HALCONにおける形状ベースパターンマッチング

画像処理を行う目的の1つとして、画像の中から目的のものを見つけ、その位置情報を得るということがあります。画像中の位置を求めることにより、対象物のアライメントやハンドリングなどを行うことができるようになります。画像中での位置を得る手法はさまざまな方法がありますが、最も一般的な手法としてパターンマッチングがよく利用されます。
今回のLinX Expressではこのパターンマッチングについて基本性能から応用までを下記のような内容で3回に分けてご紹介します。

1) 形状ベースパターンマッチングの基本性能のご紹介
2) 形状ベースパターンマッチングの応用(人工モデル)
3) 形状ベースパターンマッチングの応用(領域の絞込み)

No.2: 形状ベースパターンマッチングの応用(人工モデル)

今回はHALCONの形状ベースパターンマッチングの応用として、人工的に作成した画像を利用してモデルを生成し、マッチングを行う手法についてご紹介いたします。

人工モデルを利用したマッチングの必要性
パターンマッチングではカメラから取得した画像を利用して、マッチング用のモデルを生成し、生成したモデルを利用してマッチングを行うという方法が一般的です。しかしながら、カメラから取得した画像がモデル登録にふさわしくない場合があります。

図1の画像をご覧ください。このモデル画像からモデルを生成することを考えます。チップの足は照明によりエッジが変動しやすく、印字文字の位置にも個体差があるため、チップの足と印字文字を含めず、パッケージの形でモデルを登録することにします。

図2で赤く表示しているのが生成されたモデルのエッジになります。モデルのエッジは抽出できているものの、チップの足の付け根の部分が光の影響を受けてエッジが直線に生成されていないため、マッチングを行う際に非常に大きな問題となります。なぜならば、チップに対する照明が変動した際には、足の付け根部分のエッジが大きく変形することが予想されるためです。このことは、マッチング率を下げ、誤認識を増やす原因となり得ます。

このような問題がある場合、人工モデルを用いたマッチングが有効です。上述のように、人工的に作成した画像からモデルを生成し、マッチングに利用する手法です。

 

図1: パターン登録用電子部品

 

図2: マッチング用エッジ(赤線)

人工モデルを利用したマッチング

図1の画像に対して、HALCONの図形描写機能を使用して、図3のような画像を作成しました。この画像作成には、HALCONの描写機能だけでなく、WindowsのPaintやPhotoshopなどのツールもお使いいただけます。この画像を利用してモデルを生成した場合が図4になります。

図4では理想的なエッジが抽出されていることがお分かりいただけると思います。

 

図3: 人工モデル画像

 

図4: マッチング用エッジ(赤線)

図4と同様に、数種類の人工モデルを生成して、マッチングを行った結果が図5になります。人工モデルを利用することで、照明の当り具合が変化しても、ロバストにマッチングを実現しています。

 

図5: 人工モデルによるマッチング

次回は、優れた機能を有するHALCONのパターンマッチングについて、最大限に機能を引き出す方法として、形状ベースパターンマッチングの応用(領域の絞込み)をご紹介します。

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