「GigE Visionはパケット再送ができると表現しているが、パケットロスする可能性があるのでは?」と質問されるのですが、それは上記のGigE Visionのハード的な安定性の上に、さらに追加で施した安定化対策であることを理解いただけていません。カメラリンクの場合は、ケーブルにノイズが乗ったりすると、パケット再送できないので単純にデータをロスするだけですが、GigE Visionはパケット再送という手段を追加で持っているという意味です。
BASLER社は、GigE Visionの技術というものは、もはやソフトウェアの技術と考えています。ハードの安定性だけに頼るのではなく、いかにドライバ部分で更なる安定性を増すかが肝となっていると考えています。現在、欧州カメラメーカ勢が強いのは、カメラの技術がハードウェア面でなく、ソフトウェア面・ドライバとOSの関係性を重視するようになったことが要因に思えます。
足立: ところで、CoaXPressはドイツで増えてきていますね。ボードは出ていましたか?
村上: 確かにそうですね。アメリカと日本で多いように思いますが、ドイツでもその傾向はあるようです。
ボードメーカの出展は減っています。見た限り数社のみで、どんどん集約されているように感じます。
足立: CoaXPressをやろうと思ったら、ボードは必要になってくるでしょう。
村上: しかし、どの会社でもCoaXPressはビジネス面で苦戦しているようですね。
足立: 転送速度は速いし、ケーブルも長くできるし、性能はいいのですが…、新しく出て来るCameraLink HSやUSB3 Visionの台頭もありますから、うかうかしていられないでしょうね。
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スマートカメラ、3次元:欧州のトレンドと、
現場での開発を見越した国内の反応
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足立: ドイツではずいぶん見ましたが、日本では、スマートカメラといってもまだあまり見かけません。
村上: なぜでしょうね?弊社でもインテリジェントカメラというものを以前は手がけてはいたのですが…日本ではうまくいきませんでしたね(笑)。ユーザ様が自らアプリ開発をしなければならないですから。
足立: ドイツで売っているものはそういうものが多いですね。設定が簡単にできるかどうかで全く異なります。日本だと複雑な検査が多く、また案件も多い場合など、いちいちプログラムを作っていられない、もうやりたくない、というのがあるかもしれません。処理が遅すぎる、という問題もあるでしょう。弊社のハード・ソフト一体型の画像処理検査装置VTV-9000であれば、プログラムを作る必要もなく、そのまま直ぐに導入することができます。
村上: すると結局、御社の製品のようなソフト・ハード一体型のほうが使いやすい、ということになりますね。もしくは、もっと難しいことをやるなら結局PCでやる、といった感じで。
足立: スマートカメラだけではなく、プログラム開発に関連して言えば、ここに工数をかけたくないからBASLER社のカメラを使いたいけど使えない、という意見も耳にしています。FAの現場ではもう、プログラム開発をするケースというのは全体的に減っているということなのかもしれませんね。
足立: 3Dは増えていますね。日本でもよく見かけました。
村上:増えましたね。ドイツではタイムオブフライト(TOF)の展示が多くみられました。タイムオブフライトはFAに限らず、その適応用途は屋外にまで広がります。
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