エンベデッドビジョン・ソリューション

マシンビジョン

マシンビジョンとは―急速に普及する背景と導入によるメリット

IoTやAIの普及とともに急速に市場が拡大し、普及が進んでいるのがマシンビジョンです。マシンビジョンとはどういった技術で、どのような運用が可能なのでしょうか。ここでは、マシンビジョンの概要やそれによってもたらされるメリット、課題とその解決策などをご紹介します。

機械に「視て判断する力」を与えるマシンビジョン

マシンビジョンの普及が進む理由はどういった部分にあるのでしょうか。マシンビジョンとはそもそもどういったものか、その概要から見てみましょう。

マシンビジョンとは

マシンビジョンは、産業機器に視覚と視覚情報を判断する能力を与える技術、またはその能力のことを言います。産業用オートメーションの要素技術のひとつで、機械が「視て判断する」ことにより自動化や作業精度の向上などが可能になります。

マシンビジョンの活用により、視覚による識別や欠陥の検出、位置の測定などさまざまなことが可能で、多くの分野で使われています。

このマシンビジョンが応用されたシステムをマシンビジョンシステム、またはビジョンシステムと呼びます。

ビジョンシステムについての詳細は、「ビジョンシステムの可能性とは?メリットと導入事例をご紹介」をご覧ください。

マシンビジョンの普及が加速している理由

初歩的なマシンビジョンは1970年代初頭には登場していました。例えばバーコード読み取りシステムのようなものは、初期のマシンビジョンのひとつと言えます。

こういった初歩的なマシンビジョンは、リンゴとミカン、犬と猫のような、「違いがあいまいなもの」の判別は不可能です。しかし、人の目による判別と比較すると、素早く正確に多くの情報を検出することができます。その結果、FA(ファクトリーオートメーション)が大きく進歩しました。

近年はIoTとAIの普及により、これまで人でなければできなかった分野に関してもマシンビジョンによる判定が可能になっています。製造業において、自動化は主に製造工程を中心に進められてきましたが、検査や品質管理工程においても自動化を大きく進めるきっかけとなっています。

日本では近年、製造業や物流業において労働力不足が深刻化している現状があります。また、DXを実現できなければ大きな経済損失を招くという世界からの遅れも浮き彫りになっています。

こういった背景から、デジタルテクノロジーの活用とそれによる新たなビジネスモデルの創出が急務とされており、機械によって素早く正確に作業を行えるマシンビジョンの導入が急加速していると考えられます。

マシンビジョンの市場は継続的な成長

富士経済では、2021年に「2022年版 画像処理システム市場の現状と将来展望」として、マシンビジョンに関する市場調査と動向予測を発表しました。以下、同資料を引用して最新の市場状況を見ていきましょう。

この調査では、マシンビジョンを「単体機器」「AI・ディープラーニング応用製品」「検査アプリケーション」「物流・ロボティクス」「観察・測定関連機器」の5分野に分けています。

世界のマシンビジョン市場で最も大きいのは単体機器分野で、2020年に5,321億円の市場があります。次いで大きいのが3,298億円の検査アプリケーション分野の市場です。

同調査の動向予測によると、世界の検査アプリケーション市場は2020年の3,298億円に対し、2024年に4,727億円と1.4倍に、単体装置分野も2020年の5,321億円から7,652億円へと、1.4倍の成長を遂げると予測されています。

このように、マシンビジョン市場はすでに大きな規模があり、今後も順調な伸び率を見せると予測されています。また、市場拡大によりユーザーが増えることでニーズの深化や多様化が進み、さらにマシンビジョンの研究開発は進んでいくことも予測されます。

マシンビジョンの基本的な仕組み

マシンビジョンは一般的に次のような仕組みで構成されます。

マシンビジョンの構成要素

  • 撮影部
    カメラのほか、レンズや照明などを含みます。対象のワークの種類や使用する条件によって適したデバイスの選定が必要です。
  • インターフェース部
    処理ボードまたは汎用(はんよう)のインターフェースが使われます。リアルタイム性が重要な場合や搬送制御といった別の制御も求められる場合はボード、それ以外の場合は汎用インターフェースが使われる傾向にあります。
  • 処理エンジン部
    処理を行うコンピューターです。求められる処理性能と外部制御によってスペックや外部接続機器を選定します。
  • 処理制御部
    処理を行う際に使用されるソフトウェアやアプリケーションです。

これらはそれぞれ独立した部分として構成されることもありますが、システムとして考えたときには親和性がなければなりません。生産性を考えると高速な処理が求められる場合が多く、リアルタイム性が重視されます。そういった場合、コンピューターおよびカメラデバイスが処理ボードに収められ、エンベデッドシステムとして運用できるものが注目されています。

