3次元カメラは将来性のあるデバイスの1つとして産業用画像処理市場においても幅広く普及し始めていますが、既存のシステムはいずれも複雑でコストもかかるものでした。
その中で、Basler社は自社の製品コンセプトであるLEANコンセプト(必要な機能に絞ることにより システムのトータルコスト削減を目指す)に則ったTime-of-Flight方式の新しい3次元カメラを開発しました。従来より活躍の場としてきたマシンビジョン向けだけではなく、物流・医療市場に向けて本製品を投入します。
既に欧米では反響を得ており、日本市場へも製品をリリースすることが決定しています。

今回は、先日の画像センシング展においても注目を集めた、Basler社のTime-of-Flight方式3次元カメラについてご紹介します。

imgLE01


ToF(Time-of-Flight)カメラの仕組み

光は毎秒約30万kmの速度で進みます。このことから、光源がある地点から別の地点に到達する時間を計測することにより、両地点間の距離を導き出すことができます。
ToFカメラには光パルス(数ns)を照射する機構が付いており、撮影する時この光源のオン・オフを繰り返します。また、光源と全く同じタイミングで開閉するシャッターと光パルスを照射し終わった後から開くシャッターがあり、設定した露光時間が経過するまで、このプロセスを数千回と繰り返します。その後、センサー内の値が読み出され、それぞれの露光で生成された電荷量がS0,S1となります。

imgLE02

パルス投光時間tpに対する、反射光が戻ってくるまでの時間tdの割合は、電荷量からS1/(S0+S1)という計算できます。tdに光速cを掛けて、往復分を2で割ると距離dが出ます。

imgLE03

この仕組みを利用し、3次元情報を取得できるようにしたものがToFカメラと呼ばれています。

imgLE04


仕様と主な特徴

Basler社のToFカメラは、下記特徴があります。
  ・距離画像と共に2D画像(輝度画像)を取得
  ・0cm~13.3mまでの撮影範囲での計測が可能
  ・近赤外光源を利用しているため、環境光を通さず撮影可能
  ・光源からの光の照射に合わせてレンズの絞りが開閉するため、測定面の反射性が低い物体や遠くにある物体でも撮影可能
  ・上記より十分な光量が得られるため、露光時間短縮、フレームレート向上を実現

imgLE05


導入が期待される市場分野

産業の自動化ニーズに応えるToFカメラは、ロボットの登場により市場に普及してきています。大型の搬送用ロボットが、ToFカメラを用いることによって搬入、位置決め、検査などを工程の中で行えるようになり、生産性をより高めます。

また、公共インフラや病院などにおける人体の補助と保護を目的に、人や物などの存在検出や侵入検出が求められる場面でもToFカメラは設置されるようになってきています。

更には工場内搬送で工程間移動に活躍するAGV(AutoGuidedVehicle)やフォークリフトは、死角を回避し貨物の衝突防止する目的でToFカメラが用いられます。

これらの市場では、撮像空間から複数の情報をリアルタイムで計測する処理が求められます。従来では高価で複雑なシステム構築が必要でしたが、Basler社の提案するToFカメラによりこれまでのデジタルカメラと同様に簡単に、素早く導入が可能になります。

imgLE06


お知らせ:レンズセット販売開始

発売時より大好評のBasler Lensesにお得で使いやすいセットパッケージが登場。
カメラ、レンズ共に最大のパフォーマンスを発揮する5M Vision Set(ace500万画素カメラ+レンズ1種)と、社内検証や評価に最適なBasler Lenses Set(レンズ6種+接写リング6種)の2セットを新たに販売開始します。
御見積をご希望の方は下記よりお問い合わせください。

imgLE07

imgLE08

※LinX Express 配信の中止・アドレスの変更をご希望の方は、お手数ですがこちらよりお問い合わせください。