ロジスティクスの意味を3分で理解!物流との違いと業界の未来

2025.05.27

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AMR

物流業界でよく耳にする「ロジスティクス」という言葉。実は「物流」とは異なる意味を持ちます。この記事では、ロジスティクスとは何か、そしてなぜそれが重要なのかを、わかりやすく解説します。

ロジスティクスとは何か?

ロジスティクスと物流の違い

「ロジスティクス(logistics)」とは、最適なタイミングとコストで、最適な場所へ届けるために、生産・保管・運送など、物流の様々な工程を管理することです。単に「物流」と混同されることもありますが、「ロジスティクス」は「物流」に加え、製品が消費者に届くまでの流れを総合的に”最適化する”ことです。

一方で「物流」は、商品が生産者から消費者に届けられるまでの一連の物理的な流れ(モノの流れ)を指すのが一般的です。具体的には、輸送、保管、荷役、梱包、配送、流通などです。
つまり、「物流」は物の移動に焦点を当てているのに対し、「ロジスティクス」はお客様に届くまでの全体の管理や最適化も意味しています。したがって、「物流」は「ロジスティクス」を構成する重要な機能の一つと位置づけられます。

*サプライチェーン・・・モノやサービスが、どのように作られて、どのように消費者に届くのか、その全体のつながりのこと。

ロジスティクスを構成する5つの“R”

ロジスティクスには、効率よく機能するために「5つのR」と呼ばれるものがあります。物流における基本的な原則であり、以下の「5つのR」を適切に管理・最適化することが、顧客満足度や効率的な物流の実現へとつながります。

Right Product(適切な商品)

まず前提として、「顧客が求める商品」を「適切なタイミングで届ける」ことが重要です。そのために、生産過程での不良品を減らし、顧客が期待する品質と仕様の商品でなければなりません。

Right Quantity(適切な数量)

商品の数量を過不足なく届けることです。過剰な在庫は保管コストを増加させ、足りない場合は顧客の不満や信頼喪失に繋がります。需要予測を元に正確な数量を調整しましょう。

Right Cost(適切な価格)

適切な価格で商品やサービスを提供するために、輸送費だけでなく、梱包費や人件費など物流全体にかかるコストを総合的に最適化することが重要です。単に安いコストを追求するのではなく、適切なコスト管理を行い、品質や効率性を保ちながら、利益を最大化するようにしましょう。

Right Place(適切な場所)

顧客の指定する場所に、正確に商品を届けることです。配送先住所の正確性、地理的な最適ルートの選定が必要です。

Right Time(適切な時間)

指定された時間に商品が届くことです。納期を守ることは信頼性の証となり、評判、口コミに直結します。

ロジスティクスの目的

1. 顧客満足の向上

商品を「正確に・早く・安全に」届けることにより、顧客満足度を高めます。例えば、通販での即日配達や時間指定配送、破損がないように品質管理の徹底などが重要です。

2. コストの最適化

輸送の最適化、在庫の最適化、倉庫管理の効率化により、全体的なコストを削減することができます。たとえば、トラックの積載効率を高めたり、輸送ルートの最適化を行うことで、燃料費や人件費を抑えることができます。

3. 在庫管理の効率化

在庫は持ちすぎても持たなすぎてもリスクになります。在庫管理を適切に行うために、システムを導入し、リアルタイムでの在庫状況の可視化したり、需要予測データを活用して補充を行ったりすることがおすすめです。これにより、生産計画が安定し、不要な在庫が減ることでキャッシュフローの健全化を目指せます。特に食品や医薬品など、賞味期限や保管期限があるものでは、こうした在庫管理が特に重要です。

4. 供給の安定化

商品が作られるまでには様々な資材・部品が必要です。その流れ(サプライチェーン*)を止めないためにも、サプライヤー・倉庫・運送業者との連携を強化したり、災害や国際情勢による供給リスクの分散(複数サプライヤーの確保)したり、中間在庫を持つことで万が一に備えたりすることが大切です。

5. リードタイム*の短縮

リードタイムを短縮することで、顧客への即日対応が可能になり、1でお伝えしたように顧客満足度の向上にもつながります。また、生産や販売計画にも柔軟に対応することが可能になったり、新商品の投入をスムーズに行えるようになったりもします。

具体的には、倉庫の配置場所の見直し、ピッキング作業の効率化、配送網の見直しや自動化の導入をすることで改善されることがあります。

*リードタイム・・・ある工程の開始から終了までにかかる時間のこと。例えばネット通販で商品を注文した場合、注文完了~商品が届く(納品)までにかかる時間のことです。

6. トレーサビリティ*の確保

トレーサビリティの確立によって、物流ミスの早期発見と修正・対策、回収やリコールの迅速な対応が可能になります。

*トレーサビリティ・・・いつ・どこで・だれによって、その製品が作られたのかを明確にするため、原材料の調達~生産~消費/廃棄まで追跡可能にすること。

ロジスティクスを正しく機能させるための重要ポイント

ロジスティクスを効率的に機能させるためのポイントをお伝えします。

①全体最適の視点を持つ(部分最適にしない)

部門ごとに効率を上げても、全体の流れ(サプライチェーン全体)が詰まってしまっては意味がありません。調達、倉庫、配送、販売、など横断的に見る”司令塔”のような役割をつくると良いでしょう。

