ディープラーニングの未来像とは
ディープラーニングはこれまで、欠陥の分類・過検出の抑制やOCRなど、ルールベースでは解決が難しい様々な課題を解決してきました。そして、次の未来像として「適用可能な検査の拡大」「マシンビジョン全域への適用」を掲げ、着実に機能を増やしてきました。本稿では、2022年末時点の機能を一挙におさらいします。
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適用可能な検査の拡大
画像分類
画像の良否判定、欠陥分類を実行することが可能です。GPUだけでなくCPUの環境でも高速に推論します。さらに、ヒートマップ機能も搭載され、通常の分類処理時間とほぼ同等の時間で判定根拠を可視化します。
適用例:採⾎管キャップの良否判定「折れ」や「めくれ」などの⽋陥に対する良否判定を実現します。同時にヒートマップ機能により判定根拠を可視化します。コード認識機能と組み合わせることで、トレーサビリティの強化が可能です。 |
オブジェクト検出
画像のどこに何が存在しているのか検出する機能です。矩形単位で欠陥を検出する、個数カウントによる計数検査など、様々な検査に適用可能です。
適用例:高精度計数アプリケーション複数種類のワークが重なり合う状況下であっても、オブジェクト検出であればどこに何が存在しているかを的確に検出可能です。 |
セマンティックセグメンテーション
セグメンテーションは、複数クラスに対してピクセル単位で分類を行う機能です。欠陥領域の抽出や、複数種類の領域を個別に抽出することが可能です。MVTec が提供しているディープラーニングツールと組み合わせることで、学習時のアノテーション工数を削減することができます。
適用例:メッシュワイヤ外観検査ワイヤ切れ・ねじれ・底⾯むき出しなど、⽋陥種ごとにサイズや特徴が異なるため、ルールベース処理の場合、汎⽤的なアルゴリズムの作成は⾮常に困難です。ディープラーニングを活⽤することで、⽋陥種ごとにパラメーターを変更することなく、容易な設定で検出が可能です。 |
適用例:錠剤の⽋陥領域検出セグメンテーション機能により、ピクセル単位の領域抽出を⽋陥の種類ごとに実⾏ができます。さらに、抽出領域に対してブロブ解析などの画像処理を組み合わせることが可能です。 |
グローバルアノマリー検出
ファクトリーオートメーション業界は日々生産工程の改善に力を注いでおり、不良品の製造工場ではないという理由から、十分なトレーニングデータを収集することが難しく、質の高いトレーニングを実施できないという背景があります。そこで、良品だけで学習可能なアノマリー検出の発展系としてグローバルアノマリー検出が搭載されています。
適用例:ボトル多面検査異なる向きで撮影される画像に対して、同一のネットワークで検査を実行できます。ハードウェアアライメントが難しい円筒形ワークの多面検査などで高い効果を発揮します。 |
適用例:基板検査傷や異物などの欠陥だけでなく、モノの有無や位置ズレなど多種多様な欠陥を、良品データの学習のみで実現することができます。 |
マシンビジョン全域への適用
3Dクリッピングポイント検出
CAD データ不要、トレーニング不要で物体の 3 次元位置・姿勢とピック可能なポイントを検出可能な機能です。HALCON はハンドアイキャリブレーション機能も有していますので、ピッキングアプリケーションを全て HALCON で完結可能です。
適用例:物流向けビンピッキング1つのビンに不特定多数のワークがあり、かつ、CADデータの準備が困難な物流向けのピッキングであっても、3Dデータの準備だけでピッキングを可能にします。 |
ディープラーニングエッジ検出
ディープラーニングエッジ検出は、主要なエッジを正確に検出できる新機能です。低コントラスト、滲み、ノイズといった様々な環境下でも安定して動作します。さらに、従来のエッジ検出では必須であった細かなパラメータ調整も不要です。様々なノイズ環境下でパラメータ調整をせずとも主要なエッジを検出するため、開発効率が大幅に向上します。
適用例:ノイズ環境下における高精度エッジ検出通常、ノイズの状況に応じた細かなパラメータ調整が必要ですが、ディープラーニングを活用することで目的のエッジをパラメータ調整レスで検出可能です。 |
インスタンスセグメンテーション
画像処理において、領域分割は避けることができない大きな課題です。既存ルールベース処理では分水嶺を用いることで領域分割処理を実装しますが、細かなパラメータ調整の工数や分割可能な対象物も限定的になるなど、適用範囲にいくつかの制約があります。そこで、隣接したオブジェクトの領域分割の精度向上を目的とするインスタンスセグメンテーション機能を搭載しています。
適用例:ペレットの粒子解析背景と近しい⾊味を持つオブジェクトが隣接する場合、⼀つ⼀つのオブジェクトを検出することは⾮常に困難です。インスタンスセグメンテーションを活⽤することで、隣接オブジェクトの⾼精度な領域分割が可能になります。 |
Deep OCR
Deep OCRは、文字領域の抽出、文字読み取りをディープラーニングを用いて包括的に実行します。ディープラーニングを活用することで、文字の方向やフォントタイプに依存せず、安定して読み取りが可能です。従来型のOCRと比較して2.25倍の精度向上を実現しています。
適用例:⾦属部品の刻印⽂字読み取り背景に対して⽂字が⼀部溶け込んでいるような、コントラストに乏しい画像に対しても安定した読み取りが可能です。回転・反転した⽂字にも対応可能で、反転した「S2」という困難な条件でも正しく読み取れています。また、事前に⽂字位置の絞り込みなどは必要なく、⽂字領域の 抽出から⾃動で⾏うため、扱いやすさが劇的に向上しています。 |
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