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ローリングシャッターとは

カメラのシャッター方式には、グローバルシャッター、ローリングシャッターの2つが存在します。
グローバルシャッターは、センサ素子の全てのラインが同時に露光を開始します(下図左)。これに対しローリングシャッターは、センサ素子の上部ラインから順に露光が開始されます(下図右)。

本号ではグローバルシャッター、ローリングシャッターの比較からローリングシャッターカメラの具体的な使用方法について紹介していきます。



図1: グローバルシャッター



図2: ローリングシャッター

 
 
グローバルシャッター vs. ローリングシャッター

ローリングシャッターを選定する最大の理由は、大幅なコストメリットにあります。
以下の表に撮影対象への対応と価格について、シャッター方式別に比較した結果を示します。

静止物を撮影する場合、いずれのシャッター方式でも問題なく撮影が可能ですが、移動体撮影時に、ローリングシャッターカメラを使用する場合は注意が必要となります。図2の通り、ローリングシャッターでは画面上から下への露光開始タイミングに時間差があるため、撮影の間に対象が移動すると表のように画像下部が動いてしまいます。ただし、後にご紹介する適切な運用(ストロボの使用)を行うことで移動体であっても撮影が可能になります。

表1:グローバルシャッター/ローリングシャッター比較表


それでもローリングシャッターを選ぶメリットは、コストにあります。
一般的にカメラ価格はセンサ価格に大きく左右されますが、ローリングシャッターセンサはグローバルシャッターセンサに比べて非常に安いコストで生産できるため、カメラ価格に大きな影響が出ます。

BASLER社の5Mpxカメラの例を挙げると、グローバルシャッターカメラに比べてローリングシャッターカメラの価格を約1/6程度に抑えることに成功しています。

 
 
ローリングシャッターで移動体を撮影する方法

ここではローリングシャッターカメラを用いた移動体の撮影方法についてご紹介します。
上述の通り、ローリングシャッターカメラで移動体を撮影する場合は画像に揺らぎが発生します。
ただし、下図のようにストロボ照明を用意し、センサのすべてのラインが露光しているタイミングに同期して発光させる機能(FlashWindow)を使用することでこの現象を抑えることが可能です。



図3: ローリングシャッターでの移動体撮影

上記構成の場合、撮影開始時とストロボ発光開始時に別の信号を使用する形になりますが、Aptina社のCMOSセンサではこれらをタイミングを統一する機能として、グローバルリセットリリースモードを用意しています。


  グローバルリセットリリースとは

グローバルリセットリリースモードを設定すると、右図のようにセンサのすべてのラインで露光開始タイミングを合わせることができます。

注意点として、各ラインで露光時間が異なるためグローバルリセットリリースモードを使用する場合は必ずストロボ照明を使用する必要があります。




図4:グローバルリセットリリースイメージ

以下の画像は、高速に移動する対象をローリングシャッターカメラにグローバルリセットリリースモードを使用して撮影したもの、グローバルシャッターカメラで撮影したものです。
ローリングシャッターカメラであってもグローバルシャッターカメラと遜色なく撮影が行えていることをご確認いただけます。



図5:ローリングシャッター+ストロボ



図6:グローバルシャッター

物流やFA業界では、撮影対象を停止できないケースも多いですが、ローリングシャッターカメラとご紹介した手法を用いることで、コストを抑えたアプリケーションの実現が可能になります。

 
 
BASLER社のローリングシャッターカメララインナップ

BASLER社ではGigE Vision、USB3 Visionカメラにおいて、グローバルリセットリリースモードを搭載したローリングシャッターカメラを複数ラインナップしております。
代表的なラインナップは以下の通りです。この機会にぜひご検討下さい。

その他のBASLER製品はこちら

 

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