大手食品メーカーからの要求を受け、Machine Vision Technology社は生産ラインにおけるサイズ・重量制御の自動化システム開発を行いました。生産ラインでは、ビスケットは30列に並んでコンベア上を連続的に流れてきます。各列に毎分120個のビスケットが流れるため、合計3600個ものビスケットを1分間に検査しなければなりません。
　
各ビスケットは2つをペアとして、最終的にはサンドイッチのように挟み込まれるため、すべての個体が同じ高さ・幅でなければなりません。また、間にはチョコレートなどのクリームが入るので、クリームの量を決定するため、各ビスケットの厚みを計測する必要があります。

Machine Vision Technology社はこのシステムを実現するために、3台のBASLER社製scoutシリーズ「scA1390-17gm」を採用しました。この3台のカメラにより、各ビスケットの幅と高さを計測し、正しいサイズであることを検査しています。
さらに、もう1台のscoutカメラ「scA640-120gm」を用いて、ビスケットの3次元形状計測を行っています。カメラはパーシャルスキャンモードにより高速フレームレートを実現し、ビスケットに照射したレーザー光をとらえ、光切断法を用いてビスケットの3次元計測を行います。このシステム構成により、ビスケットの幅・長さ・厚み計測のすべてにおいて、±0.17mmの計測精度を実現しています。
　　
このシステムでは、食品工場内の生産ラインという過酷な環境下において安定した取り込みが要求されます。環境温度は45度にまで達する中、計測には高品質な画像の安定した取り込みが必要です。
今回採用されたBASLER社カメラはこれら条件を完全にクリアし、検査要求を満たすことができています。

　　
システムのソフトウエアには、最先端画像処理ライブラリHALCONが採用されました。
GUI上では、各列を流れるビスケットの最新100個に対する平均サイズを常に確認することができます。トレサビリティ要求を満たすため、これら統計値は時刻・日付と紐付けされ、4年間保存されます。
操作者はメニューから保存したいシステムパラメーターを選択でき、製品切り替えも容易に行うことができます。これらすべての情報は、100m先のモニタ上でエンジニアが常に確認できるようになっています。これはGigE Visionインターフェースのカメラを使用することによる大きなメリットであり、今回のようなアプリケーションにはGigEカメラが最適なソリューションであるといえます。