以前LinX Express Vol.238でもご紹介したように、Basler 社はカメラ内 FPGA に搭載している画像補正アルゴリズムを最適化することで、CPU に負担をかけることなく、かつてない高画質を実現しました。
dartやpulseシリーズだけでなく、New aceシリーズにもこの画像補正アルゴリズムPGIが搭載されています。このPGIについて改めてご紹介します。
参照:BASLERホワイトペーパー
"さらなる高画質を実現するBasler PGI"
ベイヤーセンサーでは、1つのピクセルにつき1つの色のみが配置され、RGBカラー画像へ変換する時に「色補間」と呼ばれる方法で隣り合うピクセルから不足している色を予測してカラー値を算出します。
この時、従来は2×2のピクセル範囲で分析をし色補完を行いますがPGIのデベイヤリングアルゴリズムでは、5×5のピクセル範囲で色補完を行うため偽色がまったくないだけでなく、文字はくっきりと読みやすく、バーコードの線も鮮明に表示されています。
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カラーアンチエイリアシング
特に画像の隅における色の誤差は、性能の低いデベイヤリングアルゴリズムにおいてよく見られる現象です。このような不具合は、特に以下のような画像を使用した場合にはっきり表れます。
まず、画像の左上の空間周波数が低い部分は、白と黒の波の幅が広く、輝度の変化も緩やかになっています。そのため、色の誤差はまったくありません。
逆に、波の幅が狭い部分ほど、はっきりとした色の誤差が多く見られます。このような誤差は、白い線と黒い線の間の距離が狭く、隣り合っているピクセルに合致した場合などに発生します。他にも、輝度の変化が急激になっている部分、つまりは明暗の境界がシャープではっきりしている場合にも同様に発生しやすくなります。
PGIでは、上記の原因によって発生する偽色を分析するとともに、生じる可能性のあるあらゆる周波数を理論上の限界値(ナイキスト周波数)まで修正可能です。
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シャープネス
対象物を高解像度で表示する場合、ベイヤーマトリックスを使用するカラーカメラでは、上記のカラーエイリアシング効果だけでなく、画像のシャープネスの面でも問題が発生することが多々あります。
PGIでは対象物に合わせて線形補間アルゴリズムを調整することにより、モノクロカメ
ラに匹敵するシャープネスの高さを実現しました。
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ノイズ除去
通常、生画像から最終的なカラー画像が生成されるまでには、多くの計算処理が行われています。これら一つひとつの計算処理が連続して行われることにより、計算と計算の間でノイズが指数関数的に増加し、ノイズが大幅に増幅されてしまうことがあります。
PGIではそれぞれの処理を連続して行うのではなく、並行して行うようにすることでノイズの増幅を押さえる仕組みになっています。
また、個々の計算処理がノイズレベルを低い状態に維持することを最優先するように設計されています。そのため、PGIで生成した画像は常に低ノイズで見やすいものに仕上がります。
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