■ 「低価格」BASLER racer 設計思想
待望のBASLER
racerシリーズが開発最終テストをクリアし、2k、4k、6k、8k、12kモデルすべてのラインナップにおいて生産を開始しました。ラインセンサ市場の標準価格を変えるべく先進技術を結集した『racer』シリーズを、業界驚愕の低価格にてご提供します。本号では低価格化に成功したracerの設計思想をご紹介します。
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低コスト化を追求したracerプラットフォーム
CMOS技術を始めとする技術革新やエリアセンサカメラ市場の低価格化の影響により、昨今ではラインセンサカメラ市場においても低価格化が強く求められています。この市場ニーズに対して、BASLER社は長年のカメラ技術蓄積、カメラメーカとしての実績と、sprintシリーズで培ったCMOSラインセンサの経験をベースに、低価格化を実現する新規プラットフォーム・racerを開発するに至りました。
BASLER社ではracerを開発するにあたり、低コスト化のための数多くの取り組みを行っています。ここではその一部をご紹介します。
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センサの最適化
racerシリーズには、Awaiba社の先進的な高速・高感度CMOSセンサが採用されています。このCMOSセンサは数多くのカメラメーカが採用している信頼性の高いセンサです。センサの採用にあたり、BASLER社はセンサメーカとの密接な関係を構築し、標準品をracerシリーズに特化してカスタマイズすることで、低コスト化かつパフォーマンスの最適化を実現することに成功しました。さらに、BASLER社が蓄積してきたCMOS技術の適用により、標準品よりも少ないコンポーネントで同等以上の画質性能を実現しています。この結果、標準品センサを搭載したカメラに比べ、大幅なコスト削減を可能にしました。
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部品共通化
racerシリーズは、エリアセンサカメラ市場において低価格戦略で大成功を収めたaceシリーズとも一部部品を共通化させて設計されています。そのため、aceシリーズの成功をそのままracerシリーズの開発に生かすことができ、効率的な低コスト化を実現しました。
図: BASLER aceシリーズとの部品共通化
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新規プラットフォーム開発
徹底したコスト重視の設計により、小型化を実現する新規プラットフォームを開発しました。すべてのラインナップには同一の筐体が適用され、内部設計のほとんどを共通化するプラットフォームコンセプトにより低コスト化を追求しています。
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図: 低コストracerプラットフォーム
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racerによるシステムの低コスト化
低コスト化を追求したracerシリーズを採用することで、システムのトータルコストを大幅に削減することができます。
例として、Base構成カメラ4台システムの置換を考えます。従来のCameraLinkカメラにより構築されたシステムをracer CameraLinkモデルに置き換える場合、筐体価格の大幅な削減に加え、Base構成であればPoCLに対応したことにより別途電源を用意する必要がなくなり、従来システムに比べコストを約35%削減することが可能です。
図: racer CameraLink導入による低コスト化
さらに、racer GigE Visionモデルに置き換えた場合は、低価格な本体に加えフレームグラバーが不要になり、ケーブルコストも削減されます。これにより、従来CameraLinkシステムの約1/2のコストでシステム構築が可能です。
図: racer GigE導入による更なる低コスト化
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