
Basler ace 2シリーズから、OMNIVISION社製センサーを搭載した解像度5MPのカメラを、GigE/5GigE/USBインターフェースで計10機種リリースします。
Baslerとしては初採用となるOMNIVISIONは、高度な量産技術により、高い価格競争力を持つセンサーメーカーです。また裏面照射(BSI)技術や近赤外(NIR)領域の感度設計にも優れており、同社のセンサーを搭載することで「低価格と高性能」を両立したカメラを実現しました。
OMNIVISION社の概要
OMNIVISIONは、1995年に設立された米国カリフォルニア州サンタクララに本社を置くイメージセンサーメーカーです。CMOSセンサーを主力製品とし、売上ベースのグローバルシェアではSONY、Samsungに次ぐ世界第3位規模と推定されています。
主な市場はモバイルおよび車載用途で全体の約8割を占め、これにセキュリティ用途が続きます。一方、マシンビジョンを含めた産業用途向けは現時点では約5%程度と限定的ですが、近年は同分野への取り組みを強化しています。

※市場調査会社レポート、各社公開情報より
■OMNIVISIONがマシンビジョンに参入してきた背景
背景の一つとして、近年、OMNIVISIONの大口顧客であるセキュリティカメラメーカーがマシンビジョン領域へ参入する動きが見られ、これらのメーカーは当初、SONYやONsemiのセンサーを採用していましたが、こうした市場動向がOMNIVISIONに対しても一定の影響を与えたと考えられます。
加えてOMNIVISIONの主戦場であるモバイル向け市場は、製品のライフサイクルが短く価格競争激化が進んでいることから、モバイル依存からの分散を図る一環として、既存技術を転用しやすく、比較的安定した需要が見込める産業用途へ参入してきたと考えられます。
OMNIVISIONのマシンビジョン分野における戦略は、高い市場シェアを誇るSONY第2世代との完全なピクセル互換性を有する設計を基軸とし、コスト面での優位性を訴求する代替候補として市場参入を図ることにあります。
BaslerがOMNIVISIONセンサーを採用する狙い
OMNIVISIONセンサーを搭載したカメラは、お客様に大きく二つのメリットを提供します。
① SONY製5MPセンサー(IMX264/IMX250)搭載カメラからの性能向上とコストダウン
② NIRに感度があるAms(旧CMOSIS)製4MPセンサー(CMV4000NIR)搭載カメラからの性能向上とコストダウン
それぞれ、以下で詳細に説明していきます。
① SONY製 5MPセンサー搭載カメラからの性能向上とコストダウン
先ずは、カメラ仕様とコストダウンについて以下表にてご説明致します。
OMNIVISIONのセンサーOG05Cは、ピクセルサイズおよび解像度が互換仕様となっている点が大きな特長です。これにより、光学系の変更なしにカメラの置換が可能となります。また、カメラシリーズがaceからace 2になるため、カメラ機能の拡充もしています。

コスト面においては、OG05C搭載カメラは、IMX264/250搭載機種と比較して、最大60%のコスト削減が可能です。

■センサー構造による、量子効率と斜入射特性の向上
下図はIMX264とOG05Cの量子効率(QE)を比較したグラフです。可視領域において、OG05Cはピークで85%の量子効率があり、IMX264と比較して約20%高いです。さらにNIR領域の950nmにおいて、30%の量子効率があり、これはIMX264と比較して約25%高いです。
このような高い量子効率特性は、OG05Cが裏面照射構造(BSI)を採用していることによるものです。

加えてBSIにより、斜入射特性についても改善されており、その構造を下図に示します。フォトダイオードの大きさや配置を最適化することで、斜めに入射した光であってもフォトダイオード外への光の取りこぼしを抑制し、安定した電荷生成を可能としています。
その結果、同じレンズのF値で使用した場合、より多くの光を取り込むことができるようになり、露光時間を短縮した高速撮像が可能となります。

■画質比較
・S/N比

上の表は、IMX264とOG05CのS/N比の比較結果を示したグラフです。結果に示すようにOG05Cの方が高いSN比を誇ります。考察に移る前に、まず本検証におけるカメラおよび光学系の設定条件について説明します。S/N比の比較においてはセンサー受光面に入射する光子数(入力条件)を揃えるため、露光時間および照明レベルなどを統一しました。ただしセンサの違いにより出力特性が変わってしまうため、ゲイン調整にて出力特性を合わせております。WDは350mm、絞り値:F16.0に統一しております。
代表的な設定を以下に示します。
| IMX264 | OG05C | |
|---|---|---|
| 露光時間[us] | 1000.0[us] | 1000.0[us] |
| ガンマ | 1.0(Linear) | 1.0(Linear) |
| ゲイン[dB] | 10.4 | 0.0 |
| 照明レベル | 260 | 260 |
以下は、実際のステップチャートによる画像比較です。
【S/N比:ステップチャートの比較】

