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『最新』から『主力』へ。CoaXPressがマシンビジョンの「標準」として選ばれ続ける理由

2026.10.08

カメラ
産業用カメラ

CoaXPress(通称:CXP)は、産業用カメラとPC(グラバーボード)を75Ω同軸ケーブル1本で接続し、大容量の画像データを高速に伝送するためのインターフェース規格です。最大の特徴は、映像データの伝送だけでなく、PCからカメラへの制御信号(アップリンク)や、カメラへの給電(PoCXP)までも同軸ケーブル1本に統合できる点にあります。

CoaXPressカメラとフレームグラバー(iRAYPLE製)

2011年に標準化された「CoaXPress v1.0(CXP-6対応)」から始まり、2019年には伝送速度を倍増させた「CoaXPress v2.0(CXP-12対応)」へと進化を遂げました。現在に至るまで、長距離伝送の強さと高い耐ノイズ性を武器に、マシンビジョン業界を支え続けています。
現在の主流としてCXP-6とCXP-12の2つがあります。今回はこれらに焦点を当てて機能の違い、どのような場面で使用するかについて使い分けについて解説します。

1. CXP-6 について

CXP-6は、1レーン(ケーブル1本)あたり最大6.25 Gbpsの通信速度を持つ規格です。実際のデータ転送に使える実効帯域(80%)としては約0.625 GB/sに相当します。
長年にわたって高速な処理速度が要求されるマシンビジョンで使用されており、FPD(フラットパネルディスプレイ)や半導体ウェハ、プリント基板の検査装置などで豊富な導入実績を誇り、高い信頼性を得ています。また、現場でよく使われる標準的なケーブル(直径6mm)を使用した環境において最大35メートル程度の伝送が可能であり、中規模から大規模な装置内配線でも安定した通信が行えるのが大きな強みです。
コネクタにはDIN 1.0/2.3が採用されております。

DIN1.0/2.3コネクタ

2. CXP-12 について

CXP-12は、「1レーンあたり最大12.5 Gbps」の通信速度を実現した規格です。実効帯域(80%)は約1.25 GB/sとなり、4本のケーブルを束ねる4レーン構成にすれば、最大50 Gbps(約5.0 GB/s)という圧倒的な速度で巨大な画像データをリアルタイムに伝送できます。
さらに、PCからカメラを制御するためのアップリンク速度も41.67 Mbpsへと倍増しており、より精密で遅延のない制御が可能になりました。通信の超高速化に伴って高周波信号の減衰は大きくなるため、標準ケーブル(直径6mm)での最大伝送距離は25メートル程度となります。CXP-6と比べると距離は短くなりますが、通常の検査装置内に組み込む用途や、配線を整理してロボットアームなどの可動部へ接続する用途としては十分な長さが確保されています。
コネクタには、高周波における抜け止め性能に優れたMicro-BNC(HD-BNC)が標準採用されています。

Micro-BNC(HD-BNC)コネクタ

3. CXP-6 と CXP-12 の違いについて

以下の表は、CXP-6とCXP-12の代表的なスペックの違いを示しています。

項目CXP-6 (v1.1)CXP-12 (v2.0/2.1)
最大転送速度 / 1レーン6.25 Gbps12.5 Gbps
└ 実効帯域(80%)約 0.625 GB/s(625 MB/s)約 1.25 GB/s(1,250 MB/s)
最大転送速度 / 4レーン25 Gbps50 Gbps
└ 実効帯域(80%)約 2.5 GB/s約 5.0 GB/s
アップリンク速度 (PC → カメラ)20.83 Mbps41.67 Mbps
ダウンリンク速度 (カメラ → PC)6.25 Gbps
(※最大転送速度と同じ)
12.5 Gbps
(※最大転送速度と同じ)
主なコネクタDIN 1.0/2.3 / BNCMicro-BNC (HD-BNC)
最大ケーブル長35メートル25メートル
項目
(直径6mmの場合)
CXP-6 (v1.1)CXP-12 (v2.0/2.1)
システムコスト導入実績が多くこなれている装置・ケーブル周りは高価だが構成簡略化で総額削減可能

「最大ケーブル長」の値は、一般的に普及している直径6mm程度の同軸ケーブルを使用した環境を想定しています。具体的には、標準的なケーブルの場合、CXP-6では35メートル、CXP-12では25メートルが規格上の基準となりますが、より太いケーブルを使用することで、この最大長をさらに数メートルから数十メートル延ばすことも可能です。逆に、取り回しを重視して細いケーブルを採用すると、最大長は短くなります。

また、表からもわかるようにCXP-12はCXP-6の2倍の性能を持っていますが、これら2つの規格を比較した際、スペック上の速度差以上に現場にとって決定的な違いとなるのが「必要なケーブル(レーン)数を減らせる」という点です。例えば、これまでCXP-6で4本のケーブルを束ねて送っていたデータ量であっても、CXP-12であればわずか2本で賄うことができます。これにより、配線の取り回しが劇的に改善され、システム全体をよりシンプルに構築できるというメリットが生まれます。

4. CXP-6 と CXP-12、どう選ぶのが良いか?

では、実際のシステム構築において、これら2つの規格をどのように選び分けるべきでしょうか。
まずCXP-6が活きるケースは、長距離伝送が求められる現場や、Camera Linkなどの従来規格からアップグレードです。Camera Linkはケーブル長が最大でも10メートル程度に制限されており、装置内での取り回しに大きな課題がありましたが、これを改善することが可能となります。また、カメラとPCの距離が30メートル以上離れているような工場環境、極端なデータ通信を必要としない中解像度・低フレームレートのカメラを使用する場合にも、CXP-6の長距離伝送能力と安定性がしっかりと活きてきます。
一方、CXP-12を選ぶべきなのは、今後数年先までの運用を見据えた新規の検査装置を設計するケースです。特に数十MP(メガピクセル)を超えるような超高解像度カメラや、数百から数千fpsで撮影する高速カメラを使用する場合には、CXP-12の広帯域が必須となります。また、ケーブルの本数も少なくできる可能性があるため、ロボットアームなどの可動部への配線負荷や重量を軽減し、省スペース化を図りたい場合にもCXP-12が強力な選択肢となります。

5. 現在のトレンド:CXP-12に移行しつつある背景

現在、マシンビジョン業界のトレンドは明確にCXP-12へと移行しつつあります。その最大の理由は、イメージセンサの進化です。近年、センサの高画素化と高フレームレート化が急激に進んでおり、従来のCXP-6やCamera Linkの帯域ではデータを送りきれないケースが増えてきています。
また、トータルコストの面でも変化が起きています。CXP-12対応機器の価格がこなれてきたことに加え、上でご説明した通り、CXP-12であればケーブル本数を少なくしてシステムをシンプル化できるため、高価なケーブルの費用やグラバーボードのポート数、保守工数を総合的に削減できる可能性があります。
マシンビジョン業界では100GigEや光ファイバーを用いた次世代規格CoaX over Fiberへの関心も高まっていますが、インフラとしての信頼性や導入コストを考慮すると、CXP-12は実用性の面において最もバランスの取れた「現代のマシンビジョンにおけるデファクトスタンダード」としての地位を確固たるものにしています。

6. 次世代CoaX over Fiberについて

CoaX over Fiberは、CoaXPressの物理層を同軸ケーブルから光ファイバーに置き換えた仕様です。汎用的な光トランシーバー(QSFP28など)を利用することで、同軸の限界を超える最大100 Gbpsの圧倒的な広帯域伝送に対応します。また、光ファイバーを使用することで、同軸ケーブルでは成し得なかったキロメートル単位の超長距離伝送が可能になります。

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