マットな黒、光沢色や金属色などで彩られる、雑誌・パンフレットやパッケージのコーティングは個人的嗜好の範囲にとどまらず、それだけで出版物に商品としての特別な雰囲気を持たせることができます。
コーティング作業、特にUVや分散コーティングするに当たって一番大きなチャレンジは、プリント素材にコーティングを適用するときに変動する処理温度の問題です。実際に製造業では大きなコーティングコンテナを使用されているため目的温度まで温度が上がるまでに時間がかかります。また、温度が上がってもコーティングコンテナとプロセスの間で、またコーティングが冷えてしまいます。つまり、最適の温度で処理するのは非常に難しいです。
Industrie Automation Vertriebs社 (IAV)が新開発したBricort 可動式コーティング温度管理機器によってこの問題は完全に解決されました。IAVの技術部長Guenter Jung氏は次のように説明しています。「この開発の出発点はプリント機械製造業者が従来の不正確で大量のエネルギーを消費するプロセスより、よいデバイスの開発に際し何回にも渡る試作の結果生み出されたものでした。我々はプリント機械製造業者達の中でコーティング温度のコントロールに対する累積需要に答えようと努力し、Bricortシステムによってこのギャップを短縮することができました。」
共同研究として、Darmstadt 工科大学にあるInstitut für Druckmaschinen und Druckverfahren (IDD)[ 印刷機&印刷方法研究所]のオートメーション・エンジニアリング専門家が現在のコーティングマシンに装着されている小型の温度制御機器の研究開発を3年間に渡って取り組みました。こうして最終的に、Bricortシステムはローラシステムを通して印刷基盤にコーティングが流れるときに使うローラーの真上にある仕上げ部分の近くまでコーティングの温度を測定できるようになりました。接続ノズルとローラーの間にPT100温度システムが搭載されており、常にコントローラの出力温度を知らせることができます。このシステムは、長いサプライパイピングによる温度の変動を防ぎます。IDDの研究者でこのコントロールシステムの開発に関わっていたJann Neumann氏によると、Bricortの助けでコーティング技術者達が温度変化を±0.5 °Cまで抑えることに成功するとともにコーティングの粘性もコントロールができるようになりました。
●“驚いたこと”
Bricort システムの制御キャビネットの小さなスペースに多言語対応、内蔵式のタッチパネルが設置されています。この制御パネルは要望のプロセシング温度を調整パネルとともにフローパースの中で急速に温めるたり冷やすことができる制御機器が搭載されています。Guenter Jung.氏によると、このデザインは1キロワットの冷却効率を持っており、十分だと考えられます。これは従来の冷却機器の3キロワット冷却効率と比較すると素晴らしい省エネ機器と言えます。
コンパクト形、モジュール式のデザインとその他の電子モジュールを接続する余裕があるためTurck社 BL20 remote I/O stationが開発者達の理想的な解決策になりました。「我々はいつもコンパクトでCODESYSによりプログラミング可能なハードウエアを探していました。」と制御専門家のStefan Globig氏が語っていました。「また、我々は1 °C以内に温度変化を抑える制御システムのノウハウを守りたかったです。BL20ゲートウェイを用いるこのコンパクトコントローラはCODESYS プログラムを保護する仕組みを有しています。」
NeumannとYoungはこのシステムのプロトタイプをナショナル・インスツルメンツ社(NI)の制御部品を使って開発していました。「NIの部品は強いですがサイズが大きくてコストが高いため量生産に向いていません。」とIAVの技術部長がコメントしました。彼は、電子と制御デザイン作業をStefan Globig社に任せていました。「Turck 社のBL20コントローラはコンパクトだけでなくコストや利益の面でも大量生産に向いています。」とjung氏が話していました。「またTurck社は幅広いライセンスフリーソフトを利用しているため短時間で簡単にプログラムを書けます。第三社のディスプレイとの互換性を見ましても私は本当に感動しました。」とGlobig氏がつけ加えていました。
●システムの核心
IAV温度制御機器ではBL20 remote I/O stationはセンサーと作動装置をゲートウェイの独自のコントローラと接続します。TCP modbusプロトコルにより、温度制御機器をプリントマシンのコントロール部と直結されていることによって同じ制御機器からプリントとコーティングプロセスを管理できます。「タッチパネルを使うことによってBL20 stationはこの装置の心臓部として働く。」とGlobig氏がまとめました。
しかし、Bricortの開発は流体制御よるコーティングマシン開発だけには留まりません。「我々はコーティング準備、コーティング供給や補助パイピング部品などを合成させて一つのシステムにしたいと思います。」とJung氏は構想しています。
CASE適用事例
プリンタ(印刷機):冊子表紙のコーティング温度制御【Hans Turck社(ドイツ、Mülheim an der Ruhr)】
2015.11.09
金属/加工
CODESYS