タイヤをはじめとする黒い素材は光を反射しにくく、画像検査の自動化が難しい対象物です。特に、黒い表面にある同じ色の欠陥を2Dカメラで撮影する場合、照明の調整が困難なケースがありました。3Dセンサーで凹凸データを取得することで、黒い対象物の検査・計測の難易度を大きく下げることができます。
3DセンサーGocatorには広範囲のレーザーオプションがあり、黒以外にもさまざまな素材を計測できる選択肢が用意されています。本号では黒い対象物を撮影する際のポイントについて詳しくご紹介します。
また、最新のアプリケーション事例集としてタイヤ製造業界版をご用意しました。自動車の安全走行を握るタイヤの製造工程には厳しい検査基準が設けられています。タイヤの他、黒い対象物や複数の素材が混在する対象物での検査・計測のヒントになるはずです。是非ダウンロードしてチェックしてください。
3DセンサーGocator タイヤ検査/計測アプリケーション資料ダウンロード |
黒ゴムを撮影するコツ
対象物に合わせてレーザー種類を選択
Gocatorには赤色レーザーの機種と青色レーザーの機種が用意されており、用途に応じて選択できます。光沢のある金属表面では波長の短い青色レーザーが適していますが、黒ゴムなど光を吸収しやすい素材は赤色レーザーの方がより短い露光時間で撮影することができます。
またレーザークラスも2、3R、3Bと強度別にラインナップが用意されており、撮像条件や環境に合わせて選択が可能です。レーザー強度が高いほどより短い露光時間でスキャンできるため速度を出したい場合に有利となります。
Gocator2430レーザークラス3R /
露光時間60μsecで黒ゴムを撮影した場合
Gocator2330レーザークラス
2・3R・3Bで黒ゴムを撮影した場合
異なる素材が混在する表面はマルチ露光で撮影
Gocatorのマルチ露光機能では異なる露光時間を多段階に設定することができます。
例えば金属表面に塗布された黒いシール材の形状計測する場合、金属表面と黒い表面の両方を適切な設定で撮像する必要があります。露光が弱いとデータ抜けが発生し、逆に露光が強すぎる場合はノイズや、ハレーションしてやはりデータ抜けにつながります。
マルチ露光機能を使用することで、金属表面に適した弱い露光設定と黒色シール材に適した強い露光設定を多段階で設定し、ピクセル毎に最適な露光設定を採用して最終的な高さデータを生成します。
これにより反射率の高い金属表面と光を吸収する黒色シール材表面の両方を同時に撮像することが可能です。
マルチ露光設定で金属プレート面、ゴムシート面の両方がノイズや抜けなく撮影できています。 |
露光時間が上げられない場合はゲイン調整
光を吸収しやすい黒いゴムを撮影する場合、通常は露光時間を長めに設定する必要があります。しかし、露光時間を長くするとスキャンレートに影響が出るため、アプリケーションによっては調整できる露光時間に制限があります。 レーザークラスを上げることが望ましいのですが、それができない場合はデジタルゲインを上げることでより明るく撮影することができます。ゲインを過度に上げるとノイズの原因となりますが、黒ゴムではゲインを増やすことで解決するケースが多くあります。 |
タイヤの検査/計測工程で活躍する3Dセンサー
タイヤ検査/計測アプリケーション集から適用事例を一部ご紹介します。
プライ・ベルトの巻付け位置ガイダンス
カーカスプライやベルトがタイヤのドラムに巻かれる際、エッジ部をスキャンして、正しい位置に送られるように制御装置にフィードバックします。高輝度の赤レーザー機種を使用することで光を吸収しやすい黒ゴムも高速にスキャンしリアルタイムにベルトのエッジ位置をフィードバックします。
マルチ露光機能により多段階露光を設定することで、反射率の高いドラムの金属部品とタイヤの黒ゴムを同時にスキャンし位置関係を精密かつ高速に計測します。
スチールベルト接合部の重なり検査
ドラムに巻かれたプライやベルトの接合部の欠陥はタイヤの均一性や耐久性に影響します。1周分を3Dスキャンし、欠陥(隙間、重なり、ドッグイヤー、折れ曲がりなど)を検出します。3DセンサーGocatorで段差の凹凸やすき間も正確に捉えることが可能です。
Gocatorには計測ツールが内蔵されており、段差やすき間を計測するツールの他、各種画像処理ツールが用意されています。折り込みやドッグイヤー、すき間などを数値で計測してOK/NGを判定します。
カーカス部の貼合せ状態検査
タイヤのカーカス部はナイロンやポリエステルから成る繊維をすだれ状に織ったものを芯として両面にゴムシートを貼り合わせます。層状の平ゴム・シートをスキャンして貼り合わせ位置、幅、重なり位置などを計測します。ゴム層のエッジを計測することで、追加される層の位置決め用基準点としても利用されます。
複数センサーを並べてスキャンすることで、細かいX解像度を維持したまま幅広い視野に対応できます。Gocatorのバディシステム機能を使用することで、センサー同士のキャリブレーション、データ合成を容易に行うことが可能です。
続きは「タイヤ検査/計測 アプリケーション集」をチェック!
タイヤ検査/計測アプリケーション事例集では本号で紹介した事例の他に、外観検査、エンボス文字の読取り、溝の深さ計測などのGocator適用事例を導入ポイントと併せて紹介しています。
黒い表面上の黒い欠陥検出など2Dでは難しいとされる黒色ワークも3DセンサーGocatorなら容易に撮影・計測が可能です。タイヤ以外にも黒色のシール材やパッキンなどの計測・検査にも応用できるポイントが多く含まれています。
下記リンクボタンよりダウンロードできる「タイヤ検査/計測アプリケーション集」を是非ご覧ください。
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LINX の 3DソリューションサイトではGocatorをはじめとする3Dセンサー製品の適用事例を紹介しています。タイヤ製造業界の他自動車製造業界や鉄鋼業界などなど様々なアプリケーションでGocatorが利用されています。
3Dセンサー 業界別適用事例 |
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