、インライン全数検査
課題:振動対策ができず導入の余地なし
メリット:通常のビジョンセンサー同様の対応で導入可能
内蔵Zスキャナによる最大40mmの計測レンジ
従来の白色干渉顕微鏡では、1mmの計測レンジの計測に数10秒の時間を要するため、数100µm程度の高低差を計測する用途に限られていました。
heliInspectは、光学系を40mm駆動できるZステージをヘッド内に内蔵しており、スキャン位置や計測レンジを自由に設定できます。これにより、インライン / オフラインを問わず、対象物に応じた迅速な計測が可能です。
用途:抜き取り検査の自動化 / インラインでの全数自動化
課題:厚みが異なる製品や数mmの高低差をサブミクロンレベルで計測したい
メリット:内蔵Zスキャナにより対象物の厚みに応じてスキャン位置や計測レンジを柔軟に変更可能

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