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センサーの種類と役割―求められる機能と導入時のポイントとは

センサーは、さまざまな産業のなかで活用されているIoTを基準とした機器や設備、それらを統合したシステムにとって欠かせない装置です。センサーはどういった役割を持ち、何を可能にしているのでしょうか。センサーとセンシング技術の概要、センサーの種類や使われ方、選定から導入までの重要ポイントなどをご紹介します。

センサーとセンシング技術

センサーは自動化の歴史にとってなくてはならない存在です。センサーの意味とセンシング技術の進化について見ていきましょう。

センサーとは

センサーは、対象となるものの物理的または化学的な数値を測定・検出して、電気信号として情報を取得する装置のことを言います。人の目・耳・鼻など感覚器官に例えられることもあり、接触状態や距離などの物理的な感知や数値の測定が可能です。

また、人では数値化することができない温度や湿度、感知できない不可視光線や磁力、化学的な物質の濃度なども感知・測定できます。こういった面から考えると、人の感覚より優れた検出が可能と言えます。

センシング技術の進化

センサーを用いて対象の状態や情報を検出することを、「センシング」と言います。しかし、センシング技術と表現する場合には、さらに一歩踏み込んだ意味で使われています。

センシング技術とは、単純に情報を検出する技術を指すのではありません。多くの場合、センサーによって得たデータを人に分かりやすい形にして届け、価値ある情報にして活用することまでを含んでセンシング技術と表現されます。

センシング技術は、あらゆる産業において安全性の向上とプロセスの自動化を実現するため進化してきました。しかし、近年では大きな変化によってさらに重要性が高くなっています。

センシング技術に深く関わる、大きな変化を起こした技術の進歩について見ていきましょう。

センサーの重要性を高めた背景

センサーとセンシング技術の重要性を爆発的に高めたと言えるのが、IoTの普及です。

従来は、センサーは知りたい情報のある部分を局所的に計測するためのものでした。人で言えば指先で触れたものを感知するような役割です。

しかし、IoTの普及により、全身に張り巡らされた感覚によって、ごく自然にすべての情報を感知するような状態が求められるようになりました。
あらゆるものがインターネットに接続され、そこから情報を得るためには、その末端にセンサーが存在しなければならなくなったのです。

そういった意味では、センサーはインターネットの最も「端」に位置するデバイスと言うことができます。インターネットに接続されたデバイスをエッジデバイスと言うならば、センサーこそ最前線に位置するエッジデバイスと言えます。

エッジデバイスとIoTデバイスについては、こちらの記事でより詳しく解説しておりますのでご覧ください。

エッジデバイスとは?概要とエンベデッドシステムとの関係性について解説

IoTデバイス―活用例や導入時のポイントなど、産業分野を中心に解説

センサーの種類と応用分野・活用例

代表的なセンサーは、次の5つの種類に分類することができます。

視覚に関するセンサー

視覚に関するセンサーとして、光学センサーやカメラデバイス、紫外線や赤外線センサーなどがあります。

赤外線を用いた身近なものでは、自動ドアやセンサーライトなどの人感センサー、距離を測定する距離センサーなどが挙げられます。

カメラデバイスを用いて画像や映像の情報を取得するものは、センサーと表現されることはあまり多くありません。しかし、センシング技術の構成要素として考えられることは珍しくなく、画像や映像からの情報が必要となるシステムでは重要な役割を持ちます。

こういったカメラデバイスによって視覚情報を取得するセンシング技術は、マシンビジョンの一部として活用されています。マシンビジョンは、機器に視覚とそこから得た情報に関して判断する能力を与える技術のことです。

マシンビジョンについては、マシンビジョンとは―急速に普及する背景と導入によるメリットで詳しくご紹介しておりますのでご覧ください。

周辺環境に関するセンサー

周辺環境を計測するセンサーとしては、温度センサーや湿度センサーなどが代表的です。また、放射線センサー、pHセンサー、半導体ガスセンサー(センサーガスクロマトグラフ)、浮遊粒子センサーなどのセンサーもあります。

温度センサーは、一般的な室内の状態を計測するだけでなく、ヒーターや冷却器による加熱・冷却状態を知るためにも使われます。半導体ガスセンサーは、金属がガスを吸収してもろくなる度合いの測定や、農産物の保管やエイジング予測などにも使われています。

位置に関するセンサー

位置に関するセンサーとしては、距離センサー、GPSセンサー、ジャイロセンサーなどがあります。

距離センサーは光学式、電波式、超音波式など、計測方法にいくつかの種類があります。

距離センサーやGPSセンサーは工事現場で使われる距離測定器、GPSを利用したカーナビやゴルフナビで使われています。そしてジャイロセンサーは小型ビデオカメラの手ぶれ補正や自動車の横滑り防止機能などに使われています。