マシンビジョンのプロセス

マシンビジョンでは次のようなプロセスで処理を行います。

  • 画像の取得
    撮影部で画像を取得し、この画像がインターフェース部によって処理エンジン部へと送られます。
  • 画像の処理
    処理エンジン部と処理制御部で画像から得られる情報を処理します。
  • 出力
    処理制御部から出力された情報や指令が対応機器へと送信されます。

マシンビジョンのメリット

マシンビジョンの導入と運用によって次のようなメリットが得られます。

高速・高精度な判定

人の目による検査では不可能な、高速で高精度な判定が可能になります。

標準化と属人化の防止

機械による作業では再現性が高く、バラつきがありません。明確な基準による判別ができ、判定作業が標準化されます。また、担当者による感覚や認識の違いも排除されるため、属人化を防ぎます。

労働力不足の解消

マシンビジョンを使って検査や分別などの作業を自動化できるため、省人化が可能です。省人化が達成できれば、労働力不足の解消につながります。

ワークライフバランスの向上

人に代わって機械に単純作業を任せることができるので、人は長時間労働から開放され、よりクリエイティブな業務に専念できます。これにより、働き方改革やSDGsで掲げられている、ワークライフバランスの向上や働きがいの向上が実現できます。

DXの実現と生産性向上

マシンビジョンの活用によりDXが推進されます。

DXとは、デジタルテクノロジーの活用によって新たなビジネスモデルやそこに付加する価値を創出し、ビジネスプロセスの変革を起こすための一連の取り組みのことです。

DXを進めていく中で、1つの課題が解消されると次の課題が見えるようになり、課題発見と効率化を繰り返すPDCAサイクルが回り始めます。

こうして、マシンビジョンを導入した一工程が効率化されるだけでなく、改善の波が広がり生産工程全体における生産性向上の足がかりになります。

商品アドバンテージの差別化

産業機器メーカーは、商品にマシンビジョンを導入することで以前の商品や他の商品との差別化ができ、アドバンテージとなります。また、省人化や効率化、DXの入り口となることなど、上記のメリットがそのまま商品アドバンテージへとつながるでしょう。

新たなビジネスモデルを提案

マシンビジョンを組み込んだ商品を提案する際、顧客とともに課題と解決策を考えていく上で、新たなビジネスモデルのアイディアへとつながる可能性は大いにあります。顧客の業務内容や、強みとしている技術などから、新たなサービスや製法が生まれることで、導入による効率化を上回るメリットを提案可能です。

マシンビジョンの課題と解決策

このように、メリットの多いマシンビジョンですが、課題となる部分もあります。

マシンビジョン導入の課題

課題のひとつとして挙げられるのが、導入に関しての技術的なハードルの高さです。マシンビジョンは開発における技術的な要求度が高く、専門的な知識と経験を有した上での設計が求められます。産業機器に組み込んでリリースするためには、マシンビジョンのシステムを熟知したインテグレーターやベンダーとの協力が必要です。

これは、マシンビジョンを組み込んだ機器を使うユーザー側においても同様です。技術的な要求度が高いため、独自にシステムを構築して運用するのは難しく、導入失敗につながる可能性が高いと言えます。個別に部品を用意してシステムを作るというのは、多くの場合コストやリードタイムを増大させることになってしまいがちです。

耐久度についても課題で、特に可動部や高温環境などに設置する場合は、耐久度だけでなく焦点の調整機能や光源位置の変化による精度低下にも注意が必要です。

導入コストについても、市場が拡大し低価格化が進んでいるとは言え、高精度なカメラデバイスは高価なため課題のひとつと言えます。費用対効果の入念な計算が必要となります。

導入の課題を解消できるシステムとは

これらの課題の解決策となるのが、エンベデッドシステムとして開発されたエンベデッドビジョンシステムです。

ボードカメラとプロセッシングボードにより構成されるエンベデッドビジョンシステムは、部品点数が少なく開発時の設計難易度を下げることができます。同時に、小型かつ軽量なため、機器の中で可動する部分に設置したときにモーメントを小さくすることも可能です。可動部の先端に近い位置に設置した場合でも振動やロストモーションを低減でき、耐久性と動作の確実性を確保できます。また、エンベデッドシステムは限定的な機能に特化しているため、汎用のビジョンシステムと比較して低コスト化が実現できます。

エンベデッドシステムについての詳細は、「エンベデッドシステムとは―メリットや導入時のポイントを解説」をご覧ください。

マシンビジョンは今後も市場拡大しながら普及が進む

市場予測にもあるように、今後もマシンビジョンの市場は拡大を続け、導入する企業もさらに増えていく見通しです。深刻化する労働力不足の解決策としても期待の大きいマシンビジョンは、これからの製造業や物流業に必須の技術となるだけでなく、医療分野や小売業でも応用されていくと思われます。

リンクスではマシンビジョンによってさまざまな課題を解決するお手伝いをしております。マシンビジョン、ビジョンシステムについてお気軽にご相談ください。

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