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画像処理の歴史的転換期
組込み画像処理の世界とは?
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画像処理の歴史
はじめに、画像処理の歴史について振り返ってみましょう。
【Phase 1】
画像処理のアルゴリズムそのものはすでに1960年代から存在しました。ステレオビジョンという手法や三角法で物体の奥行情報を入手する方法が文献として発表されています。
【Phase 2】
1990年代にIntel CPUが目覚ましい性能向上を果たしたことが画像処理の世界に大きな変化を引き起こしました。半導体製造装置業界において画像処理の技術が浸透したことを契機に、自動車、電子部品、食品、薬剤、ありとあらゆる工場の製造ラインにおいて、目視検査を画像による自動検査で置き換えていきました。最近では3次元やディープラーニングで更に複雑な目視検査を自動化するといった潮流があります。
【Phase 3】
いま、破壊的なイノベーションと注目を浴びているのが、画像処理が工場の中から工場の外へ出ていく潮流です。スマートフォンに内蔵される組込みCPUの性能は、この10年近く2年間で1.5倍という速度で進化しています。その結果、小型で消費電力が極めて少ないチップによる画像処理が眼鏡、車、お掃除ロボット等に載るという時代の幕が開きました。
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組込み画像処理のコンセプト
これまで産業用画像処理は、箱型のカメラとPCで構成されるPCベースの組み合わせでした。組込みCPUを使用した画像処理では、箱型のカメラをボードカメラに、PCをSingle Board Computer(SBC)に置き換えることで、画像処理を低コストで実装できるようになります。
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Basler社が掲げる組込み画像処理の特徴
産業用デジタルカメラのリーディングカンパニーであるBasler社はこの破壊的なイノベーションにいち早く着目し、組込みCPUに最適化されたカメラシリーズをリリースしています。
dartのMIPI対応BCON搭載モデルでは、処理効率を大幅に向上させる方法として、高性能なスマートフォンで圧倒的なシェアを誇るQualcomm社製のCPU "Snapdragon"の高性能な画像信号プロセッサー(ISP)を利用しています。
一般的なカメラモジュールには、ハードウェアとファームウェアの一部としてISPが内蔵されており、カメラ側で画像処理を行うため、プラットフォームの種類にかかわらず運用できる柔軟性がありますが、MIPI対応BCON搭載モデルではCPU側のISPを使用することで、カメラ側のハードウェアブロックが不要となり、コスト削減につながります。
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リンクスグループの組込み画像処理への取り組み
組込み画像処理を導入する利点として、コスト削減、小型化、省電力、カスタムによる競合他社との差別化などが考えられますが、要素技術の複雑化すなわち、CPUやFPGA、メモリ、イメージセンサ、MIPIのような各種高速インタフェース、ディープラーニングといった要素技術が複数存在し、それぞれがめまぐるしく進化していることが、組込み画像処理を取り入れる上で大きな障害となっております。
リンクスは優れた技術者集団であるリンクスアーツをグループ傘下に収めております。Basler社との連携を軸に組込み画像の導入を検討するユーザーの皆様に最適なソリューションを提供します。
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