徹底解説!ace 2 の新機能


ace 2 に新たなラインナップが登場:
ソニー社製IMX搭載の5MPモデルと8MPモデル

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昨年リリースを開始したBaslerの新シリーズ「ace 2」。
前号のLINX Expressでご紹介した通り、このラインナップをさらに拡充し、ソニー社製CMOSセンサーIMX334を搭載した16モデルのace 2 を新たに販売開始いたしました。

※前号のLINX Expressはこちらをご覧ください。
https://linx.jp/linx_express/i20356/linx_express_i20356.html

今号では新機種販売開始に伴い、ace 2 の開発コンセプト、新たに搭載された機能を中心に、より詳しくace 2 の紹介をさせていだきます。

    


ace 2 の開発コンセプト

 

ace 2 シリーズは、これまでのBaslerカメラシリーズと全く異なるコンセプトの元に開発されたカメラモジュールです。ace 2 の開発背景には、画像センサーの市場動向が大きく影響しています。

CCDに代わり、CMOSセンサーが一般的となった現在、各センサーメーカーは次々と新しいセンサーの開発・リリースを始めました。CMOS市場は順調に拡大を続けており、毎年新しいセンサーが登場しています。
このセンサーリリースのスピードに合わせ、カメラメーカーには機能性や品質の高い製品を作って販売するという事だけでなく、「新しくリリースされたセンサーを即座にカメラモジュールとして製品化する」という事も求められるようになりました。

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続々と登場する新センサーを網羅的に、そして最短でカメラに搭載するために、Baslerはモジュールコンセプトという新しい概念をace 2シリーズから製造ラインに実装しました。
これは画像センサ、プロセッサ、インターフェースをそれぞれモジュール化し、独立した設計や開発、製造ができるプラットフォームです。

これまで新しい画像センサを載せた新商品を作る場合、基板が複数に分かれていたとして、プロセッサもインターフェースも一緒に設計図面を起こし、一緒に製造していました。
しかしこれらをモジュール化し、分けて設計できれば、開発期間や工数を圧倒的に短縮でき、多品種生産を同時に実現する事ができます。これがace 2 のモジュールコンセプトです。

さらにセンサー自体のコストダウンの影響も相まって、これまでよりもスピーディかつお求めやすい価格で、新製品を提供できるようになりました。
今後もace 2 シリーズは新センサーを搭載したラインナップを続々と追加していきます。

以下では、ace 2 に搭載されている新機能を詳しく紹介していきます。


ace 2 Proの新機能!ピクセルビヨンドとコンプレッションビヨンド

ピクセルサイズを自由に変更できるピクセルビヨンド

センサー上の隣り合うピクセルを1つにまとめて読み出すことをビニングと呼びます。
画像の明るさの向上、データ量の低減からフレームレートの向上、さらには生産が終了したセンサーから新センサーへの移行に至るまで、ビニングはさまざまなシーンで活用されています。
さらにこの機能があれば、SN比やダイナミックレンジといったセンサーの性能を改善したりすることも可能です。
理論上、ビニングを行うとデータ量の低減、フレームレートの向上、露光時間の短縮、画像の明るさの向上などのメリットが得られます。しかし、ビニング係数に整数しか指定できないことが大きなネックとなっていました。
そこでBaslerが新たに開発した新しいビニング機能が「ピクセルビヨンド」です。
Baslerはピクセルビヨンドの機能で、CCDからCMOSへの移行を容易に行えるように致しました。

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従来のビニングは、センサー上の全ピクセルに適用されます。しかも、ビニング係数に整数を指定しなければならないため、解像度が2×2ビニングで4分の1、3×3ビニングでは9分の1に大幅に低下するなど、最適な解像度に調整することが非常に難しく、かえってデメリットになる場合さえもありました。






Baslerのピクセルビヨンドは、ビニング係数として整数以外に小数点以下の数値も指定できる機能です。

ピクセルの前処理には、Baslerが開発した画期的な補間アルゴリズムが適用されており、カメラ内部の高性能なFPGA上で行われる仕組みになっています。



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データ圧縮によりインターフェースの帯域幅を最大限に活用:コンプレッションビヨンド

コンプレッションビヨンドは、高性能なFPGAを使用し、カメラの内部で画像データの重複部分を除外することにより画像データを直接圧縮する機能です。過去に広く普及していたモールス信号と同様に、画像データの圧縮は信号の変換によって行われます。この作業はコーディングと呼ばれ、データブロックごとにコードが割り当てられますが、頻繁に登場するビットパターンには短いコード、珍しいビットパターンには長いコードが適用されます。このようにして重複部分を少なくすれば、全体のデータ量が減少します。
コンプレッションビヨンドでは、可逆圧縮モードと非可逆圧縮モードを選択いただけるようになっております。データの圧縮率は撮影画像によって変動いたしますが、可逆圧縮で最大約2倍ほど、非可逆圧縮で2倍を優に超える速度での撮像を可能にし、GigEでもCameraLink Baseほどの速度での取り込みを実現します。


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参考実験

コンプレッションビヨンドでは、圧縮係数の調整やデータ量がより少なくなるロッシー圧縮を含め、詳細な機能設定が可能です。要件に応じて画像サイズと画質のバランスを変更し、最適な画像データを生成します。

下図は実装基板を同じ条件で撮像した場合の、圧縮率の比較です。この対象物、撮影条件では、ロスレス(可逆)圧縮では30%ほどの圧縮後のデータ容量を削減でき、ロッシー(非可逆)圧縮の場合は50%程度の圧縮を行い、データ量を約1/2まで削減する事ができました。

