ネジやナットなどに代表される、似た形状であるが寸法や縦横比が異なる品種が多数存在する製品の分類を行うアプリケーションを考えたとき、例えば2,3種類程度であれば、ブロブ解析を用いていくつかの条件分岐を行うことで実現可能です。しかしながら、数十種類の品種の分類では条件分岐が複雑になり、見た目にも煩雑なプログラムになってしまいます。
また、マッチングにより登録した品種を見つけるという手段も考えられますが、例えば100品種の中から画像中に存在する3品種のみを見つける場合においても、最悪ケースとして100品種すべてのモデルによるマッチングを行わなければならず、非常に効率が悪いです。
例として、下図に示すボルト・ワッシャー・ナットの分類を紹介します。
HALCONでは豊富な形状特徴量をサポートしており、対象物の細かな特徴にも対応可能なブロブ解析を行えます。しかし、似た形状で寸法が異なる製品を判別する場合に
は、品種Aは太さが10〜12pix以内で、長さが50〜55pix以内、品種Bは太さが12〜14pix以内で長さが30〜35pix以内、…などと考えなければなりません。これにより、それぞれの品種を特定しうる適切な値を求めるだけでも膨大な工数が必要となってしまい
ます。
上記のような問題の解決策として、分類法が有効です。
効果的と思われる特徴量をいくつかピックアップし、正しい品種情報とともにHALCONに与えてトレーニングを行うことで、最適な分類器が自動的に生成されます。後は検査対象の特徴量を画像から取得し、分類器に入力するだけで品種分類を行えます。この手法であれば、最適な特徴量のしきい値を考える必要がなく、開発の手間を大きく省くことが可能です。
図2.分類アプローチ: 形状特徴量解析 VS 分類法
ネジなどの規格品は、面積値 'area' などのベーシックな特徴量が高い効果を発揮します。ネジを特定するために縦横比 'anisometry' 、ワッシャーを特定するために真円度 'circularity' 、ナットを特定するために辺の数 'num_sides' などを使用するのが効果的です。
上記のような特徴量を用いることで、ロバストな分類が可能となります。さらに分類の精度を向上させるために、分類の前処理として形状特徴量解析により大まかな種類を大分類しておき、その後に分類法にて細かな品種判定を行うなどの手法も有効です。
|