物体に影響する力に関するセンサー

圧力センサー、振動センサー、加速度センサー、タッチセンサーなどは、物体に影響する力を計測するセンサーです。

圧力センサーは電子血圧計やガス圧制御装置、振動センサーは機械の予備保全などに活用されています。加速度センサーは車の衝突感知、タッチセンサーは機械の非常停止ボタンや防犯用などに使われています。

特殊情報取得に特化したセンサー

音センサー(マイクロフォン)、生体認証センサー、バイオセンサーなど、特殊な情報を取得することに特化したセンサーもあります。

マイクロフォンは音を電気信号に変換して伝達するセンサーの一種です。音声によって文字入力をする場合や、音声データから文字起こしを行う場合に必須の装置です。

生体認証は各種のセキュリティに活用され、バイオセンサーは医療分野における活用方法の研究が進んでいます。

センサー導入時のポイント

センサーを選定・導入・活用していく際、次の5つの観点から考えると、ムダなコストの発生がなく最適なものを選ぶことができます。

センシングプロセス

どのような情報をどのような手段によって感知・計測するのかを考えます。

例えば、ヒーターと冷却水によって一定温度を保つ必要がある機器の場合では、計測場所によってセンサーの種類も変わります。温度センサー付きのヒーターを使用してヒーターの温度を計測するのか、循環する冷却水を水温センサーによって計測するのかといったように、計測の手法を考えなければなりません。

こういった計測の手段や使用するセンサーの種類は、自社の要件や使用環境を考慮して選定する必要があります。

精度と計測範囲

センサーは、一般的に計測精度の高いものほど導入コストも大きくなります。求める精度はどれくらいなのか、求める精度は導入の費用対効果と見合っているかを考えなければなりません。

また、計測の対象がセンサーの計測範囲に適合しているか、数値が変動した場合にも対応できるかを考えます。

継続性

IoTを基準としたシステムの場合、センサーが故障してしまうと必要な情報が得られず、システム全体が機能しなくなる可能性もあります。

センサーの多くは、耐久性の基準として使用回数や使用時間が示されています。使用環境を考慮し、十分な耐久性があるか、部品供給が安定しているかを考え選定しましょう。

サイズと重量

IoTでの活用を考えたとき、センサーは可動部や機器の先端部に取り付けられることも少なくありません、このような場合、センサーはコンパクトで軽量であることが求められます。

設計時に想定したモーメントに適合しているか、取り付けられる箇所や軸の強度が十分かも検討しましょう。

システムとの連携

センサーの先には、その情報を処理して指令を出力するシステムも存在します。センサーによって得られたデータが、システムで使用するデータやインターフェースとの互換性を持っていなければなりません。

エンベデッドシステムとしてセンサーと処理部が一体化したものは、その部分においてすでにシステムとして設計されているため、連携できるかどうかの不安がなく確実です。

エンベデッドシステムについては、エンベデッドシステムとは―メリットや導入時のポイントを解説で詳しく解説しておりますのでご覧ください。

リアルタイム性

センサーはエッジデバイスのひとつで、IoTを支える要素技術でもあります。

IoTの活用には処理の高速化だけでなく、通信の遅延やタイムラグを極力排除したリアルタイム性が求められるようになっています。

センサーに対しより近い場所で処理が行われれば、送受信のタイムラグが小さくなります。また、最小限の回路で処理が行われれば、タイムラグの減少に有効です。このように、リアルタイム性を向上させるためには、より近く、より短い回路で、というのが理想です。

このことから考えると、センサーと処理部が一体化したエンベデッドシステムの活用が、センシングとIoTのリアルタイム性を向上させるために有効であることが分かります。

IoT活用はセンサーの重要性の理解から

センサーとセンシング技術の意味、重要性、種類や選定時のポイントなどをご紹介しました。

センサーはIoTにとって、なくてはならないものです。IoTによって求める情報を得たり、求める動作を行ったりするためには、センサーが確実に作動しなければなりません。どのようなセンサーを使い、どういったシステムで運用するかも、確実性やリアルタイム性において重要です。

リンクスでは、カメラインターフェースやイメージプロセッサもひとつにまとめたシステム・オン・チップによって、視覚センサーを兼ね備えたエンベデッドビジョンシステムを提供しております。こちらの詳細についても、以下のリンクからぜひご覧ください。

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