単純な円形のものと違い、複雑な形状が入り組んだ画像中の円弧成分に円近似を行う場合には、余分なエッジに邪魔されて近似自体が困難になる場合があります。そのような場合でもHALCONでは、抽出される様々なエッジのうち検査したい円弧成分の特徴をうまく利用することによって、高精度に円近似を実現します。
ここでは様々なエッジを含む中から同じ円弧成分のみを抽出し、高精度に円近似を行う事例を紹介します。
この事例では、左画像中の外側と内側の円弧成分に対して円近似を行い曲率を計測することが目的です。画像から分かるように円弧の途中に四角形が存在するため、単純に円近似を行うことは困難です。HALCONのXLDデータをうまく操作することによって、このような困難な場合でも容易かつ高精度に計測することが可能です。
まず初めに画像中のエッジをサブピクセル精度で抽出します。HALCONではたった一つオペレータを実行するだけで、エッジ情報を高精度なXLDデータ形式で抽出できます。
HALCONのXLDデータ形式は点列データの集合体であるにもかかわらず、非常に簡単に扱うことができます。取得したXLDデータはその特徴量を用いることで、左画像のように直線成分と円弧成分に簡単に分割できます。
分割したXLDデータのうち同心円上でかつ半径が非常に近い成分同士を結合することにより、外側の円弧と内側の円弧をそれぞれ抽出します。
最後に抽出したXLDデータごとに円近似を行うことで、各円弧成分の曲率をサブピクセル精度で取得することができます。