②需要予測と在庫管理の精度を高める

需要を読み違えると、在庫過多や欠品につながります。POSデータやトレンド分析などを活用し、「いつ・どこで・何が売れるか」を予測するようにしましょう。

③ロジスティクス拠点・倉庫の配置戦略

需要が集中するエリアに倉庫を分散配置することで、配送スピードの向上が見込めます。ハブ&スポーク方式*などを利用して、輸送効率を最大化しましょう。

*ハブ&スポーク方式・・・ロジスティクスや交通、ネットワーク設計の分野で使われる配送戦略の一つ。各地域で集荷された荷物を一度「中継センター(ハブ)」に集め、そこから●●宛に向けて再配送(スポーク)する方法。

④ITシステムの導入と可視化

在庫数や配送状況などをリアルタイムで「見える化」することで、ミスやロスを減らすことが可能です。そのためには、WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)の導入や、IoT機器の活用、GPSを利用したリアルタイムでの追跡を行うと良いでしょう。

⑤現場オペレーションの効率化

現場の「人・モノ・動き」の無駄を徹底的に省くことが重要です。そのため、ピッキングの動線を見直して短縮をしたり、荷積み・荷下ろしの作業方法を見直したり、パートナー企業(物流会社、ドライバー)との連携方法を見直したりすることが必要となります。

⑥品質・安全管理

商品の破損や誤配送を防ぐためにも、商品を正しい状態で、正しい場所に、正しいタイミングで届けるのがロジスティクスの本質です。梱包品質やバーコード管理、検品体制などを整えることが重要です。

⑦柔軟な対応力とリスクマネジメント

自然災害、交通事故、パンデミック、戦争など外的要因によって物流が止まるリスクがあります。予めBCP(事業継続計画)を設計しておき、サプライヤーや物流会社の多重化(バックアップ)を準備しておきましょう。

ロジスティクスの課題と解決策

現代社会において、eコマースの急速な拡大と消費者ニーズの多様化により、ロジスティクス業界はかつてない変革期を迎えています。効率的で持続可能な物流システムの構築が企業の競争力を左右する重要な要素となる中、業界が抱える課題とその革新的な解決策について詳しく見ていきましょう。

主な課題

1. 人手不足・労働力不足

最も大きな問題として、少子高齢化による労働力不足があります。また、物流業界では離職率が高く、特に熟練作業者の確保が困難になっており、これが業界全体の生産性低下につながっています。

2. コスト増加

ロジスティクス業界におけるコスト増加は多層的な要因が複合的に作用しています。人件費や燃料費の上昇、物流施設の賃料増加などによりコストが増大している状況です。特に人件費の上昇は最も大きな要因の一つで、最低賃金の引き上げや労働力不足による賃金競争により、物流作業者の時給や年収が継続的に上昇しています。夜間作業や重労働を伴う倉庫作業では、人材確保のために従来よりも高い賃金を提示する必要があり、これが全体の運営コストを押し上げています。

3. 配送の多様化・複雑化

EC市場の拡大により小口多頻度配送や即日配送などのサービスが求められ、配送業務がより複雑化しています。再配達問題も深刻で、これが配送効率を大幅に低下させています。

4. 環境・安全問題

環境面では、CO2排出量削減への社会的要求が高まっており、同時に労働災害のリスクや長時間労働による健康問題など、安全性の確保も重要な課題となっています。

解決策

1. 自動化・ロボット化

AGVやAMRなどの自動搬送ロボット、自動倉庫システム、ピッキングロボット、パレタイザー、自動梱包機器などの導入により、人手に依存していた作業を機械化することで効率化と省人化が可能です。

AGV・AMRについてもっと詳しく知りたい方はこちら▶「AGVとAMRの違いや特徴を徹底解説!搬送ロボットの種類とは」
ピッキングロボットなどのマテハン機器について知りたい方はこちら▶「今さら聞けないマテハンとは?機器の種類と業界別導入事例を一挙紹介!」

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2. デジタル技術の活用

デジタル技術の活用も重要な解決策です。WMS(倉庫管理システム)の導入により在庫管理と作業指示の最適化が可能になり、AI・機械学習を活用した需要予測により無駄な在庫を削減できます。IoTセンサーを使った在庫管理や配送ルート最適化システムの導入により、全体的な物流効率が向上します。

3. シェアリング・協働

業界全体での協働も効果的です。複数企業による共同配送センターの設置や物流施設のシェアリングにより、コスト削減と効率化が実現できます。また、将来的にはドローン配送の実用化により、特に過疎地や交通アクセスの困難な地域での配送効率が大幅に改善される可能性があります。

4. 働き方改革

働き方改革の観点では、デジタルピッキングシステムの導入により作業者の負担を軽減し、フレキシブルな勤務体制の導入により働きやすい環境を整備することが重要です。さらに、充実した教育・研修制度により作業者のスキル向上を図ることで、人材の定着と生産性向上を両立できます。

まとめ

ロジスティクスは単なる物流を超えて、商品が消費者に届くまでの全プロセスを戦略的に最適化する経営手法です。「5つのR」の原則に基づき、顧客満足の向上からコスト削減、リスク管理まで幅広い目的を達成することを目指しています。現代では人手不足やコスト増加、EC拡大による配送の複雑化などの深刻な課題に直面していますが、AGV・AMRなどの自動化技術やAI・IoTを活用したデジタル変革により解決への道筋が見えています。成功のカギは部分最適ではなく全体最適の視点を持ち、需要予測から現場オペレーションまで一貫した改善を行うことです。このような総合的なアプローチにより、持続可能で競争力のあるロジスティクスシステムの構築が実現できます。

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