スマートファクトリー

IoTとは?産業分野にも大きな影響を及ぼすモノのインターネットの普及

近年のIoT技術の進化は、人々の日常生活や産業の分野に大きな影響を及ぼしています。特に、産業分野ではIoTに必要なハードウェアの価格が急激に下がっていることもあり、普及に拍車がかかっています。ここではIoTの概要について説明し、IoT技術の活用場面や、課題、実現に向けたポイントを紹介します。

IoTとは?

IoTとは「Internet of Things」の略で、日本語では「モノのインターネット」と訳されます。従来、インターネットにつながる機器は主にパソコンやスマートフォンでしたが、IoTでは「モノ」。つまり、ありとあらゆる物がインターネットに接続されます。

現在のところ、この「モノ」には家電製品、産業機器、自動車などが含まれます。また、インターネットへの接続が可能なものなら、「モノ」には制限はありません。すなわち、今まではインターネットに縁がなかったような「モノ」も、IoT技術によってインターネットにつながることで、これまで考えもしなかった使い方ができるようになるということです。

ちなみにIoTの概念のなかでは、インターネットに接続されている「モノ」のことをIoTデバイスと言います。IoTデバイスについての詳細は、IoTデバイス―活用例や導入時のポイントなど、産業分野を中心に解説をご覧ください。

IoTでできること

それでは、IoTで実現できることを具体的な例で見ていきましょう。

身近な例

ペットの首輪に加速度センサーを取り付け、歩数やジャンプの回数を、インターネット経由でスマートフォンに送るシステムが開発されています。これにより、外出先からでも遠隔操作で犬や猫などのペットの様子を知ることができます。

観葉植物のモニタリングに活用した例もあります。土の中に湿度センサーを取り付けて土の湿度を測定し、このデータをスマートフォンに送信します。従来、観葉植物の水やりは、人の感覚で判断していることが多かったのですが、湿度という客観的なデータに基づいて水やりを行うことができ、作業を最適化することができます。

エアコンのオン・オフや照明の制御を、遠隔操作で行うようなことも考えられるでしょう。エアコンや照明がIoT対応になっていれば、外出先で消し忘れに気づいたときにスマートフォンからスイッチを切ることもできます。また、家に戻る前に部屋の温度をあらかじめ設定しておき、帰宅時に適温になっているようにすることができます。

産業分野における例

IoTは、日常的なシーンだけではなく、産業の分野でも大いに活躍します。

医療分野の一例として、ペースメーカーのメンテナンスが考えられます。心臓ペースメーカーは埋め込み手術のあとに定期的なチェックが必要ですが、インターネットを経由してこのチェックを遠隔操作で行うことが可能です。また、CT画像やエコー画像などの生体データの、病院間でのリアルタイム共有も考えられます。さらには、インターネットを介して手術ロボットを操作することで、遠隔手術も行えるかもしれません。普及すれば、医師が移動の手間なく、効率的に多数の手術を行うことができるようになるでしょう。

物流分野では、自動搬送ロボットによるピッキング作業が行われています。従来のピッキング作業は人手で行われていましたが、ピッキングミスが多いという問題がありました、そこで、ロボットを導入し、ロボットと物流管理システムをインターネットで結び、IoT化を実現することでピッキングミスを減らし、効率的なピッキングを行えるようになりました。

農業分野では畑にセンサーを設置し、気温や土壌温、湿度などをモニタリングして、その結果に応じた対応を行うことで、経験のみに頼るのではなく、科学的な知見に基づいた栽培が可能になります。これらのセンサーは、インターネットを経由してコンピューターに接続されています。このような農業分野のIoT化は「スマート農業」と呼ばれています。

交通分野の活用例もあります。道路上にカメラを設置して道路の混雑状況を計測し、カメラから得たデータをインターネット経由で中央のコンピューターに送って解析することで、渋滞のリアルタイム監視が実現します。さらに、その情報をビッグデータ解析し、渋滞を避けるルートを個々の自動車に提示するといった走行ルートの最適化が可能になります。さらに一歩進めば、これらの情報を活用して自動車が走行ルートを自律的に選択する自動運転も、将来的には実現するかもしれません。

製造分野でのIoTと言えば、「スマートファクトリー」が挙げられます。これは、生産ラインにIoTデバイスや人工知能を導入することで、生産プロセスの最適化を自律的に行うというもの。具体的には、製品検査や故障監視の自動化・遠隔化などが実現可能となります。

スマートファクトリーについては、モノづくりを革新するスマートファクトリー―概要とメリット、実現にあたってのポイントを解説で詳細をご紹介しておりますので、ご覧ください。

IoTの課題

多くの分野で活用されるIoTですが、次のような課題もあります。特に、産業分野でのIoT活用について考えてみましょう。

セキュリティの課題

IoTが普及するにつれて、従来インターネットとは縁遠かったものを含めて、さまざまな機器がインターネットにつながるようになります。ありとあらゆるものがインターネットにつながるIoTでは、ネットワークが巨大なものとなるので、セキュリティが破られるとその被害は甚大なものとなります。

人材の課題

製造分野にIoTが普及することによって、従来はあまり必要とされなかったITと製造、両方の分野に詳しい人材が必要になります。

コストの課題

現状では、生産システムのIoT化には装置コストがかかります。エンベデッドシステム(組み込みシステム)のように、コストを低減しつつIoT化を可能にするシステムの検討が有効でしょう。

IoT化のポイント

最後に、産業分野でIoT化を行う際のポイントを見ていきましょう。

人材の確保

特に製造分野でのIoT化では、従来の製造業の人材に求められなかったITに関する知識が必須となりますが、対応できる人材が少ないのが現状です。導入の初期段階だけでも、専門の業者に相談するのが堅実と言えるでしょう。専門の業者との対話は、社内の人材育成にも貢献します。

セキュリティ対策

セキュリティ対策は最重要ポイントです。

すでに述べたように、IoTではセキュリティが破られたときの被害が大きくなります。そのため、IoTデバイスの選定には注意を払う必要があります。実績があり信頼できるものを選ぶことはもちろん、本格導入前の評価・テストも十分に行いましょう。また、ネットワーク構築や導入後のソフトウェアのアップデートなど、全てのステップでセキュリティを意識する必要があります。

低コスト化

上記を満たしたうえで、できるだけ低コストであることが望ましいでしょう。製造分野では、組み込みシステム(エンベデッドシステム)でのIoT実現も現実的な選択肢のひとつです。エンベデッドシステムの詳細については、エンベデッドシステムとは―メリットや導入時のポイントを解説もご覧ください。

産業分野のIoT化にはエンベデッドシステムが有効

以上、IoTについて見てきました。

特に産業分野のIoTでは、エンベデッドシステムのような装置の価格が近年急激に下がっており、IoTの普及が急速に進む兆しを見せています。IoTの普及は、私たちの生活が直接便利になるだけでなく、産業分野を発達させることによって間接的にも豊かにしてくれるはずです。

リンクスではエンベデッドビジョンシステムの普及を促進することによって、生産システムのIoT化の推進に貢献します。生産システムにおけるIoT化をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

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