すべての市場ニーズに対応するラインスキャンカメラのラインナップ
Teledyne DALSAは、ローエンド向けの1ラインのLineaから、ハイエンド向けの最大192ラインのTDIカメラLinea HSまで、他社カメラメーカにはない幅広いラインナップを有しております。
一般的に産業用カメラメーカは、CMOSセンサーをSonyやOnsemiなど画像CMOSセンサーメーカから購入し、それをカメラに仕立てる部分と、FPGAに持たせる独自機能を開発する部分の2つを主に行っています。ただ、エリアスキャンセンサーに比べ、ラインスキャンセンサーの市場は限定的でもあり、ラインスキャンCMOSセンサーを開発、供給しているメーカは限られています。そのため、多くのカメラメーカが供給するラインスキャンカメラのラインナップもごく限られたものになってしまいます。
一方でTeledyneグループは、ラインスキャンカメラ向けのCMOSセンサー開発からカメラ開発まで、一気通貫で行える会社であるため、独自のCMOSを搭載しすべての市場ニーズに向けた製品の提供が可能になっています。
Linea HSの4つのTDIテクノロジー (前編)
今回は数あるTeledyne DALSAの製品ラインナップの中から、TDIラインスキャンカメラ Linea HSシリーズに搭載された、Teledyne DALSAの4つの独自テクノロジーについて、2回に分けてご紹介していきます。今回は、Multi ArrayとSuper Resolutionの2つの機能についてご紹介します。
Multi Array
Linea HSでは、搭載されている合計192ライン分のTDIセンサーを128ラインと64ラインの2つに分けて配置しています。これにより、さらに3つの機能を実現します。
1. Summed Mode:
一般的なTDIの積算モード(上の128ラインを使用)
2. High Full Well Mode:
リードアウトノイズを抑えた最もノイズの少ないモード(上下の64ラインを使用)
下図は、1ラインのラインスキャンカメラで撮像した画像(左)と、Linea HSのSummed Modeで撮像した画像(中)、High Full Well Modeで撮像した画像(右)のノイズ比較です。(左)と(中)の画像を比較頂くと、TDIにすることで大幅にノイズを削減する効果があることが見て取れると思います。(中)と(右)の画像を比較頂くと、High Full Well Modeにすることでそこからさらに40%以上標準偏差が改善することが確認できます。
これは、Multi Arrayだから実現できる強力な機能です。
3. High Dynamic Range Mode:
反射率の高い領域と低い領域が混ざった対象でも、画像全域にわたって最適な明るさで撮像が可能なモード(上の128ラインと下の64ラインを使用)
明るい領域/反射率の高い領域と、暗い領域/反射率の低い領域が混在している対象の場合、それぞれの領域に合わせた露光時間で2回撮像する必要があり、タクトタイムが2倍になります。Linea HSでは、ライン数の違う2つのセンサーで1スキャンで2枚の画像を撮像することができるので、それを合成し画像全体にわたり明るさが最適なHigh Dynamic Range画像を生成することが可能です。
Super Resolution
Linea HSには、32kピクセルの出力が可能なSuper Resplution(超解像)カメラがあります。ラインカメラで超解像ができるのは世の中でTeledyne DALSAだけです。
このカメラは、16k 64ラインのTDIセンサーを物理的に1/2ピクセルずらして配置することで、1スキャンで、視野が1/2ピクセルずれた2枚の画像を取得します。これを、特許技術による画像入力ボード上での合成処理にかけることによって、32kの画像を生成し、出力します。
同じ対象を16kで撮像した場合と、32kで撮像した場合の画像を比較しました。超解像の技術を活用することによって、画像全体でより高精細に、より高SNRな画像を取得できていることがわかります。
また、MTFの比較も同様に、32kにすることでよりストライプのコントラストがはっきり再現できていることがわかります。
高倍率で撮像を行う場合、明るさの確保の難しさ、レンズへの要求性能の高さ、レンズの価格上昇、被写界深度の確保、広い視野の確保、MTFなど様々な課題があります。
Linea HSのSuper Resolutionカメラは、超解像技術を用いて高画素化を行うため、横一列にセンサー画素を並べて高画素化するカメラに比べて、ピクセルサイズが大きくできます。そのため、上述のような課題に対して非常に強さを持ちながら、画素数を多く、つまり広視野にすることができるという大きな強みがあります。
Linea HSのラインナップ
Mono/Color | 画素数 (横幅 x TDI段数) | 速度 (kHz) | ピクセル サイズ(um) | インターフェース | Multi Array | Super Res | BSI | Multi Field |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Mono | 32,768 x 64 | 400 | 2.5 (5) | CLHS AOC | ○ | |||
Mono | 16,384 x 192 (128+64) | 400 | 5 | CLHS AOC | ○ | ○ | ||
Mono | 16,384 x 192 (128+64) | 300 | 5 | CLHS AOC | ○ | |||
Mono | 16,384 x 192 (128+64) | 140 | 5 | CLHS SFP+ | ○ | |||
Mono | 13,056 x 192 (128+64) | 300 | 5 | CLHS AOC | ○ | |||
Mono | 13,056 x 192 (128+64) | 180 | 5 | CLHS SFP+ | ○ | |||
Mono | 8,192 x 192 (128+64) | 400 | 5 | CLHS AOC | ○ | |||
Mono | 8,192 x 192 (128+64) | 300 | 5 | CLHS AOC | ○ | |||
Mono | 8,192 x 192 (128+64) | 280 | 5 | CLHS SFP+ | ○ | |||
Mono | 4,096 x 192 (128+64) | 300 | 5 | CLHS SFP+ | ○ | |||
Color | 16,384 x (64+128+64) | 400 | 5 | CLHS AOC | ○ | |||
Color | 16,384 x (64+128+64) | 300 | 5 | CLHS AOC | ○ |
次回はTeledyne DALSAの4つの独自テクノロジーの内、残り2つの機能「BSI(Back Side Illumination)」と「Dichroic Filters」について解説します。
Teledyne DALSA製品の評価やデモ機のお貸し出しも行っていますので、お気軽にご連絡ください。
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