ハードウエアコンポーネントが画像処理に及ぼす影響 No.1

マシンビジョンシステムを構成する上で、カメラ・レンズ・照明・画像入力ボードといった各コンポーネントやその設置方法が原因となり、画像処理の精度やロバスト性に大きな影響を与えることがあります。本シリーズでは、各コンポーネントが及ぼす影響についてまとめ、その回避・改善方法を紹介します。

  設置方法が与える影響

システムを構築する際に、各コンポーネントの設置空間の制限などにより、検査対象に対してカメラを傾いた位置に設置しなければならない状況がございます。このような状況では、画像の手前と奥で形状が変化してしまい、高精度な計測はもちろん、位置決めなどの処理を実現できなくなります。
そこで、HALCONのカメラキャリブレーション機能を用いると、傾いた視点の画像を真上視点の画像へと補正することができます。HALCONのカメラキャリブレーションは、専用のキャリブレーションプレートを位置・姿勢を変えて撮影した画像を10枚程度HALCONに与えるだけで実現できるため、オペレーションは極めて簡単です。
また、カメラを検査対象に対して垂直に設置したつもりでも、サブピクセル単位でズレが発生します。また、カメラの内部にあるCCDセンサーが常に同じ位置に設置されているとも限りません。このような状況では、極めて高い精度の計測は達成できません。そこで、HALCONのカメラキャリブレーションを活用することで、各コンポーネントが正常に設置されているかを確認することができます。

図1:傾いた位置からの撮像

図2:真上視点の画像に変換

  レンズ歪みが与える影響

光学系(レンズ)を利用する上で避けて通れない問題の一つが、レンズ歪みの影響です。レンズ歪みの影響を受けた画像は、本来直線の対象物が湾曲して表示されます。このような状態では、高精度な計測を実現できません。もちろん、右図のような極端な歪は皆様のアプリケーションでは発生しないことが多いですが、サブピクセル精度の計測を視野に入れている場合は数分の一ピクセルの歪も見逃すことができません。
上記でご説明したHALCONのキャリブレーションを用いることで、光学系の歪までを自動的に除去することができます。
また、テレセントリックレンズは歪みを抑える方法として有効ですが、それでも期待する計測精度のレベルによっては歪が問題となるケースを拝見します。そのような方々には、同様にHALCONのキャリブレーション機能を提案することで、ご満足のいく精度を実現いただいています。

 

 

図3:レンズ歪の影響

(緑線:補正したエッジを表示)

■  カメラキャリブレーションの機能について

カメラキャリブレーションの機能についてはHALCON活用法の151ページで詳しく紹介しています。

またカメラキャリブレーションに特化した特別トレーニングコースも定期的に開催しておりますのでご活用下さい。

【HALCON特別コース(キャリブレーション)紹介・申込ページ】

https://linx.jp/event/training/

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マシンビジョンシステムを構築するための画像処理技術について解説した「HALCON活用法」は、企業での社内トレーニングや大学の講義での教材として多数採用されております。本書にはHALCONのデモ版が付録としてついており、本書を読み進めながら画像処理技術を習得できます。
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