LinX Express Vol.157

※LinX Express は、日頃お付き合い頂いているお客様、展示会やセミナー等でお名刺を戴いた方、また、雑誌やホームページから引合を戴いた事のあるお客様へ配信させて戴いております。

 

  シリーズ企画「使ってほしい、この機能。」Vol.4 自動特徴量選択

近年、事前学習による欠陥分類が注目を浴びています。Vol 141で紹介した株式会社アヤハエンジニアリング殿の適応事例(記事はこちら)にみられるように、HALCONの高速かつ豊富な特徴量解析と分類法を組み合わせることで、欠陥検査に新たな付加価値を提供できるようになりました。

今号では、今分類法に求められている「自動特徴量選択」について紹介します。


  今、分類法に求められている機能とは

LinX Express Vol.141でもご紹介したように、分類法は現在では欠陥分類などに実際に使われる実用的な機能になっています。この機能に対して今市場に求められている拡張として以下の2つが挙げられます。

1.汎用性
前述の通り、検査装置メーカーでは学習法を用いた欠陥分類を実現しています。これまでのLinX Expressでも述べてきたように、欠陥を正しく分類するためには、どの特徴量を選択するかが1つのキーであり、特殊な特徴量などのノウハウを各社蓄積してきました。 多種多様化していくエンドユーザーの要望にタイムリーに応えるためには、慎重に特徴量の選択を試行錯誤しながら分類器を作成するよりも、毎度同じ手法で汎用的に分類器を作成する術が求められています。

2.簡易性
特徴量の選択がうまくいき、精度の高い分類器を作成できた場合でも、装置運用開始後に欠陥の項目が追加されるなど仕様に変更を要するケースが考えられます。新しい欠陥が追加された段階で、現在使用している特徴量が正しく分類を行うために適切でない可能性もあります。結果として追加トレーニングにより分類器が壊れてしまい、正しく分類が行えなくなってしまいます。 例えば現場のオペレータが「これは欠陥A、これは欠陥C、これは見たことがない新しい欠陥なので欠陥Z」というように、欠陥画像をフォルダ分けするだけで精度の高い分類器を構築することができれば、ユーザーが分類法という高度な機能を使っているという認識すらなく、高機能なアプリケーションを実現することができます。


  HALCON 11 新機能 『自動特徴量選択』

そのような課題に対する1つの回答が、HALCON 11 新機能の「自動特徴量選択」です。
自動特徴量選択では、入力として与えた複数の特徴量の候補の中から、サンプルを正しく分類するための最適な特徴量の組み合わせを自動的に選択する機能です。 上記に挙げた2つの課題は、どちらも最適な特徴量の選択がネックになっていました。この自動特徴量選択を使用することで、分類器の作成工程における汎用性と簡易性の両面を克服することが可能です。


  自動特徴量選択を用いたサンプルプログラム

1つの例として、Vol 140で紹介した欠陥分類処理(記事はこちら)に対して自動特徴量選択を適用した結果を示します。
特徴量の候補として下記の20種類の特徴量を入力した結果、今回の画像セットを正しく分類するための最適な特徴量として凸度と2次モーメント係数1の2つが選択されました。

 特徴量候補
凸度、コンパクトさ、重心からエッジまでの距離の平均、重心からエッジまでの距離の分散、丸さ、辺の数、矩形度、2次モーメント係数1、2次モーメント係数2、2次モーメント係数3、2次モーメント係数4、2次モーメント係数5、2次モーメント係数6、2次モーメント係数7、2次モーメント係数8、3次モーメント係数1、3次モーメント係数2、3次モーメント係数3、3次モーメント係数4

この2つの特徴量を用いた結果、30枚の画像サンプルすべてにおいて正しい分類結果を得ることができました。

    

 入力サンプル数  15枚  
 入力特徴量候補数  20種類
 選択された特徴量  2種類 (凸度、2次モーメント係数1)
 分類結果  30(正答数) / 30(サンプル数) : 100%



この事例のサンプルプログラムをダウンロード

※実行にはHALCON 11が必要です。HALCON 11のダウンロードはこちらから


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