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HDR機能:反射率の異なる対象も一度に測定可能
通常、2次元センサ、3次元センサいずれにおいても、撮像対象の反射率や環境の明るさに合わせてカメラの露光時間(シャッタースピード)を調整する必要があります。
ここでたびたび問題となるのが、反射率の高い(明るい)対象(ex. 白い物体)と低い(暗い)対象(ex. 黒い物体)を同時に撮像しようとする場合で、明るい対象に露光時間を合わせる(短くする)と暗い対象の情報が正しく取得できない(写らない)ことや、逆に暗い対象に露光時間を合わせる(長くする)と明るい対象の情報が正しく取得できない(白とびする)ことがあります。
Basler ToFカメラではこの問題を解消するためにHDR(High Dynamic Range)機能が搭載されます。
具体的には、明るい対象、暗い対象に合わせて2通りの露光時間を設定することができ、高速に2回シャッターを切り、2つの情報をカメラ内部で合成することでいずれの対象も逃さずに撮像することができます。
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マルチカメラ:最大8台接続が可能
一般的にTime of Flight方式のカメラは、各々の照明が互いに干渉するために複数台での撮像に対応できません。
しかし実際の使用環境では、複数台カメラを用いることで広い視野を確保したり、死角を排除したり、それぞれの点群データを合成するなど幅広くニーズが存在します。
Basler ToFカメラでは、 Vol.252にてご紹介した通り、高速に光源のオン・オフを繰り返し、複数回のシャッターで得られた電荷量に割合により距離を算出しておりますが、上記の複数台接続のニーズに応えるべく工夫が施されています。
光源のオン・オフにより生成されるパルスについて、パルス幅や周期などそれぞれのカメラで異なるパターンを用意し、異なるカメラから発光された光による誤認識を防いでいます。
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PTP(Precision Time Protocol):複数台同期撮像
上記のように1つのシステムに複数台カメラを使用する際、広範囲を一度に撮像する場合や移動体を捉える場合には、それぞれのカメラで撮像タイミングの同期が要求されます。
Basler ToFカメラには以下二つのソリューションが用意されています。
① PTPを利用した正確な時刻同期によるフリーランでの同期取込
② I/Oポートを利用した外部トリガー取込(次項)
ここでは①についてご紹介いたします。
PTPとはIEEE 1588規格のネットワークプロトコルのことで、PTPを利用すると同じネットワーク上に存在する複数機器を正確な時刻精度での同期が可能になります。機器間でマスターとスレーブを定め、それぞれのタイムスタンプを使用してマスター・スレーブ間の時間差、遅延時間の算出が行い、時刻の調整を行います。
時刻同期後にタイムスタンプを共有することで、フリーランであっても撮像タイミングを同期することが可能になります。
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外部トリガー対応:システムとの連携を容易に
上述②の通り、複数台カメラの同期撮像や、PLC、搬送系など他機器との同期をとるためには外部トリガー取込が不可欠です。
Basler ToFカメラは、aceシリーズなどのBasler製品と同様にI/Oポート(IN: 2ch, OUT: 2ch)が用意されているため、通常の産業用デジタルカメラのようにシステムとの容易な連携が可能となります。
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新ビューア:取得データを同時に表示
Basler ToFカメラは、距離画像(3D)に加え、通常の2D画像(赤外光に基づく)、データの信頼性画像を同時に取得可能ですが、その表示に関して従来のビューアでは、同時に参照することができませんでした。
今回の新ビューアでは、上記情報を全て同時に参照できる他、3Dポイントクラウドでのリアルタイム表示も可能で、動作検証が容易になりました。
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