dart BCONシリーズ いよいよリリース!
Basler社はEmbedded Vision市場に向けて革新的な独自開発インタフェースBCONに対応したボードカメラdart BCONシリーズをいよいよリリースします。本号では市場動向を含む開発背景とBCONインタフェースについての概要を紹介します。
■ 市場における3つのメガトレンド ここ数年、マシンビジョン市場ではアナログからデジタルへの移行、CCDからCMOSへの移行と大きなトレンドの変化がありましたが、次なるトレンドとしてPC VisionからEmbedded Visionへの移行が注目されています。これは、医療・ITS・リテール市場にも同様の動きがあり、いまやマシンビジョン市場のみにとどまりません。
■ Basler社の狙い Basler社はこうした市場動向に対して的確な技術投入・製品投入を実施し、世界シェアNo.1の地位を築き上げてきました。PC VisionからEmbedded Visionへの動きに対してもBasler社はすでに投資を開始しており、2年以上前に産業用デジタルカメラの高性能・高品質を有するボードレベルカメラdartシリーズをリリースしています。今回、市場の付加価値をさらに高めるべく、Basler社は組込システム向けに新たなデジタルインタフェースのプロトコルであるBCONを市場へ導入します。 BCONについての詳細は後述しますが、一般的にEmbedded Visionシステムの開発におけるコストは、下図のようにPC Visionシステムに対して部材コストを削減できるものの、開発コストがかさむ傾向にあります。このコストは単に時間だけの問題ではなく、技術的にも高いレベルが要求されるものとなります。 Basler社はこのコスト分布に着目し、BCONインタフェースの市場導入によってEmbedded Visionシステム開発へのハードルを下げ、開発工数(コスト)の削減を狙います。これにより、従来画像処理システムの導入経験のないユーザも導入に踏み切ることができ、画像処理市場の拡大に貢献できると考えています。
BCONとは
BCONとはBaslerが独自開発した組込システム向けプロトコルであり、BCONインタフェースは以下の特徴を持っています。 ・28ピンZIFコネクター ・フラットでフレキシブルなケーブル ・LVDS(Low Voltage Differential Signaling)シリアル通信I/F ・SoCやFPGAへ直接接続可能 BCONはGenICamに準拠しており、位置づけとしてはCameraLinkと同様の並びになります(下図左)。そのため、従来のCameraLinkによるシステムと似た感覚でEmbedded Visionシステムを開発することが可能で、CameraLinkと同様にBasler社の提供するpylon APIにてユーザのアプリケーションとカメラとをリンクできます(下図右)。画像データの取得にはユーザ側でFPGA等によるFrame Grabberを用意する必要がありますが、画像データの取得、カメラの制御に対しては、それぞれSDKにてAPIとの接続を容易にするアダプタが用意されており、また、その内容はユーザの環境に合わせて変更が可能です。
■ BCONインタフェース概要 BCONインタフェースは、フラットケーブル一本で電源供給からトリガ入力、カメラ制御、データ通信まで可能となっており、それぞれの割り当ては以下の通りとなります。画像データの転送における伝送帯域はMax. 280MB/sで、CameraLinkのBase configurationを上回ります。カメラの設定変更などの制御はシリアル通信の規格として一般的なI2Cを採用しており、これは上述の通り、pylon SDKにて提供するBCON I2C Adapterにて用意に接続が可能となっています。
ラインナップ
今春リリースされるdart BCONシリーズのラインナップは、市場でも十分に実績のあるAptinaセンサとE2Vセンサを搭載しており、モノクロ・カラー併せて6機種です。1.2MPと2.0MPセンサはGSのセンサであり、幅広いアプリケーションへの適用が期待されます。
Basler社は、dart BCONシリーズのリリースにあたり、Embedded Visionシステムの評価をスムーズに実施できることを目的とした、評価キットを同時に販売開始します。この評価キットはdart Embedded PowerPackと呼ばれ、カメラ・レンズ・ケーブル・FPGA搭載SoCカード・スタートアップガイドなどが1式になっており、このセットとPCがあればすぐに画像の取り込みが可能となります。
また、dartシリーズはすでにUSB3インタフェース(USB2.0でも接続可)版を2年前よりリリースしています。これらは、dart BCONシリーズと同様のセンサを搭載しているため、Embedded Visionシステム開発の前評価として、PC(Windows, Linux, OSX, いずれも可)とdart USB3シリーズにて試作機の開発が可能です。
※LinX Express 配信の中止・アドレスの変更をご希望の方は、お手数ですがこちらよりお問い合わせください。