【S/N比:最明部(右端)の拡大】

センサースペックにおけるダークノイズ特性はIMX264が2.3−、OG05Cが2.6−であり、数値上はOG05Cのほうがやや不利な値となっています。しかしながら、実測によるS/N比ではOG05Cがわずかに良好な結果を示しました。これは読み出し(Readout)ノイズ特性の改善による影響であると考えられ、ace 2プラットホームにおけるカメラでの回路設計の最適化などにより、センサー単体のスペック値だけでは評価できないカメラ全体としての性能向上が寄与しているものと考えられます。
・斜入射特性

本グラフは、レンズの絞り度合によってOG05Cの斜入射特性を評価した結果です。一般的な表面照射型センサ(IMX264)を比較基準として用いることで、OG05Cが持つ受光効率の高さを示しています。OG05Cはレンズ小絞り(F16.0)の条件と比較して、斜入射光が多くなるレンズ開放(F2.8)においてさらに高い出力輝度237を記録しています。ステップチャートによる画像比較結果を以下に示します。

検証方法についてご説明します。レンズの絞りを開放(F2.8)に近づけるほど、センサには角度のついた斜入射光が多く入り込みます。この斜入射光をどれだけ効率よく画素に取り込めるかが、センサの感度性能を左右します。本検証では以下の2条件で出力特性を比較しました。
・F16.0(小絞り): 垂直に近い光が主成分
・F2.8(開放): 斜入射光が主成分
まず、IMX264を基準とし、各絞り値でターゲットの平均輝度が70となるよう照明レベルを調整しました。
・F16.0のとき:照明レベルを652に固定
・F2.8のとき: 照明レベルを226に固定
この条件をそのままOG05Cに適用し、得られる出力値の差を計測しました。
検証時の代表的なパラメータを以下に示します。
| F2.8(解放) | F16.0(小絞り) | |
|---|---|---|
| 露光時間[us] | 2000.0[us] | 2000.0[us] |
| ガンマ | 1.0(Linear) | 1.0(Linear) |
| ゲイン[dB] | 0.0 | 0.0 |
| 照明レベル | 226 | 652 |
② NIRに感度があるAms製CMV4000NIR搭載カメラからの性能向上とコストダウン
OG05Cは、OMNIVISION独自の Nyxel® 技術を用いた近赤外(NIR)対応センサーであり、可視領域に加えてNIR領域においても高い感度特性を実現しています。
Baslerでは近年、NIR感度に対応したカメラを複数展開しておりますが、その中でもOG05C搭載モデルは、高い性能と優れたコストパフォーマンスを兼ね備えた有力な選択肢です。現在、中画素以上のNIR対応カメラはCMV4000NIR搭載モデルが広く使われていますが、OG05C搭載カメラの登場により、新たな選択肢が広がりました。
またそれ以外にも、12MPのローリングシャッターセンサーであるIMX676も、CMV4000NIRと比較して高いNIR感度を持つ高画素かつ低価格なカメラで、NIR感度を必要とするお客様には最適な製品の一つです。

下図は、NIR領域に感度を持つ各種センサーの量子効率を比較したものです。OG05Cは、NIR領域において最も高い量子効率を示しています。

■画質比較
以下画像は、同一レンズ(C23-1218-5M)を使用し、露光時間を統一した条件下で、ゲイン調整により輝度値を揃えて撮像した結果です。NIR領域において一般に最長波長とされる1100nmから850nmまでの各波長で画質評価を実施した結果、本条件においてはOG05CがSNR、コントラスト、ディテールの各観点で最も良好な性能を示しました。
なお、感度の低いカメラでは明るさを揃えるために高いゲイン設定が必要となり、ノイズ成分も増幅され、粗さの目立つ画像となります。
【1100nm評価結果概要】
全ての露光条件において、OG05C搭載モデルが最も良好な評価結果を示しました。一般に感度低下が顕著となる長波長域(1100nm)においても、画質性能を維持しています。

【1050nm評価結果概要】
1100nmに続き、1050nmにおいてもOG05C搭載モデルが全露光条件で最も良好な評価結果を示しました。長波長域における性能優位性が一貫して確認されています。

【940nm評価結果概要】
全露光条件においてOG05C搭載モデルが最も良好な評価結果を示しました。
一方、IMX676搭載モデルも比較的バランスの取れた性能を示しており、より価格重視のアプリケーションにおいては有力な選択肢の一つとなります。

【850nm評価結果概要】
850nmでは各モデル間の性能差が縮小する傾向が見られるものの、OG05C搭載モデルが引き続き最上位評価となりました。
IMX676搭載モデルも良好な性能を示しており、特に中・長露光条件では実用上十分な画質が得られています。

■ラインナップ
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