同条件で実装基板を撮像した際のベンチマーク比較

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Lossless(可逆):73%
(30%程度の圧縮率)

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Lossy(非可逆):46%
(50%程度の圧縮率)

また、センサーのスペックが高くても、インターフェースの帯域上限によってフレームレートの上限を制限されるGigEのようなインターフェースであれば、コンプレッションビヨンドの機能を利用してフレームレートを向上させることも可能です。

弊社でフレームレートの速度を比較した検証においては、最大で2倍近くにまで向上させることができました。

acA1920-51gmPROのコンプレッションビヨンドを利用したフレームレートの比較

条件:Gain: 0.0 [dB]
ExposureTime: 7000.0 [us]

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コンプレッションビヨンド:Off
フレームレート:44.6fps(102.8MB/S)

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コンプレッションビヨンド:On
フレームレート:79.8fps(82.3MB/S)

コンプレッションビヨンド機能により、55%程度のデータ圧縮がなされています。

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ace 2 Basic / Pro搭載予定の新機能!バーストモード

カメラ内部のメモリを活用して

上記のピクセルビヨンド / コンプレッションビヨンド以外にも、Baslerではace 2 の特長機能としてバーストモードをご提供すべく開発を進めております。

通常カメラのフレームレートは、センサーの機能上限かインターフェースの帯域上限により制限を受けます。例えば、5MのモノクロGigEカメラであれば、センサーがどんなに最新のもので高速な撮像が可能であっても、GigEインターフェースの制限により20fpsほどのフレームレートが限界です。

バーストモードは、最新のCMOSセンサーの性能を、低価格帯のカメラでも最大限有効活用していただくために考え出された機能です。バーストモード中、カメラは入力されるトリガーの速度に応じて、センサの最大性能に近い速度での取り込みが可能になります。しかしながら、インターフェースによる転送速度の上限は変わらず存在するので、Baslerではカメラに128MBのメモリを搭載し、転送よりも速い速度で撮像されてきた画像をカメラ内部で保持できるようにする予定です。メモリの上限値によるバッファリング可能な画像枚数の制限は存在しますが、インターフェースの帯域が検査速度のボトルネックになってしまっているような場合に、CameraLinkやCoaXPress等ではなく、GigE、USB3.0の汎用インターフェースを用いることでカメラのコストパフォーマンスはそのままに装置性能の向上を実現頂ける機能になると確信しております。

 


■活用例

例えば、基板検査装置のような1視野で高速に複数枚の画像を撮像し、次の視野にカメラが移動して同じように複数枚の画像を撮像する、というような検査装置の場合、撮像は可能な限り高速に行い、カメラの移動中に画像の転送を行うことで撮像システムの高速化を実現することが可能です。一般的には、CoaXPressなどへのカメラインターフェースの変更により、性能向上を図る必要がありますが、コスト増が問題となります。 Baslerのバーストモードであればシステムコストは維持したまま高速インターフェースでしか実現できなかったフレームレートでの撮像を可能とします。

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合焦点法による三次元計測のようなアプリケーションでも同様です。一か所で計測対象の高さに合わせた枚数画像の撮像を行いますが、ステージやエンコーダに対してカメラのフレームレートの方が遅いということはよくあることだと思います。この場合も、バーストモードであれば低価格で高性能なシステムを実現頂くことが可能です。


カメラへの実装はもう少しだけ先になりますが、ace 2 をお選びいただくすべてのお客様にご活用いただける機能になる予定ですので、ご期待とともにお待ちいただければ幸いです。


大好評につき延長決定!
Basler aceシリーズ 偏光カメラ特別価格キャンペーン

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大人気の偏光カメラを特別価格にてご提供中です 

昨年より特別価格(通常価格より約30%OFF)キャンペーンを行っておりました、Basler製aceシリーズの偏光カメラですが、大好評につきキャンペーン期間を延長する事が決まりました。

今回もGigEタイプだけでなくUSB3タイプもご用意しております。
この機会に、是非評価用としてご検討くださいませ。

【キャンペーン対象カメラ】
・acA2440-20gmPOL(GigEタイプ モノクロ 2/3” 5MP 20FPS)
・acA2440-75umPOL(USB3タイプ モノクロ 2/3” 5MP 75FPS)

本キャンペーンは弊社在庫がなくなり次第に終了となりますので、是非お早めにご購入ください!

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8月27日(木)開催!
Basler社による無料ウェビナーのご案内

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2020年4月より弊社取引先であるBasler社は、ウェビナー形式でのお客様とのコミュニケーションを図っております。毎回多くの反響を頂いており、8月もウェビナーを実施することになりました。

今回は画像処理システム構築において重要な役割を占めるアクセサリー(レンズ、照明、フレームグラバー他)の効果的な選定方法についてご説明致します。アクセサリー選定において見落としがちな点や、必ず抑えておきたい留意事項についてアイテム別に解りやすく解説致します。自宅やオフィス、PCだけでなくスマートフォンからもアクセスが可能です。皆様のご参加をお待ちしております。

事前登録は以下URLからお願い致します。
http://baslerweb.com/jp-webinar-linx

開催概要

知っておきたいビジョンアクセサリーの選定方法
■日時:2020年8月27日(木)15:00~16:00
・ビジョンシステムの構成要素
・選定時に見落としがちなポイント3選
・ビジョンアクセサリーの選定基準
■スピーカー
・Basler Japan チームリーダー 石丸 広典氏

※LINX Express 配信の中止・アドレスの変更をご希望の方は、お手数ですがこちらよりお問い合わせください。