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製造業のDX―必要とされる背景やメリット、実現のためのポイントについて解説

製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれていますが、現状はなかなか進んでいません。その原因のひとつに、DXの本当の目的を見失い、短期的な目的にとらわれてしまうことが挙げられます。ここでは、製造業を取り巻く環境と、それに対応するDXの目的、そして、現状における課題や導入のメリットについて解説します。

変化する製造業を取り巻く環境

製造業を取り巻く環境は、近年急激に変化しています。その変化の主なものを見ていきましょう。

  • 生産コストの高騰
    品質を維持しながらコストを下げることは製造業の永遠のテーマです。多くのメーカーでは海外生産を行うことで、低コストの実現に努めてきました。しかし、近年海外の人件費や原材料価格が高くなっており、従来のようなコストでの生産が難しくなっています。
  • 国内での人手不足
    ほかの業界でも同様ですが、製造業でも人手不足が深刻化しています。そのため、熟練技術者からの技術の継承がますます難しくなっており、企業の技術力低下につながる可能性もあります。
  • 市場の国際化
    多くの製造業ではさらなる市場の国際化が進んでおり、各国の多様なニーズに合わせた製品を開発していく必要があります。そのためには、特に生産システムに対して、多様な製品の生産可能な柔軟性が求められます。

環境変化に対応するためのDX

このような、さまざまな面での環境変化に対応するためには、製造業はケイパビリティ(能力)を上げる必要があります。DXはこのケイパビリティを上げるひとつの手段と言えるでしょう。ここからは、製造業が向上すべきケイパビリティの具体的な中身とDXとの関係性について見ていきます。

2つのケイパビリティとDX

ケイパビリティには2種類あります。「オーディナリー・ケイパビリティ」と「ダイナミック・ケイパビリティ」です。

オーディナリー・ケイパビリティは既存のビジネスモデルを忠実に実行する能力です。日本の製造業の多くはこの能力が非常に高いと言えるでしょう。

ダイナミック・ケイパビリティは変化に対応するための能力です。具体的には新製品開発や新事業への参入などがあります。多くの日系メーカーにとっての課題とも言えるかもしれません。

DXの真の目的は、このダイナミック・ケイパビリティの獲得にあります。つまり、既存プロセスのデジタル化によってオーディナリー・ケイパビリティを高め、そこで生まれたリソース(人・物・お金)をダイナミック・ケイパビリティの獲得に投入するのがDX戦略の基本的な考え方です。

製造業の場合、例えば、スマートファクトリーを目指して既存の生産システムのデジタル化を推進することで、まずはオーディナリー・ケイパビリティの向上を図るのが具体的なDX戦略です。

スマートファクトリーは、実現までの過程で業務プロセスをできるだけデジタル化することで、客観的なデータとしてやりとりできるようになるのが特徴です。

なお、IoTデバイスのような機器の低価格化により、スマートファクトリーが実現しやすくなってきているため、製造業のDXもこれから進展すると考えられています。

スマートファクトリーについては、モノづくりを革新するスマートファクトリー―概要とメリット、実現にあたってのポイントを解説で詳細をご紹介しておりますので、ご覧ください。

製造業でのDX実現のメリット

次に、製造業におけるDX実現のメリットを見ていきましょう。

リソースの確保

例えばスマートファクトリーでは、人が行っていた作業を生産システムが自律的に行うことで、効率化を図ります。そのため、もとの作業にかけていた人・時間・お金を、より創造的な仕事に使うことができます。

業務の見直しを通じた部署間の交流

導入プロジェクトにおいては、部署間の議論が不可欠です。なぜかというと、スマートファクトリーやDXは企業の全体最適のため、部署間の足並みをそろえる必要があるからです。

プロジェクトのための議論が契機となって対話が進むと、部署間の相互理解につながります。結果的に風通しがよくなり、企業体質の改革につながる可能性もあります。

製造業におけるDXの課題

製造業におけるDXの課題は次のとおりです。

データ活用の問題

DXでは情報をデジタル化して収集、分析していくことが重要です。しかし、特に中小の製造業では、スマートファクトリーの実現に欠かせないセンサーデータのような情報をはじめ、なかなかデータ収集をできていないのが現実です。

人材の問題

DX推進のプロジェクトリーダーには、ITと生産という両方の分野に詳しい人が必要になります。また、部署間の調整を行う調整能力も必要になるでしょう。このようなゼネラリストの育成には、時間がかかります。

コストの問題

DX実現にはIT投資が必要になるので、イニシャルコストがかかります。特に中小企業を中心に、必ずしもすべての企業ができるわけではありません。

イニシャルコストを下げようとして、DXを小さなITツールだけで行おうとすると、個別最適になってしまい、かえって全体の業務の効率が低下することもあります。また、自社に合ったITツールを見つけるまで試行錯誤するようになってしまうと、逆にコストがかかってしまいます。

製造業のDX実現のためのポイント

次に、製造業でDXを実現するポイントを見ていきましょう。

スモールスタートを心がける

まず、小さなことからやってみましょう。例えば、日常業務における改善をデジタル化によってできないかを考えます。そして、できそうなら部署全体でやってみて、成果が出れば部署間でノウハウを共有します。これを少しずつ会社全体に広げていくのです。

このようにしていくと、失敗したときのリスクを最小限に抑えつつ、確実に会社全体のDX実現を進めることができます。

DXの目的を見失わない

DXを実現する最終目的は、あくまで変化に対応する能力を獲得することです。そのためには、現在の業務を効率化することが重要です。なぜかというと、いきなり大規模な効率化を行うことは難しいからです。したがって、目的を見失わないようにステップを踏んで実行していくことが大切になります。

製造業のDXは生産システムの効率化が重要

製造業のDXでは、スマートファクトリーを目指した生産システムの変革が特に重要です。スマートファクトリー実現に必要なステップは、それぞれの企業で異なるため一概には言えませんが、少なくとも最初は専門の業者に相談するのが最も確実なやり方でしょう。

そして、業者との対話を通じて社内の人材を育てつつ、DXを推進するのがよいでしょう。

製造業のDXの具体例(製品検査)

最後に、製造業におけるDXの具体例として、製品検査を見ていきましょう。

生産現場ではさまざまなDX実現が考えられますが、どの現場でも必ず行われる製品検査はその一例です。ここでのDXは、人手による検査の自動化の流れのなかで捉えることができます。従来の人手による目視検査が、画像処理技術の発達により自動化され、さらに近年では人工知能を導入することにより、より高速で複雑な製品検査を柔軟に行うことができます。つまり、製造装置の自動化や人工知能、IoTデバイスの導入により、このような検査工程のDXが実現可能になってきているのです。

DXにはコンピューターシステムの発達が欠かせませんが、このような製造装置に組み込まれるコンピューターシステムを、特にエンベデッドシステム(組み込みシステム)と言います。

エンベデッドシステムの詳細については、エンベデッドシステムとは―メリットや導入時のポイントを解説もご覧ください。

製造業のDXは簡単なことから

以上、製造業のDXについて見てきました。

日本の製造業におけるDXは遅れていると言われています。しかし、「2025年の崖」でも知られるように、DXへの対応はこれからの日本の産業が生き残っていくための必須条件です。また、生産分野のDXであるスマートファクトリーでは、必要な機器のコストが急激に下がっています。つまり、製造業でのDX実現のハードルが下がってきているのです。

リンクスではエンベデッドビジョンシステムを通じて、検査工程のDXをお手伝いしています。生産システムのDXについてご検討の際には、ぜひお気軽にご相談ください。

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