工作機械検査の適用事例では刃先の曲率や角度を計測することが求められております。この場合、得られた輪郭に対して、近似を行い計測を行う必要があります。輪郭線の近似に対し、HALCONには優れたフィッティング関数が用意されています。HALCONの近似関数を使用することで、1/10~1/50ピクセル精度で計測を行うことができます。
ここでは、ドリル先端を円近似した場合の曲率と、直線近似した場合の先端位置の計測を、例題としてとりあげます。精度を高めるため、計測はサブピクセル精度で行います。
まず計測に利用するドリル外周の領域を絞り込み、緑の領域として図示しました。どんなに大きな画像であっても、対象領域を任意に絞り込むことで、安定した処理速度を実現できます。これはHALCONの優れた特長の1つです。
絞り込んだ対象領域内より、ドリルのエッジ(輪郭線)をサブピクセル精度で抽出しました。一部、拡大して表示しています。
抽出したエッジを直線成分と円弧成分に分割します。分割は関数1つで簡単に実行できます。
分割したエッジのうち、円弧成分に対して円フィッティングを行うことで曲率を求めることができます。
また、分割したエッジのうち、2つの直線成分に対して直線フィッティングを行うことで、直線近似を実現し、その2つの近似直線の交点を求めることで先端位置を求めることができました。
HALCONでは、円フィッティングや直線フィッティング、さらに交点の計算も、関数1つで簡単に実行することができます。このように、サブピクセル精度での強力なエッジ抽出、エッジの分割(結合)、エッジの選択、円・直線フィッティングにより、計測の様々な要求に対して柔軟に対応可能です。