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 ウェッジボンド検査

検査を行うときには検査対象領域を定義することが必要です。その際によく利用するのはマッチングです。今回は、マッチングにより検査領域を特定し、ウェッジボンディング工程後の検査を行う例を紹介します。 

   

マッチングと領域処理によるウェッジボンド検査
   

【技術課題】

 ・ワイヤーとボンディング部分のライン検出
 ・パッドの位置決め
 ・ワイヤー部分とボンディング部分の分割

  

ウェッジボンド検査では、パッド上に正しくワイヤーがボンディングされているかどうかの検査(図1 参照)を行います。 この検査で難しい点は、基板のパターンが背景としてある中で、ワイヤー部分やボンディング部分、さらにはパッド部分を検出する必要があることです。

 

まず初めに、安定したパッドの位置決めを行うためのパターンマッチングモデルを生成します。実際の画像からモデルを登録するとノイズが多く、個体差も大きくなるため 、ここでは人工的に理想的なパッドの輪郭をモデルとして用意します。HALCONでは、任意に用意したエッジをマッチング用モデルのエッジとして登録することができます。 この時点ではあくまでエッジ情報のみとなっているので、さらに、エッジに極性(polarity: エッジにおける変化 [白から黒へ、など])情報を追加するために、 原画像で一度サーチし、その結果から極性(polarity)情報をモデルに追加しています(図2)。

パッドの位置はパターンマッチングにより決定できたとしても、ウェッジボンド検査のためにはワイヤーからボンディング部分までの領域を複雑な背景の中から抽出する必要があります。 これに対し、HALCONは下記アプローチにより、ウェッジボンド検査を実現しました。

    

[Step1] 意図的に画像を圧縮してライン検出


[Step2] 解析範囲を絞込んでウェッジボンド検出


[Step3] ウェッジボンドの欠陥部検出


図1:ウェッジボンド欠陥(赤線)


図2:パッドのモデル(緑線)


図3:検査画像
 

[Step1] 意図的に画像を圧縮してライン検出

原画像サイズのままだと処理時間がかかってしまうため、意図的に画像を縦横10%に圧縮します。 圧縮した画像からlines_gauss() によりワイヤー部分とボンディング部分の全体が形成するラインを高速に検出します。
 


図4: 圧縮した画像からラインを検出
 

 
[Step2] 解析範囲を絞込んでウェッジボンド検出

マッチングにより検出したパッドの位置からパッド領域を生成した後、少し広い範囲で検査するためにその領域を膨張させます(図6左の黄色枠)。 次にStep1で検出したワイヤーとボンディングのラインを元の画像サイズへ変換し、さらに領域データに変換した後、領域を膨張させ、周辺領域を作成します。
こうして得られた領域と黄色枠との交差領域を取得し、これを検査対象領域と定義します。
検査対象領域から二値化処理、領域処理によりワイヤーとボンディング部分を抽出します(図6左の黄緑で囲んだ部分)。
  


図5: 絞込んだ検査対象領域からワイヤーとボンディング部分を抽出



[Step3] ウェッジボンドの欠陥部検出

ワイヤー部分とボンディング部分の太さの違いを利用して、ウェッジボンド領域のみを検出します。 ここで、ワイヤー部分を除く、「ウェッジボンド」と「ボンドテール」がそれぞれ抽出できます。
ウェッジボンド領域とパッド領域の差を求めることで、パッド領域から一定量以上はみ出している部分をウェッジボンド欠陥部として検出します(図6の赤線で囲まれている部分)。
さらに、ウェッジボンド領域とボンドテール領域から、ウェッジボンドの幾何学的なデータを計算し、ウェッジボンドとボンドテールを結合した領域の方向を求めることで ウェッジボンディング方向を取得します。
  


図6: ウェッジボンドの欠陥部分の検出


   

図7: ウェッジボンド検査の流れと結果

以上のように、適切な方法でHALCONの機能を組み合わせることによって、柔軟なウェッジボンド検査を実現することができます。

この事例のサンプルプログラムをダウンロード

上記サンプルプログラムを実行するには、HALCON (正規版あるいはデモ版) が必要です。 複数枚の画像に対して柔軟にウェッジボンド検査を実現していることが確認できます。

 

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