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医療・食品に必要とされる、密集した対象物の領域分割処理
画像処理ライブラリHALCONは、世界中のお客様の多種多様な検査ニーズを満足するため幅広い機能を実装してきました。この多機能性により、近年では半導体・電気電子市場における画像検査システムだけでなく、医療や農業などの画像解析の分野でも広くご活用いただくようになりました。
今号では、医療や農業の分野で注目を浴びている、密集する対象物の高度な領域分割手法をご紹介いたします。
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Watershedアルゴリズムとは
まず、画像領域分割処理機能としてHALCONが提供しているWatershadアルゴリズムを紹介します。
Watershed（分水嶺）アルゴリズムは、画像領域の分割手法として広く用いられ、HALCONでも古くからサポートされてきました。このアルゴリズムは、分水嶺アルゴリズムと呼ばれるとおり、画像の輝度勾配を山の嶺（みね）とみなし、山の高い（＝ 輝度値の高い）位置から流れ込む水の作る区域をひとつの領域とする分割を行います。
上図はWatershedアルゴリズムによる分割結果を例示したものです。オレンジのラインは画像中の1ラインの輝度プロファイルをあらわし、高いほど明るく、低いほど暗いことを意味します。この例では3つの山があり、それぞれから水が流れ込む区域により4つの領域に分割されます。
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使ってみよう、HALCON Watershedオペレータ
HALCONのWatershedオペレータを用いた対象物の分割手順を紹介します。上述の通り、このアルゴリズムは輝度勾配の情報を元に領域分割を行います。そのため、元画像に対し単純に実行しただけでは期待する結果が得られないことがあります。
ロバストかつ高精度な分割を行うためには、フィルタ処理や領域の距離変換などの前処理により、分割に適した画像を作成する必要があります。ここでは、汎用的に用いられる領域の距離変換を用いた処理の流れを紹介します。
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元画像
今回は食品業界で実際にご採用頂いた処理の流れを紹介します。
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ステップ1：領域抽出
HALCONのしきい値処理や領域処理により、画像中の対象物を抽出します。
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ステップ2：領域の距離変換
領域を距離変換し、領域の中央が谷になる（暗くなる）画像を作成します。
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ステップ3：Watershedによる分離
Watershedオペレータにより、画像の領域分割を行います。
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今、HALCONに求められる高度な粒子解析技術
セルカウンティングや異常細胞検出などの医療現場や、米など農作物の等級検査、リサイクルにおける品種特定など様々な分野で粒子解析のニーズが高まりを見せています。
自然物は産業製品と異なりその形状や色に大きなばらつきがあるため、同じ対象物であってもしきい値が一意に決まらない、一度の処理で期待する分離精度が得られないなどの難しさがあります。このような対象でも、HALCONの豊富な機能を組み合わせることで高度な粒子解析が可能となります。
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画像からの自動しきい値決定と、再帰処理による高精度分離
上記のような自然物や多品種が混在する場合には、そのしきい値を固定で与えることが難しくなります。このような場合には、得られた結果に対する情報から妥当と考えられるしきいを自動的に求め、その結果をフィードバックさせながら処理する再帰的なアプローチが有効です。
上図は画像からの自動しきい値決定と、再帰処理により密集する米を分離したサンプルプログラムの実行結果です。このプログラムでは、領域分割により得られた領域の面積を評価し、1σ区間に当てはまらないものに対し再度分割処理を当てはめています。これにより1回の処理で分離できなかった対象物も高精度に分離することが可能となります。
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画像センシング展 粒子解析デモ機
2013年6月12〜14日にパシフィコ横浜で開催された画像センシング展2013では、非常に多くのお客様にご来場いただき誠にありがとうございました。
展示会では、実際に上記の自動しきい値決定と再帰処理による領域分離を組み込んだシステムのデモ展示を行いました。この自動しきい値決定と再帰処理により、穀物、錠剤、チョコレートなどの多種多様なターゲットを同一のアルゴリズムにて高精度分離することができ、多くのお客様からご高評を頂きました。左下の画像をクリックして頂く事で実際のデモ機の動作の様子をご覧頂けます。
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システム構成
PC : [OS] Windows 7 Professional
[CPU] Intel Core i5-2400 @3.1GHz
[RAM] 4.00GB
ソフトウェア：HALCON11.0
カメラ：BASLER spL-4096-70kc
レンズ：VS Technology VS-L3528/F
照明：CCS LNSP-300SW
処理時間
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0.89ミリ秒/粒
1.67ミリ秒/粒
1.85ミリ秒/粒
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