スマート3DセンサーGocatorの新製品 Gocator 4000 シリーズが登場してから1年が経過しました。
これまでのLINX Express(Vol.443, Vol.502)でご紹介した Gocator 4000 シリーズと Gocator 5000 シリーズはどちらも共焦点法を採用したライン3Dセンサーで、サブミクロンレベルの高精度な3Dスキャンが可能です。
共焦点方式は一般的に「遅い」と言われますが、Gocatorシリーズはそのスキャン速度を飛躍的に高速化することに成功しました。この点こそが本シリーズの最大の特長であり、超高精度を維持しながら、他に類を見ない高速ラインスキャンを実現しています。
本号では、3Dセンサーとして広く普及している光切断法の3Dセンサーと比較しながら、Gocator 4000/5000シリーズの実力を詳しくご紹介します。
共焦点ライン3Dセンサー Gocator 4000/5000 シリーズ
Gocator 4000/5000シリーズは超高精度3次元計測が可能な共焦点ライン3Dセンサーです。
最高50nmの繰り返しZ精度で精密な高さ計測が可能です。最大スキャンレートは10kHz以上で速度が要求されるインライン検査に対応します。ガラスなどの透明体や光沢のある金属表面も正確に高さ計測が可能です。
Gocator 4000/5000 シリーズ カタログ ダウンロード |
【高精度】2μmの凹凸も安定計測
Gocator 4000/5000シリーズは、サブミクロン精度での極めて高い測定能力を誇ります。
具体例として、3mm角のQFNパッケージ基板をGocator 5504で撮影し、その精度を実測しました。外周部に配置された電極パッドの高低差はわずか2μmですが、非常に安定して検出することができています。この結果は、微細な検査を必要とする高精度な製造現場において、Gocatorシリーズが信頼性の高い測定を行えることを示しています。
また、基板の中央部に存在する打痕についても、問題なく検出できることが確認されました。このように、さまざまな形状や欠陥にも柔軟に対応することが可能です。
【高速】8インチウェハを2分以内に検査完了
Gocator 4000/5000シリーズは、1秒間に10,000回の断面取得が可能な、極めて高速なスキャンを実現しています。
具体例として、8インチウェハの外観検査を行うケースを考えてみます。Gocator 5512では、65mm/secという高速でウェハを搬送しながら撮影を行うことができ、片道スキャンにはわずか3秒程度しかかかりません。そのため、8インチウェハ全体の検査を2分以内で完了することが可能です。
なぜ「高速&高精度」検査が可能なのか?
従来の共焦点方式では、対象物が停止している間にセンサーを高さ方向に動かし、ピントが合う位置を探すため、計測速度が遅く、高速なインライン測定には適用できませんでした。
しかし、Gocator 4000/5000シリーズは、色ごとに高さを変えて共焦点法を行うため、センサーを動かすことなく、一瞬にして高さ測定が可能です。この技術により、10,000Hzを超えるスキャンレートを実現し、従来の共焦点方式と比較して、最大で10倍以上の時間短縮が可能となるケースもあります。
そのため、Gocator 4000/5000シリーズは、速度の求められるインライン検査において、サブミクロン精度での高精度計測を実現できる、市場で唯一の選択肢となっています。
Gocator 4000 シリーズの特長
Gocator 4000シリーズは死角のない同軸スキャンが可能です。
従来の光切断センサーでは、斜めから対象を撮影するため、高いピンが並んだPGA(Pin Grid Array)のような対象物では、構造物の影となる部分に死角が生じてしまいます。
一方、Gocator 4000シリーズは、真上からの同軸撮影を行うため、360度どの方向にも死角のないデータを取得することが可能です。
さらに、同軸方式のため、角度による計測の不安定さがなく、最大傾斜角±85度の急斜面でも計測することが可能です。
Gocator 5000 シリーズの特長
Gocator 5000シリーズは、優れた高さ分解能を備えており、多層のデータをきれいに分離することができます。
具体例として、光沢紙には紙の上にインク受容層が薄く透明にコーティングされています。このコーティング層はわずか20μmと非常に薄いため、従来の光切断センサーでは、2層の反射光が混ざり合ってしまい、正確に分離することができません。
一方、Gocator 5504では、紙とインク受容層のそれぞれの表面反射光を分離することができています。
この優れた性能により、フィルムや接着剤など、透明や半透明の対象物の計測にも対応可能です。
多層のデータを同時に取得できることから、透明フィルム層に噛み込んだ異物検出も可能です。
2D検査では見つけにくい白や透明な異物に対しても、Gocatorは3D形状を元に安定的に異物を検出できます。
採用事例:半導体業界 ウェハ外観検査
パワー半導体の製造を行っているユーザー様に、ウェハの外観検査用途でGocator 5512を採用いただきました。
この検査では、2次元AOI装置に匹敵する「高速度」と、鏡面計測も可能な「高精度」という、非常に高い要求がありましたが、Gocator 5512を導入することでこれらの要件を満たすことができました。特に、2Dカメラでは検出が難しかった微細な凹凸不良も、Gocator 5512では捉えることができています。
詳細は導入事例紹介ページをご覧ください。
![]() | Gocator 5512 半導体ウェハ外観検査導入事例 |
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